皆さんお元気ですか? から30年目のセフィーロ
2018年9月1日 更新

皆さんお元気ですか? から30年目のセフィーロ

自動車のテレビCMは数々あれど、今も語り草になっているのが「皆さんお元気ですか?」が口パクになっちゃった日産セフィーロです。どんなCMだったのか、そしてそもそもセフィーロがどんなクルマだったのか、振り返ってみましょう。

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井上陽水氏が出演した伝説のテレビCM

今からちょうど30年前の1988年9月1日、日産セフィーロは発売されました。スタイリッシュなフォルムもさることながら、一番話題になったのはシンガーソングライターの井上陽水氏を起用したCMでした。

「キーワードはくうねるあそぶ」という陽水氏のナレーションが流れ、セフィーロを後ろから捉えたカメラは横に並んで併走すると、助手席の窓が開いて陽水氏が「皆さんお元気ですか?失礼します」というものでした。

1988年CM 日産セフィーロ みなさんお元気ですか編 井上揚水

「皆さんお元気ですか?」
初代セフィーロの30秒版CM。普通に音声が流れています。
井上陽水氏は、長いこと人気がある歌手で、テレビ番組やCMのBGMに楽曲が流れることは多々ありますが、ご本人がCMに出演するのは希でした。本当はご本人に運転させたかったらしいのですが、当時は運転免許を持っていなかったらしく、助手席に乗ることになりました。

さて、このユニークなCMはその後、昭和天皇の病状が悪化したため、苦肉の策でCMの音声が消され、窓を開けた陽水氏は口をパクパクさせているだけになりました。これはこれで話題を呼び、現在まで語り草になっております。

1988 NISSAN CEFIRO Ad

「●▲■★◆●■▼★」
音声が消された15秒版CM。今見てもインパクトがあります。さらに洗車バージョンが続きます。

成り立ちはC33型ローレルのセダン版

カタログモデルのスポーツツーリング

カタログモデルのスポーツツーリング

CMや広告、カタログなどではブルーイッシュシルバーメタリックのスポーツツーリングが使用された。写真のスポーク状のアルミホイールは、HICAS装着車のみ選択可能なメーカーオプション。
さて、今回のテーマのセフィーロですが、CMだけでなくクルマそのものもユニークなものでした。

直列6気筒2000ccエンジン、5ナンバーボディー、リアマルチリンクサスペンションという成り立ちは、同じ日産のC33型ローレル・R32型スカイラインと共通の兄弟車で、特にフロントがストラット式のローレルと基本メカニズムは共通でした(ローレルは同88年12月、スカイラインは翌89年5月にフルモデルチェンジ)。
セフィーロの後ろ姿

セフィーロの後ろ姿

Cピラーにクオーターウィンドウのある6ライトボディーのため、優雅なリアスタイルだった。
実際、海外にはセダンボディーのセフィーロがローレルの後継として輸出され、中東や中南米ではローレルアルティマの名称で販売されました。

販売店はブルーバード店とサニー店で、ブルーバード店では2ドア一本になってしまったレパード4ドアの後継として、サニー店では初の6気筒エンジン車として、またシルビアのセダン版的な位置付けで取り扱われました。そうやって見てみると、初代レパードの4ドアと似ていますね。私の知り合いでも、初代レパードからセフィーロに買い換えた人がいました。
セフィーロのダッシュボード

セフィーロのダッシュボード

インパネのデザイン、ステアリングやシフトノブ、エアコンやオーディオなどの機器類はローレルと共通だった。
外観は流れるような6ライトボディー、プレスドアを使用した4ドアセダンで、前面はシルビアで採用されたプロジェクターヘッドライトを採用。透明プラスチックを重ねたグリル形状で、これまでのミドル級セダンにはないスタイリッシュなフォルムでした。

内装は助手席に中折れ式のシートを採用。ステアリングは3本スポークでした。メカニズム面では、直列6気筒のRB20型エンジンを採用。SOHC・125PS、DOHC・155PS、DOHCターボ・205PSの3種類があり、いずれも5速MTと4速ATが選べました。

サスペンションは標準の前ストラット・後マルチリンクのほか、電子制御DUET-SS、4輪操舵システムのHICAS-IIの3種類が用意されました。
セフィーロのシート

セフィーロのシート

助手席には背もたれの途中で角度が変えられる中折れ式を採用。2代目レパードが初採用し、セフィーロが続いて採用。翌年モデルチェンジしたローレルでも採用された。

装備が選べたセフィーロ・コーディネーション

セフィーロが最もユニークだったのは、先述の仕様を自由に組み合わせられたところです。「セフィーロ・コーディネーション」と命名され、バブル期のお洒落な空気感にフィットするものでした。エンジン、サスペンションは仕様ごとに名前がありました。

●エンジン
SOHC:タウンライド
DOHC:ツーリング
DOHCターボ:クルージング

●サスペンション
標準:なし
電子制御DUET-SS:コンフォート(変速機は4速ATのみ)
HICAS-II:スポーツ

●内装生地
ダンディ/エレガント/モダン(3種)

●内装色
オフブラック/ブラウン(2色)

●車体色
9色
コンフォートクルージング

コンフォートクルージング

ダークレッドパールのコンフォートクルージング。写真のエアロタイプのアルミホイールは、標準サス、DUET-SS装着車が選択可能なメーカーオプション。バンパー側面に付いたコーナリングランプが、当時の日産らしいデザインだった。
これらの組み合わせにより、例えばDOHCターボ+電子制御DUET-SSは「コンフォートクルージング」、DOHC+標準サスは「ツーリング」、SOHC+HICAS-IIは「スポーツタウンライド」などというグレード名になりました。この組み合わせにより、例えばスカイラインでは設定のないDOHC+HICAS-IIなんて選択もできました。

カタログにはおすすめの組み合わせが掲載されていましたが、エンジン、サスペンション、変速機、内装生地、内装色、車体色の組み合わせで、合計810通りもの選択肢になるそうです。

また、1989年8月23日から人工皮革のエクセーヌをシート生地に採用したエクセーヌセレクションが設定されました。

Nissan - Cefiro

一方その頃井上は……
余計なことは言わないCM

1990 NISSAN CEFIRO Ad

再び助手席から語りかけますが……
最初のCMを意識したお遊びもあるのでしょうか。何を言うのか?と見る側をドキドキさせます。

ネガティブ要素を潰した中期型

32 件

思い出を語ろう

     
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  • ライモン 2022/4/17 14:26

    A31型のセフィーロって井上陽水のCMが上りがちですが、ドリフト向けのクルマとして走り屋に人気でした。4ドアセダンでしたが、スカイライン系統のRBエンジンを使ってるのはもちろん、シルビア・180SXのパーツも流用出来たし、それに中古価額も安くなっていたので改造しやすかったそうです。ドリフトするセフィーロはお元気ですか、というよりもだいぶ元気過ぎてやんちゃです!と言う感想ですね。少し当初はデートカーのキャラクターで売り出したはずのS13シルビアと同じく、日産にとっては想定外だろうですけど…。

    たけにゃん 2018/9/4 16:36

    中期型NA31アテーサクルージングに乗ってました。スタイリッシュで北は竜飛崎、南は佐多岬まで大活躍してくれました。当時売出し中のNAVANの内装、外装でカタメてました。91年式で18年間10万キロで家族を乗せるには安全面が見劣りし乗り換えました。

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