特撮『怪奇大作戦』の最終回ってどうだった?
2021年7月8日 更新

特撮『怪奇大作戦』の最終回ってどうだった?

子供のときに観てたけど、最終回ってどんなだったっけ?そんな作品ってけっこうありますよね。そんな方のために、最終回のあらすじをお届けします。これであなたも思い出せるはず?『怪奇大作戦』はこんな感じでした。SRI、SRI、怪奇をあばけ!

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『怪奇大作戦』


制作:円谷プロダクション、TBS
放送期間:1968年9月15日から1969年3月9日
放送時間:日曜19:00から19:30
放送局:TBS系列
放送話数:全26話
主題歌:「恐怖の町」サニー・トーンズ

スタッフ

監修:円谷英二
監督:飯島敏宏(最終回担当)ほか
脚本:藤川佳介(最終回担当)ほか
特殊技術:佐川和夫(最終回担当)ほか
美術:池谷仙克
音楽監督:山本猶純
音楽:玉木宏樹

キャスト

牧 史郎:岸田森

的矢忠:原保美
町田大蔵:小林昭二

三沢京助:勝呂誉
野村洋:松山省二
小川さおり:小橋玲子

『怪奇大作戦』とは

不可解な犯罪に科学で立ち向かう、民間組織である科学捜査研究所SRI(Science Research Institute)たちの活躍を描いた特撮作品。

怪獣や宇宙人は登場せず、各話に科学的ガジェットが登場するのが特徴。最終話は「ゆきおんな」だが、これは異色である。

『怪奇大作戦』の最終回

第26話「ゆきおんな」

雪景色の中の、古い旅館。青いジャージ姿の男がトレーニングしている。電話の鳴る音に戻り、旅館の年老いた女将(耳が悪いと思われる)から電話を受け取る。
男「え?足の悪い?(小声で)またか。いないなあ。ここの客は俺しかいないんだ」

旅館の外。男は、足を引きずっている初老の男と会う。
男「おやじさーん。またかかってきたぞ、電話。なあ、おやじさん、だいぶ探されてるらしいな。一体何をやったんだい?一日中へたくそな絵を描いてるかと思うと、人が来りゃ逃げ回るし」
初老の男(以降、親父と表記)は無言で去った。

旅館の湯船に入っている男(以降、小竹と表記)に、親父は声をかけた。
親父「おい、若いの。あんたを見込んで頼みがあるんだがな」
親父は、娘に会いたいのだと言う。
小竹「なんだ、そんなことか。だったらぐずぐずしてないで会ったらいいじゃないか」
親父「そう簡単にいくんなら、お前なんかにゃ頼まねえよ。どうなんだい?聞いてくれるか?お礼は十分にするよ。一目だけ娘に会っておきてえんだ」
小竹「親父さん、なにかよっぽどのことをやったらしいな」

喫茶店にさおりと、その友人の秋子がいる。
さおり「差出人不明の招待状か…。いたずらじゃないの?」
秋子「ううん。そこへ電話してみたら間違いなく予約が取ってあるの」
それは父親からのものかもしれないと秋子は言う。

さおり「ええっ?だってあなたのお父さん、ずいぶん前になくなったんでしょ?」
秋子「あたしもそう思ってあきらめてきたんだけど。この間、知らない人から電話かかってきて。お父さんのことしつこく聞くの。そしたらなんだか、お父さんがどこかで生きてるような気持ちになってきたの」
さおり「よおし、いっちょやったるか」
立ち上がり、指をパチンと鳴らす。

赤いオープンカーは雪道を走り、ホテルに到着した。そこにはあちこちにSRIのメンバーが潜入している。秋子を招待した人は電話で予約を申し込み、5日分の滞在費を支払っていた。

チェックインするときにクラッカーが鳴らされ、フラッシュがたかれる。さおりと秋子はこのホテルのちょうど1万人目の客なのだった。ふたりに女性から花束が送られる。

ホテルの部屋には、不気味な白い肌の女の絵が飾ってあった。

ホテルのバー。ビリヤード場にふたりの男がいる。
サングラスの男A「やつの娘が?」
髭の男B「そうだ。やつはこの那須に隠れてるぜ」
男A「娘から目をはなすな。向こうから出てくるのを待つんだ」

