LA最大の自動車博物館でまさかの“族車”が殿堂入り!?|アメリカで再会した懐かしの暴走族スタイルがムネアツ過ぎる

日本車への愛が突き抜けるピーターセン自動車博物館とは?

アメリカには数多くの自動車博物館があるが、中でもその展示規模、企画内容、主催イベントいずれも素晴らしく、さらに、日本車への愛も突き抜けているのがロサンゼルスにある「ピーターセン・オートモーティブ・ミュージアム」である。

そこではなんと!『VIP』(VIPカー)や、『BOUSOUZOKU』(暴走族)までが、カスタムの1カテゴリーとして認められ展示されている。どんな博物館なのだろうか?

■日本でも滅多に見ないレアな日本車まで! ピーターセン自動車博物館[フォトギャラリー]

LAのダウンタウンで異彩を放つ前衛的なデザインの建物が自動車博物館

ピーターセン自動車博物館は、日本人旅行者に人気の観光地ビバリーヒルズやハリウッドから車で10分程度の場所にある。1994年にできた博物館だが、2015年に9000万ドルもの費用をかけて大規模改築を行い、写真のような前衛的なデザインの建物になった。

アメリカに生産拠点を持つ日産やトヨタなど、日本の自動車メーカーもこれまで多くの寄付や車両の寄贈を行ってきた。1996年7月に生産打ち切りとなった日産フェアレディZ(米国名 300ZX) の最終オフライン車も同博物館に寄贈されている。

筆者はこれまで、2-3年に1回ペースで過去10回ほどこの博物館を訪れているが、常設展示の他、企画展示が非常に充実している。日本車をテーマにした企画展も何度か行われており、いずれも趣向を凝らした展示でアメリカでの日本車がどのように人々に愛されて、多くの人の支持を得て来たのか?といったことまでが分かる内容で、いつも胸が熱くなるのだ。

「BOUSOUZOKU」(暴走族)スタイルのカスタムこそ究極のJDMなのだ!

日本のような車検がないアメリカでは、日本よりもはるかに自由なカスタムカーを見ることができる。どんなに車高が低くても、目を疑う派手な外観であっても、車文化が成熟しているアメリカでは誰もが笑顔で受け入れる。まあ、“なんでもあり”とは言っても他の交通に危険を及ぼすような爆音や煙などは禁じられているが。

そして、アメリカの中でもとくにカーカスタムが盛んなのが、ロサンゼルスやサンフランシスコを中心とする西海岸エリアだ。ピーターセン自動車博物館の中にもカスタムカーを集めた展示エリアがあり、そこには、カスタムカーとは何か?どんな種類があるのか?を説明する掲示板があった。

掲示板にはアメリカンカスタムの王道「ローライダー」や「ストリートマシン」「ホットロッド」「バン・コンバージョン」などの中に、「ボウソウゾク」「VIP」といった、超日本的なカスタムが王道のカスタムスタイルと共に紹介されている。アイコンの「BOUSOUZOKU」にはどんな説明が書かれているのだろうか?

BOUSOUZOKU(暴走族)

「暴走族の車は主に日本に存在するカスタムスタイルである。これらの車は過激なまでに車高を落とし、ウィングやスポイラー、エアダムなどのエアロパーツで超ワイド化し、独特の排気システムを有している。非常に大げさなスタイルが特徴」

なるほど。JDM人気が定着しているアメリカでは、暴走族スタイルのカスタムさえも、究極のJDMと捉えているのだろう。

ムネアツ! 竹やり・出っ歯のイカツい“族車”がLAに展示されているなんて!

