2017年10月15日 更新
ゆるキャラ「イプー」も懐かしいミニバン、イプサム
今や日本車の主流となった3列シートのミニバン。5ナンバーミニバンの中で、一世を風靡したものの、今ではなくなってしまったクルマにトヨタのイプサムがあります。「イプー」のCM、覚えていますか?
トヨタは投入した5ナンバーサイズのミニバン
イプサムは1996年5月にトヨタが発売したミニバンです。今では一般的な5ナンバー・乗用車ベースのミニバンですが、当時は日産プレーリーと三菱シャリオが先駆けとしてあったほかは、まだまだ未熟な市場でした。
日本のミニバンの大きな転換点となったのは、1994年に発売されたホンダ・オデッセイです。乗用車ベースで車高の低いミニバンは、スタイリッシュなフォルムで大ヒットしました。トヨタは、一回り小さな5ナンバーサイズに収めることで、扱いやすいミニバンを目指したのです。
サイズは、全長4530㎜、全幅1695㎜、全幅1620mm、ホイールベース2735㎜で、同年発売のコロナプレミオをベースに、衝突安全ボディのGOAを採用。エンジンはガソリン2000㏄、FFと4WDが用意されました。
車内は2+3+2の3列シートで7人乗り。デザインは当時のトヨタらしい平凡なものですが、3列目のDピラーを斜めにしたデザインはイプサムが先駆けたものです。
懐かしいイプーとビビアン・スーのCM
手頃な価格と扱いやすいサイズ、そしてトヨタの販売力もあって、イプサムはヒット車種となりました。販売に貢献したのが、今でいう“ゆるキャラ”の「イプー」でした。丸っこいイプーは、「イプー」と言いながら魔法をかけ、イプサムに乗った家族の夢を実現するというコミカルなものでした。
西村雅彦(現・西村まさ彦)とビビアン・スーが夫婦役で起用されました。ビビアン・スーはまだ20代前半ですがママの役どころ。我々ミドルエッジ世代には懐かしい名前ですね。
イプサムは、発売翌年の1997年8月に2200㏄ディーゼルを追加。さらにエアロパーツをまとったエアロツーリングと、特装車のウェルキャブが追加設定されました。1998年4月にはマイナーチェンジが施されましたが、好評だったためリファインと使い勝手の向上に留まり、大きな変更は加えられませんでした。
また、1998年5月には、兄弟車としてイプサムよりも高級感を高めたガイアを設定しました。
フルモデルチェンジで3ナンバーサイズに
好評だったイプサムは、2001年5月にフルモデルチェンジ。全幅が拡大されて3ナンバーサイズになり、エンジンも2400㏄に変更。文字通り3ナンバーのミニバンになりました。上級移行に合わせて、CMもコミカルなものからシックなつくりに変更されました。
当初はそこそこ売れましたが、中途半端な大きさやスライドドアではないことが災いして、次第に厳しくなってきました。それでも製造され続け、2009年に生産を終了しました。
イプサムの後継車はありませんが、2007年に発売されたマ-クⅡベースのミニバン、マークⅡジオが販売店関係からは実質的な後継車といえました。また、2003年にはヒンジドア・5ナンバーのウィッシュが、2004年にはスライドドア・5ナンバーのアイシスが発売されました。販売店の系列は違いますが、サイズ的には初代イプサムに近いクルマといえます。
1990年代は、さまざまなミニバンが試行錯誤的にたくさん登場した時代でした。イプサムもそのひとつです。とりたてて面白いクルマではありませんが、懐かしいCMとともに記憶に残ることでしょう。
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