ホテルの一室にいるSRIのメンバー。秋子たちの部屋の絵が盗まれたと野村は言う。
野村「たしかこのホテルはどの部屋も同じ絵が飾ってるはずでしょう?ところがあの子たちの部屋の絵だけが違うんです」

すり替えだ、と町田警部が言う。
町田「それは盗んだんじゃないよ。犯人の目的は後の絵の方なんだ」
ホテルの部屋。
秋子「きっとお父さんが生きてるんだわ」
さおり「でもほんとにそうだとしたら、こんな手間をかけないで会いにくればいいじゃない。それができないっていうのは、なにかあるんだわ」

部屋の電話が鳴る。
的矢「私だよ。的矢だ。君たちがかたくなってちゃ、つかめるものもつかめなくなっちまう。ごく自然にふるまわなくちゃだめじゃないか。いいね。ふたりでスケートでもしてらっしゃい」

屋外のスケートリンクで滑っているさおりと秋子。その時、小竹が現れて秋子を引っ張った。
小竹「井上秋子さんだね。ゆきおんなの絵は見たかい?親父さんからのプレゼントなんだ」
秋子「お父さんはどこにいるの?」
小竹「会いたいかい?でも出てくるわけにはいかないんだ」
小竹は去った。

ラウンジにひとりでいる秋子(ひとりで泳がせてみる作戦)。
そこへ男Bがやってくる。
男B「お嬢さん、もうお会いになりましたか?お父さんにですよ。そう。15年前に我々の前から姿を消したあなたのお父さんにですよ」
秋子「知りません。父は死んでしまったはずです」
男Bは拳銃を見せた。
男B「それが生きている。だからあなたも会いにきたんだろう。どこにいるんだい。やつがこの街に入っていることはもうつかんでるんだぜ」

秋子「あなた、父とどういう関係があるんですか」
男B「15年も前から切っても切れねえ縁ができてるんだよ。知らなきゃ教えてやろうか。おめえの親父さんはなあ」

そこへ植木鉢が割れる音。SRIの牧が割ってしまったのだ。男Bは逃げ去った。

ホテルの一室。
牧「ちくしょう、捕まえて泥を吐かすんだったなあ」
町田「牧くん、まあ落着きたまえよ。勝負はまだ序盤だぜ」

そこへ的矢がやってきて男が写った写真を見せた。それは男Bだった。
牧「そうですよ、この男ですよ」
さっそく本庁に照会してみる、と町田は言う。

夜になり、ホテルでは女性ダンサーたちによるショーが行われている。それをテーブル席で見ているさおりと秋子。ふたりのもとにお酒が置かれる。
さおり「あら、違うんじゃない?頼まないわよ」
ウェイター「あちらの方からです」
見るとそれは昼間の男(男B)だった。

それを監視カメラで見てる的矢のところに町田がやってくる。町田は、男Bがダイヤ盗難事件の指名手配になってる一味のひとりだと言う。そのボスの名は角田で、その娘が秋子なのだった。

男B「お邪魔してもよろしいでしょうか」
さおりたちのテーブルに男Bがやってきた。
さおり「秋ちゃん、いきましょう」

そして私服の警官たちが、男Bにとびかかった。捕まえるものの、男Bは死んでいた。

その混乱の中に、小竹が秋子に言う。
小竹「ゆきおんなから目を離すな。そう言ってるんだ」
それだけ言い残して去る。

ホテルの部屋。
秋子「お母さんだわ。お母さんの顔だわ、これ」
さおり「でも、どうしてこんなことをしなきゃならないんだろ?15年前にいったい何があったんだろ?」
秋子「わからないわ。覚えているのは、奥の部屋にお客さんがきていた。それから怒鳴りあうよな声がして、何か壊れるような、破裂するような音がして。お母さんが死んで、お葬式があった」
ウルトラ特撮 PERFECT MOOK vol.07 ...

