特撮『恐怖劇場アンバランス』の最終回ってどうだった?
2021年1月31日 更新

特撮『恐怖劇場アンバランス』の最終回ってどうだった?

子供のときに観てたけど、最終回ってどんなだったっけ?そんな作品ってけっこうありますよね。そんな方のために、最終回のあらすじをお届けします。これであなたも思い出せるはず?『恐怖劇場アンバランス』はこんな感じでした。

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『恐怖劇場アンバランス』

※テロップでは正式には「劇」の字は略字で表記されている。
制作:円谷プロダクション、フジテレビ
放送期間:1973年1月8日から1973年4月2日
放送時間:月曜23:15から00:10
放送局:フジテレビ系列
放送話数:全13話

スタッフ

監修:円谷英二
監督:井田探(最終回担当)ほか
脚本:滝沢真里(最終回担当)ほか
美術:鈴木儀雄
特殊技術:佐川和夫
光学撮影:中野稔、川北鉱一
音楽:富田勲

キャスト

森辰也:佐々木功

加原連子:八代万智子
加原松美:集三枝子

真木ミチ:真理アンヌ

『恐怖劇場アンバランス』とは

「心臓の弱い方、おひとりでご覧になる方は、この『恐怖劇場アンバランス』はご遠慮ください…」

円谷プロダクションが制作した、大人向けのオムニバスホラー作品。似たような作品としては1968年『怪奇大作戦』がある。
なお「アンバランス」とは1966年『ウルトラQ』の企画時タイトルでもある。
制作順と放送順が異なっており、最終回「蜘蛛の女」は制作ナンバーは第4話。なお制作ナンバー第7話まではオリジナル脚本、それ以降には原作がある。

『恐怖劇場アンバランス』の最終回

第13話「蜘蛛の女」

山の奥。木に縛りつけた女(加原連子)にガソリンをかけ、マッチで火を点ける男(森辰也)。
女の目がかっと見開かれた…。

青を基調に飾られたマンションの一室に、辰也と連子がいる。その部屋のあちこちには、連子が飼っている無数の蜘蛛がいた。口笛を吹きながら餌を与えている連子。電話が鳴った。

その電話の相手は、借金について連子のやり方をインチキだと訴える(連子は廃業した加原金融の女社長)。その男は連子を、虫を網にかけて血を吸うジョロウグモだと罵った。
連子「そうだったらどうなのさ?こっちはちゃんと合法的にやってるんですからね。御託言ったってそっちが悪いのよ!」
電話を切った連子は、辰也と抱き合う…。

辰也は連子に金を無心し、30万円の小切手を受け取った。
連子「あんたのヘボ写真の個展のためじゃないわね?辰也はね、なんにもしなくていいのよ」

辰也は本当の恋人である女(真木ミチ)と待ち合わせしていた。辰也は連子から貰った金を頭金にして一流ギャラリーを借り、ミチをモデルにした写真で個展を開こうとしていた。

ミチと別れた辰也は、以前から絡まれているヤクザ風の男に会い殴られ、小切手を奪われる。

連子のマンション。奪われたお金はあきらめなさい、という連子。また金をねだる辰也に、態度が良ければまた出してあげるかもと言って、ベッドに招く。

電気が消えて部屋は真っ暗になっている。ベッドから抜け出した辰也は、連子のバッグを漁った。そこから破れた小切手を発見する。それは辰也がもらったものだった。ヤクザ風の男が、連子に雇われていたことを知る。

喧嘩になったふたり。
一生のお願いだから個展のためにお金を貸してくれという辰也に、連子は絶対にだめだと言う。
辰也「飼うつもりだね、僕を。蜘蛛みたいに」
連子「ペット。ペットなのよ、辰也は」
笑い出す連子を、辰也は絞め殺してしまった。連子の身体の上を這い回る無数の蜘蛛…。
冒頭の山奥。辰也は穴を掘り、木に縛った連子にガソリンをかけて火を点けた。見開かれる連子の目…。

マンションに戻って来た辰也は、ベッドの下からトランスケースを見つけた。中には大量の札束が入っている。これで有名なカメラマンになれると、狂気じみた笑いの辰也。気が付くと、部屋は蜘蛛の巣だらけだった。慌ててスプレーで退治する。

個展のために一流ギャラリーを契約し、マンションに戻ってきた辰也。そこへ連子の妹だと名乗る松美がやってきた。松美の足元に蜘蛛が寄ってきた。
松美「お前ひとりなの?お友達は?かわいいわあ」
連子のことを尋ねられ、旅行に出かけたと言う辰也。
松美「姉は旅行なんか嫌いです。…変な夢を見ました。怖い夢ですわ。喧嘩でもなさったんじゃない?まさか床下にあるんじゃないでしょうね?でもここはマンションで床下はないし。うふふ」

帰った方がいいかという松美を、辰也は引き留めた。台所でコーヒーを淹れて戻ってくると、松美は口笛を吹きながら蜘蛛に餌をあげていた。
松美「ちっとも集まって来ないわ。変ですわね。どうしたのかしら」

夜になった。ソファに寝ていた辰也は、連子が燃え上がる夢を見て目を覚ました。洗面台で水を飲んでいると、鏡に連子の姿が映る。驚いて振り返ると、それは松美だった。おやすみ、と言って去る辰也。
松美(…あたしが連子だとは、まだ気が付かない。鏡はない方がいいんだわ)
松美は鏡を割った。かけてくる辰也に、ついうっかりと言う。

