特撮『イナズマンF』の最終回ってどうだった？

『イナズマンF（フラッシュ）』

イナズマンF(フラッシュ) VOL.1 [DVD]

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制作：NET、東映、東映エージエンシー
放送期間：1974年4月9日から1974年9月24日
放送時間：火曜19:30から20:00
放送局：NET（いまのテレビ朝日）系
放送話数：全23話
主題歌：「フラッシュ！イナズマン」秀夕木

スタッフ

原作：石森章太郎
監督：塚田正煕（最終回担当）ほか
脚本：上原正三（最終回担当）ほか
音楽：渡辺宙明

キャスト

渡五郎／イナズマン：伴直弥
荒井誠：上野山功一
荒井千津子：野口ふみえ
荒井ルミ：上田里美

ガイゼル総統：安藤三男
サデスパー：岩名雅記（声の出演）
カレン：鳥居恵子

ナレーター：村越伊知郎

『イナズマンF』とは

帝王バンバとの戦いが終わったイナズマンの前に、新たな敵デスパー軍団が現れる。狂気の独裁者ガイゼル総統は、サイボーグにより日本全土を支配しようとしていた…。

石森章太郎原作による『イナズマン』の続編。前作最後に現れたガイゼル総統との戦いが描かれる。

『イナズマンF』の最終回

第23話「さらばイナズマンガイゼル最期の日」

ガイゼル総統は近日中に最後の計画、人工太陽を利用した日本全土破壊作戦を実行しようとしていた。渡五郎と荒井誠（インターポールの秘密捜査官）は、ついにデスパー・シティへの入り口を突き止める。

夕闇の中、ふたりは海岸の岩場で洞窟を発見する。そこを抜けると明るい昼間の街並みが広がっていた。ガイゼルが東京の街そっくりに作り上げたデスパー・シティだった。ふたりは公園で、馬に乗ったガイゼル総統の娘カレンと出会う。窮状を訴えようと近づいた男性市民は、マシンガンで遠くから撃たれて死んだ。カレンは去って行く。
市民「カレン様に近づいた者はみんなこうなる。親衛隊がいつも見張ってるんです」

別な市民たちに近づいて行ったカレンは、鎌を投げられて左手を怪我した。気を失ったカレンを五郎が介抱する。
カレン「私はガイゼルの娘。それを知って助けてくれたんですか？」
五郎「誰の娘だろうと関係ない。君が怪我をしていたから手当したまでだ」
荒井「私は君を助けるのは反対だった。君は可愛い顔をした悪魔だ。君に近づいたり話しかけたりするものは、ことごとくマシンガンの餌食になってしまう。ガイゼルは冷酷な独裁者、殺戮者だ。君はそれを知っているのか」
カレン「私の父が？」

そこにサデスパー（デスパー・シティの市長）が部下を連れて現れた。
サデスパー「死にに来たようなものだな、渡五郎。カレン様。この男が我がデスパーに弓引く渡五郎ことイナズマンです」
カレン「怪我をした私を助けてくれたのよ」
サデスパー「おどきください。いくらカレン様の言いつけでもこれだけはきけません」
デスパー軍団に連行される三人。

デスパー軍団の本部。ガイゼル総統とカレンがいる。
ガイゼル「なに？渡五郎は助けてくれたと？」
カレン「ええ。誰の娘だろうと関係ない、君が怪我をしたから助けたまでだ。渡五郎はそう言ったわ。人間は凶悪な生き物だ、下手に近づくと命が危ない。あの言葉は嘘だったのね。私を人間社会から遠ざけるためにわざとあんなことを」
ガイゼル「ばかもの！」
平手打ちされて倒れるカレン。
ガイゼル「部屋へ帰っていなさい」
去るカレン。ガイゼルは杖を振るって部下達に八つ当たりする。

デスパー本部の牢屋にいる五郎と荒井は、腕時計を合わせた。爆発が起きて、牢屋の鍵が壊れる。脱出したふたりと軍団兵たちの戦いが始まった。

ガイゼルのもとにサデスパーがやって来て、ふたりを取り逃がしたことを報告する。
ガイゼル「大胆不敵な奴め。サデスパー！イナズマンをデスパー・シティから出してはならん。最後の切り札を使うのだ」
サデスパー「と言うと人工太陽を爆破？」
ガイゼル「イナズマンを5万市民と共に抹殺してしまうのだ」
爆発は火山帯に作用して、一部を残して日本を海に沈めるのだった。それをドアの外でカレンが聞いている。
ガイゼル「日本全土を支配する野望は捨てた。我々は新しいデスパー帝国を築かねばならん。人工太陽を一時間後に爆発するようセットするのだ。早く行け！」
サデスパーは人工太陽の爆破スイッチがある部屋に入り、セットした。