暴走族スタイルのカスタムとして展示されていたのがこちらの2車である。いずれもベースは、族車ベースとしてもかつて人気が高かった?トヨタ マークII(米国名トヨタ クレシーダ)とその兄弟車クレスタである。

1980 TOYOTA CRESSIDA

典型的な懐かしい?族車スタイルである。今の時代、なかなかこのスタイルの族車には日本であってもお目に掛かれないだろう。いかにもなシート柄やリアトレイに置かれたスピーカーなど、細部に至るまで当時のスタイルで再現されている。出展の説明には以下のように記されていた。

「このユニークな80年型トヨタ クレシーダはカリフォルニア州オレンジカウンティに本拠地を置く、Moonlight Runners(ムーンライトランナーズ)が“暴走族スタイル”を意識して製作したカスタムカーである。暴走族スタイルとは日本独特のカスタムで、過度に強調されたスタイルが特徴。日本から輸入されるケースが多くアメリカで製作されたものは非常に少ない。なお、チンスポイラーと3ピースのウィング、そしてマツダRX-3のような形をしたフェンダーはファイバーガラス製でハンドメイドされている。また、非常に長いマフラーパイプは、10フィートの長さを誇る」

1991 TOYOTA CRESTA

こちらは「街道レーサー」として紹介されている91年型のクレスタがベースだ。族車にしては、少し上品な気もするが、アメリカの感覚だとこちらもBOUSOUZOKUなのかもしれない。

「オーナーのダニエル・ペルグリノ氏が日本で購入し、アメリカにこの独特な暴走族スタイルのカスタムを広めるために日本から持ち帰った車である。日本国外では見ることがあまりないユニークなスタイルは、80年代のスーパーシルエット(1976年から1981年までFIA規定で行われていた特殊プロダクションレースのこと。シルエットフォーミュラとも呼ばれる。外観だけ市販車に似たスタイルだが中身はフォーミュラカーのように過激でクレイジーなマシン)の改造手法に影響を受けている。非常に大きなウィングや極度なフロントスポイラー、ワイドボディキットが特徴で、外部に取り付けられたオイルクーラー、星型に繰りぬかれたヘッドライトなど個性的な装備が豊富だ。SSRのフォーミュラメッシュのホイールをはいている」

1973 NISSAN SKYLINE 2000GT-X

そして、こちらのケンメリにもインパクト大である。こちらは「BOUSOUZOKU」として紹介されていたわけではないが、来場者の注目を集めていた1台なので、こちらも紹介しておこう。

かつて在日米軍に所属していたパトリック・ソリマン氏の所有。彼が日本にいた時にこの車を見つけ(購入した時はあまり良い状態ではなかった)レストアを施した。シャコタンに仕立て、エンジンもR32GT-Rなどと同じRB26DETT(552HP)に換装した。ホイールにも要注目で、深リムホイール「Riverside SUPER RIVER」を履いている。数多くの特殊技術を開発してきたブランドで、日本はもちろん、世界中のJDM旧車愛好家に支持される、かなりツウ好みのブランドである。

ここで紹介した以外にも、実に多くのレアな日本車が展示されている。日本車がアメリカでどのように愛されてきたのか?がわかるムネアツの体験、フォトギャラリーページでもじっくり体感して欲しい。

そしてもし仕事や旅行でロスを訪れる機会があるなら、実際にピーターセン自動車博物館へ足を運んでみることを強くお勧めする!

[筆者:加藤 久美子 / 撮影:加藤 博人]

>>必見!日本でも滅多に見ないレアな日本車が勢ぞろい ピーターセン自動車博物館[フォトギャラリー]

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加藤 久美子
筆者加藤 久美子

山口県下関市生まれ 自動車生活ジャーナリスト 大学時代は神奈川トヨタのディーラーで納車引き取りのバイトに明け暮れ、卒業後は日刊自動車新聞社に入社。出版局にて自動車年鑑、輸入車ガイドブック、整備戦略などの編集に携わる。95年よりフリー。2000年に第一子出産後、チャイルドシート指導員資格を取得し、チャイルドシートに関わる正しい情報を発信し続けている。 得意なテーマはオリジナリティのある自動車生活系全般で海外(とくにアメリカと中国)ネタも取材経験豊富。愛車は22年間&26万km超の916アルファスパイダー。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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