ウルトラ特撮 PERFECT MOOK vol.07 怪奇大作戦/恐怖劇場アンバランス (講談社シリーズMOOK)

次の日。旅館にいる小竹と親父。
小竹「なあ、親父さん、お礼の方は本当に大丈夫なんだろうな?俺だってあんたのために命を捨てるような義理はなにもねえんだからな」
親父「心配するな。お礼はきっとするよ」
小竹「見せてもらいてえんだ、そいつを」

いま、ここにはないと親父は言う。
親父「まあ慌てるな。話してやる。わしを狙っている連中はいったい何が目的だと思う。ダイヤだ。4、5千万円はする代物だぞ。わしはそれを娘に渡してやりてえんだ」

ダイヤの秘密を解く鍵は娘に渡した、娘がそれを見つけ出すまで守ってやってくれ、と親父は小竹に言う。
小竹「よし、一割もらうぜ」

一方、ホテル。秋子はゆきおんなの絵を見て驚いた。その絵が溶けているのだ。中から出てきたのは手書きの地図だった。

目を覚ましたさおりは、秋子がいないことに気が付く。部屋の内線電話をかけた。

山道を進んでいる秋子。そして地図を頼りに、土中に埋められたダイヤの袋を掘り出した。帰り道の秋子の前に男が現れる。その男から秋子を救ったのは小竹だった。
小竹「はやく逃げろ!親父さんにはあとで必ず会わせてやる。はやく逃げろ!」

小竹は男を倒し、親父のもとへ近づいて行く。銃声。親父は小竹を撃ったのだ。
小竹「親父、俺が信じられないのか…?」
親父「あたりめえだ。15年前、わしもあの宝石を見て仲間を裏切った。おめえだってきっとあれを見りゃ」
小竹「ばかやろう。もうひとりてめえの仲間…もう一人…」
小竹は倒れた。

秋子は、もうひとりのその男に追いかけられている。袋の中からダイヤを出して、投げる。
男「ダイヤ!くそう。よ、よせ!」
秋子「おかあさん…おかあさん…おかあさーん!」

すると雪が降る草地の地平線に、大きなゆきおんなの姿が浮かび上がった。不気味に笑っている。

男は怯えて逃げる。だが地平線向こういっぱいに、ゆきおんなの顔が。

男は滝から落ちてしまった。それを上から見るゆきおんな。

地面に倒れている秋子。ゆきおんなは背を向けて去っていく。

町田たちは銃声を聞いた。親父が頭から血を流し、雪の上に倒れていた。脇には拳銃が落ちている…。

目を覚ました秋子。
秋子「ゆきおんな…」
さおり「ゆきおんな?」
秋子「ゆきおんなが私を助けてくれたのよ。見えたでしょ?」
さおり「しっかりしてよ、あきちゃん!」
秋子「お父さんが言ってたのはこのことね。ゆきおんなが私を守ってくれたのね。私のお母さんよ」
的矢「そう。秋子さんを守ってくれたのはゆきおんなだ。君とそっくりなお母さんだった」

牧と三沢、野村が草原を歩いている。
牧「つまり、あるときの気象条件によって自分自身の影が雪のスクリーンに写し出されることがある。ゆきおんなの現象ってのはだいたいそんなようなものなんだ。しかし現在は、この広いはらっぱにばらまかれたダイヤモンドを探し出すことのほうが、はるかに難しい」
三沢「その通りだ」
がっくりと肩をおろし、それぞれ散らばってダイヤを探す3人。

その後の『怪奇大作戦』

我々ミドルエッジ世代の特撮好きにとってSRIと言えば『怪奇大作戦』だと思うのですが、現在では沢口靖子主演のテレビ朝日系ドラマ『科捜研の女』をみんな思い浮かべるでしょう。
ちなみに科学捜査研究所というのは実在するそうです。

その後としては2007年からのリメイク『怪奇大作戦 セカンドファイル』、2013年からの『怪奇大作戦 ミステリー・ファイル』などがあります。

さて、本稿を執筆しているのは5月20日なのですが、18日に俳優・田村正和の死去が報じられました。亡くなったのは4月3日とのこと。

同氏の代表作と言えば『古畑任三郎』があげられますが、じつは『怪奇大作戦』にも出演予定だったんです。三沢京助役だったとか。

もしこれが実現していたら代表作の1本になっていたかもしれませんね。
そのあとの役者人生も、大きく変わっていたとも思いますが。
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