北野武 第3作目 「あの夏、いちばん静かな海。」
1991年公開の日本映画。
監督・脚本:北野武、音楽監督:久石譲、録音:堀内戦治。
出演:真木蔵人、大島弘子、河原さぶ、藤原稔三、寺島進ほか。
サーフィンに打ち込む聾唖の青年とその恋人の姿を描く静謐なラブストーリー。
第34回ブルーリボン賞作品賞、監督賞受賞。第46回毎日映画コンクール日本映画優秀賞、音楽賞、録音賞受賞。第1回東京スポーツ映画大賞作品賞受賞。
この作品で初めて、音楽に久石譲が起用された。北野武監督作品として2012年現在に至るまで唯一の東宝配給作品である。
この作品は北野の監督作品として最初に北野本人が出演しなかった作品である。
キャッチコピー
浜辺に棄てられた折れたサーフボード もう誰も振り向かないけれど 二人にとっては大切な宝物だった/
一生にいちど、こんな夏がくる
台詞の少ない映画 「あの夏、いちばん静かな海。」
茂と弘子は耳が聞こえないため、セリフは一切ありません。
この二人が恋人同士であることは明らかなのですが、ラブシーンも一切ありません。
それどころか、視線すらもほとんど合わせていないという……。
茂に絡んでくるサーファーの少年たちも登場しますが、あまりにも静かで、あまりにも「何もない」映画。
なのに、観客をまったく退屈させない映画でもあります。
映画「あの夏、いちばん静かな海。」劇場予告 - YouTube
【劇場予告】
久石譲によるシンセサイザーの涼しげな音楽が印象的。
久石譲によるシンセサイザーの涼しげな音楽が印象的。
via www.youtube.com
物語は、淡いひと夏の思い出
収集車でのごみ回収業務を仕事とする聾唖の青年・茂がごみとして出された先端の欠けたサーフボードを持ち帰る。
茂はそのボードに発泡スチロールを継ぎ合わせ、同じく聾唖の彼女・貴子を誘い海へ向かう。
茂はサーフィンにのめりこむ。貴子は砂浜に座っていつもそれを見つめていた。
via blogs.c.yimg.jp
そしてついに壊れてしまうサーフボード。しかし茂は給料日を待って新品を買うと、また海辺に通い詰めた。
スーツもつけずにサーフィンに挑み、そんな茂のひたむきさを見たサーフショップ店長の中島は、彼に一着のウェストスーツとサーフィン大会の出場申込書を差し出した。
そのサーフィン大会の当日。茂と貴子はじっと出番を待っていたが、そうこうするうちに大会は終わってしまう。
自分の出番を告げるアナウンスが聞こえずに失格となってしまったのだ。
via ameblo.jp
via blogs.c.yimg.jp
それでも茂のサーフィンの情熱はつのるばかりで、仕事さえも忘れるほどだった。
また、常連のサーファーたちとも次第に打ち解けるようになっていた。
こうして二度目のサーフィン大会を迎え、腕を上げた茂は、見事に入賞し、仲間たちの祝福を受ける。
大会終了から数日後、ただ一人で荒波を見つめる茂。
そして遅れてそこへ向かう貴子。
しかしそこには茂の姿はなく、あるのは悲しさを包みこんだような静かな海だけだった。
via blogs.c.yimg.jp