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薄暗い本部の中を歩いている五郎と荒井。すると島崎藤村の『若菜集』を朗読している女性の声が聞こえた。それは荒井がかつてデスパー・シティを脱出した時に置いてきてしまった、妻の千津子だった。彼女の他にデスパー市民、そして娘のルミがいた。千津子に荒井は言う。
荒井「千津子、皆さんを連れてここから脱出するんだ」
五郎「荒井さん！あとは俺がやる。せっかく奥さんやお嬢さんに会えたんだ。荒井さんは皆さんを連れて」
荒井「五郎くん！馬鹿を言うんじゃない。私はインターポールの秘密調査団だ。デスパーを討つ大使命の前に私情は許されない。千津子、私はデスパーを討つためにインターポールに入った。わかってくれるな？ルミも」
うなずく千津子、ルミ。そこへサデスパーの足音が近づいてくる。隠れる五郎と荒井。

サデスパー「おい！ここへ渡五郎が来たろう。どこへ隠れている」
何も言わない人々。
サデスパー「言いたくなければそれでもいい。人工太陽は本日19時30分に爆発する。渡五郎に伝えよ。このデスパー・シティでいくらあがいてももう遅いとな」
去るサデスパーと兵士たち。五郎と荒井が顔を出す。
荒井「これはどういうことだ。デスパー市民を皆殺しにしようってのか」
五郎「それがもし本当なら日本はおろか地球の命も危ない」

外へ出たふたりはデスパー兵士たちと戦う。
五郎「剛力招来！超力招来！自由の戦士イナズマン！」
イナズマンとサデスパーの戦いが始まる。
イナズマン「ゼーバーイナズマンフラッシュ！」
ついにサデスパーは爆発して倒された。
荒井「イナズマン、はやくガイゼルを！」

人工太陽を爆破するスイッチを止めようとしていたカレンは、それに成功する。
ガイゼル「カレン！貴様は…」
そこへ現れたガイゼルは剣でカレンを突き刺した。倒れたカレンを見下ろすガイゼル。イナズマンが現れた。
ガイゼル「来たか、イナズマン」
イナズマン「ガイゼル、自分の娘までも手にかけたのか！」
ガイゼル「私に刃向かう者は生かしておけん。お前もだ、イナズマン！」
戦いが始まった。

ふたりは外に出た。そこは昼間で、背後にはデスパー・シティの高層ビルが見える。
イナズマン「ガイゼル、人の心を持たない奴は許すわけにはいかん！」
ガイゼル「このデスパー・シティと共に消え失せろ！」

イナズマン（…なぜ目をかばう。あの右目に秘密があるに違いない）
ガイゼルから剣を奪ったイナズマンは、それでガイゼルの右目を突き刺した。流れる血。そして空間が歪み、ふたりは夜の海岸の岩場に出現した。
イナズマン「ミラクルパンチ！」
それははずれるが、イナズマンは再びパンチを繰り出す。そしてついに腹にパンチが命中し、ガイゼルは倒れた。

夜明けが訪れ、明るくなっている海岸。立っているイナズマン、荒井、千津子、ルミ。
荒井「そろそろ朝日がのぼってくるぞ」
千津子「ひさしぶりにほんとの太陽が拝めるのね」
ルミ「本当の太陽？」
荒井「そうか。ルミは初めて見るんだっけな」
千津子「ルミちゃん、動物園でもどこでも好きなところへ連れてってあげるわ。みんなイナズマンのおかげよ」
ルミ「ありがとうイナズマン」
イナズマンはルミを抱き上げた。ふたりはのぼってきた朝日を見る。
イナズマン「良かった。人類に平和が訪れて…」

ナレーション「血みどろの死闘が終わると、美しい朝日がめぐりきた。デスパー市民5万人の解放とともに、正義の凱歌がこだまする。さらばイナズマン。ありがとうイナズマン。イナズマン、あなたはぼくらの本当の自由の戦士だ」

イナズマン・イナズマンF

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その後の『イナズマンF』

『イナズマン』『イナズマンF』と続いたシリーズもこれで完結です。

本作は女性ゲストが多かったのも特徴でした。
第7話「大決戦！ウデスパー対イナズマン！！」ウデスパーが送り込んだ凄腕の女サイボーグ・ミスワン（鹿沼えり）。
第11話「美しいサイボーグ！暁に分身す！！」サイレンサーデスパーが正体の大橋あけみ（隅田和世）。
第16話「謎の女その名はデスパー秘密捜査官」インターポールの女捜査官K麻耶（山科ゆり）。
第18話「レッドクイン暗殺のバラード」デスパー暗殺の女王レッドクインこと飛鳥夕子（八代順子）。
第20話「蝶とギロチン花地獄作戦」女マジシャン・テレサ（奈良富士子）。
などなど。

奈良富士子はのちに『ウルトラマンレオ』に美山いずみ役としてレギュラー出演しています。