マンションを探して不動産へやって来た辰也は、外でヤクザ風の男に会った。
男「おい、引っ越しするつもりかい」
男は連子が殺害されことを察していた。夜にマンションで会う約束をする。

夜のマンション。
男「俺を簡単に扱うなよ。恐れながらと訴え出れば、写真も、お前の将来も、めちゃくちゃにすることができるんだぞ」
部屋を物色し、男は大金の入ったトランクを見つけた。辰也は背後から男をビール瓶で殴る。そして殺してしまった。松美の笑い声。
松美「ふふふふ。見たわよ」
辰也は腰にしがみついて言う。
辰也「もう、だめだ…」
松美「何がだめなの?」

松美「あたし、あなたが好きだわ。殺人現場を見られたんだもん。もうあなた離れらんない、あたしから。いい?一生あたしを愛するのよ。お金なら、あたし持ってる。あげるわ、いくらでも。他の女に使わないなら、あげる。その代わり、あたしだけよ。あなたはあたしのペットなの。ペットよ」
辰也「やめてくれ!」
高笑いする女を、辰也は絞め殺してしまった。
夜の埠頭。辰也は殺してしまった男と松美を車で運び、鎖で巻いて海へと投げる。逃走する途中、車の前に連子の幻影が立つ。車を停めると警官がやって来た。
警官「おい君、どうしたんだ、こんなところで。免許証は?こんな時間に何をしてるんだ?後ろがびしょ濡れじゃないか」
振り返って後部座席を見ると、そこには松美たちを縛った鎖が乗っていた。

ギャラリーで辰也の個展が催されている。ミチとギャラリーの支配人が慌てた様子で駆けてきた。辰也が中に入ると、飾られた写真はすべて殺害現場を写したものに変わっていた…。

マンションにいる辰也。個展は大失敗だった。
辰也(…わからない。連子が祟っているのか)

辰也は車で、連子の殺害現場にやってきた。埋めた場所を掘り起こすと、そこに連子の死体はない。

次の日の新聞。海に捨てた男の死体がみつかってしまった。だが一緒に結び付けた松美の死体は記事になっていない。
辰也「あいつだ!松美は連子なんだ!松美は連子の分身。分身なんだ!」
顔の前にすーっと下りて来た蜘蛛を叩き潰す。頭上を見ると、無数の蜘蛛が。部屋も蜘蛛の巣だらけだった。
辰也「連子が蜘蛛に乗りうつってるんだ!はやくこの部屋を出なければ!」

橋の上の辰也とミチ。辰也はミチに引っ越しの手伝いを頼んだ。女物の荷物を運ぶには、女性がいた方が不審に思われないからだ。
辰也「いいかい、ミチ。ぼくにはもう何もない。君だけしかないんだ。写真の方も、余程のことがないと今後、盛り返すことはできない」
ミチ「わからないわ。どうしてあんなことが起きたんでしょう」
抱き合うふたり。新しいマンションで一緒に住むことを約束し、先に行っててくれと連子のマンションのカギを女に渡す。

連子のマンションにいるミチ。誰かの気配を感じて振り返ると…。

辰也が遅れてマンションにやってきた。呼び鈴を押すが反応がなく、中に入る。暗い部屋にはミチの死体が転がっていた。その上を這い回っている蜘蛛。

辰也はミチの死体を大きなトランクケースに入れようとする。その背後に連子が現れた。
辰也「助けてくれ!」
連子「どうして逃げるの?あたしを殺したから?あたしたちこのまま暮らしてもいいのよ。あたしから逃げないんなら」

部屋にある鏡が倒れて、辰也は下敷きになった。たくさんの蜘蛛が現れる。受話器を取るがつながらない。受話器からは連子の声が聞こえる。
連子「もっと苦しむといいのよ。もっと…もっと…」
やっと這い出た辰也はドアを開けようとする。だが悲鳴と共に倒れた。それを冷たい笑顔で見つめる連子。その姿が消える…。

ナレーション「入ってはいけません。この部屋は前から改装しても改装しても蜘蛛が出るため、借り手もないままに放ってあるのです。もしあなたの部屋にも蜘蛛の巣があったらご用心ください。そして、あなたの側にいる女性にもご用心、ご用心」

何もなくなった連子の部屋に、天井から蜘蛛がすっと下りて来る。

その後の『恐怖劇場アンバランス』

冒頭と最後にストーリーテラー(青島幸男)が登場するのですが、文字数の関係でカットいたしました。

監督と脚本が豪華なのも特色のひとつです。
第1話監督の鈴木清順は1980年『ツィゴイネルワイゼン』など。脚本の田中陽造は1985年『セーラー服と機関銃』など。
第2話監督の藤田敏八は1981年『スローなブギにしてくれ』など。脚本の小山内美江子は《3年B組金八先生シリーズ》など。

第13話監督の井田探(いだもとむ)は1964年『こんにちは赤ちゃん』の他、1969年からの『プレイガール』など。脚本の滝沢真里はたくさんの東映特撮作品を手がけていて、『仮面ライダー』などでたくさんの脚本を執筆しています。
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