私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、
『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、
古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。
今回は、ガンダムブーム当時、総監督の富野由悠季氏が執筆した、小説版『機動戦士ガンダム』中盤から登場した、G3ガンダムとシャア専用リック・ドムの紹介です!
今回は、ガンダムブーム当時、総監督の富野由悠季氏が執筆した、小説版『機動戦士ガンダム』中盤から登場した、G3ガンダムとシャア専用リック・ドムの紹介です!
G3ガンダム+シャア専用リックドムセット 2008年2月発売 2500円
G3ガンダム(REVIVE) ガンプラEXPO ワールドツアージャパン 2015限定販売 2015年11月 1000円
G3ガンダムとシャア専用リック・ドムのルーツを知っている者は幸せである。心豊かであろうから……。
G3ガンダムやシャア専用リック・ドムを、ジョニー・ライデン専用ザクや、ランバ・ラル専用ドムのような、MSVだと思っている人、不正解!
G3ガンダムを「ガンダム後半、ニュータイプに覚醒したアムロ用に、マグネットコーティング仕様で再開発されたが、アムロに届けられないまま終戦を迎えたために、アニメに登場しなかったガンダム」だと思っている人、不正解!
G3ガンダムやシャア専用リック・ドムを、ゲームの『ギレンの野望』等に登場する「キャスバル用ガンダム」なんかと同じ、近年の二次創作的オリジナルユニットだと思っている人、不正解!
G3ガンダムやシャア専用リック・ドムを、ジョニー・ライデン専用ザクや、ランバ・ラル専用ドムのような、MSVだと思っている人、不正解!
G3ガンダムを「ガンダム後半、ニュータイプに覚醒したアムロ用に、マグネットコーティング仕様で再開発されたが、アムロに届けられないまま終戦を迎えたために、アニメに登場しなかったガンダム」だと思っている人、不正解!
G3ガンダムやシャア専用リック・ドムを、ゲームの『ギレンの野望』等に登場する「キャスバル用ガンダム」なんかと同じ、近年の二次創作的オリジナルユニットだと思っている人、不正解!
いや、厳密には上記の括りで受け止めていても問題はないのだけれども、実はG3ガンダムとシャア専用リック・ドムには、明確な出自があって、それはなんらビジネス的なスケベ心とは別個のところに、ガンダムブーム当時を知る者にしか共有できない「入れ込んだファンならでは」の機体であったのだ。
それは、『機動戦士ガンダム』(1979年)放映中の1979年から、全3巻で書かれた、富野由悠季総監督自らの手による、小説版『機動戦士ガンダム』の中に登場したことが始まりだったからである。
それは、『機動戦士ガンダム』(1979年)放映中の1979年から、全3巻で書かれた、富野由悠季総監督自らの手による、小説版『機動戦士ガンダム』の中に登場したことが始まりだったからである。
かねてから富野監督は、アニメ版ガンダムのカラーリングには不服を抱いていた。
いや、そこは玩具CMロボットアニメのプロであるから、不服ではなく商品仕様を認めての妥協なのだろうが、当初富野監督はガンダムを、真っ白なロボットとして登場させたかったという逸話が残っている。
それは、『ガンダム』放映直前期の、自らの『無敵超人ザンボット3』(1977年)「無敵鋼人ダイターン3』(1978年)をはじめ、当時の『ブロッカー軍団IV マシーンブラスター』(1977年)とか『超合体魔術ロボ ギンガイザー』(1977年)とか『UFO戦士ダイアポロン』(1976年)とかの、見ているだけで眩暈がするような、過剰配色の、しかし没個性のロボットまんがの主役ロボット達へのアンチテーゼという意味合いもあったのだろう。
いや、そこは玩具CMロボットアニメのプロであるから、不服ではなく商品仕様を認めての妥協なのだろうが、当初富野監督はガンダムを、真っ白なロボットとして登場させたかったという逸話が残っている。
それは、『ガンダム』放映直前期の、自らの『無敵超人ザンボット3』(1977年)「無敵鋼人ダイターン3』(1978年)をはじめ、当時の『ブロッカー軍団IV マシーンブラスター』(1977年)とか『超合体魔術ロボ ギンガイザー』(1977年)とか『UFO戦士ダイアポロン』(1976年)とかの、見ているだけで眩暈がするような、過剰配色の、しかし没個性のロボットまんがの主役ロボット達へのアンチテーゼという意味合いもあったのだろう。
なので、一応小説版『ガンダム』でも、最初の巻で主役機は「白いモビル・スーツ」として登場するが、当初は全1巻で書かれた小説のために、アムロが乗ったガンダムは、初巻のラストで大破してしまう。
そして改めて一年後。ブームを受けて続巻が求められ、富野氏によって執筆された2巻において、再登場したアムロに与えられた2機目のガンダムに対する小説の描写が「灰色一色に塗られた、宇宙迷彩のロービジカラーのガンダム」という描写であった。
そして改めて一年後。ブームを受けて続巻が求められ、富野氏によって執筆された2巻において、再登場したアムロに与えられた2機目のガンダムに対する小説の描写が「灰色一色に塗られた、宇宙迷彩のロービジカラーのガンダム」という描写であった。
もちろん、この時点で“G3ガンダム”等という名称はつけられてはいない(小説内で、あくまで略称として「G3(むしろ、“ガンダム”が付かない)」とだけ呼ぶシーンはある)。ただただ、文章でしか描写されていない、灰色のガンダムの活躍が、下手をするとアニメよりもカタルシスがあり、格好が良かった。
当時のガンダムファンであれば、誰もが鮮烈に胸に焼き付けられた存在、それが「灰色のガンダム」であった。
当時のガンダムファンであれば、誰もが鮮烈に胸に焼き付けられた存在、それが「灰色のガンダム」であった。
そしてもう1機。
シャア専用リック・ドムもまた、同じように朝日ソノラマ文庫版の『機動戦士ガンダムⅡ』という、小説版の2巻から登場したモビルスーツであり、当時は「シャアがザクの次にゲルググに乗らずに(地上に降りないのでズゴックはさすがに無いと理解して)ドムに乗るのか!」と、ファンの誰もが驚いたという現象が見受けられた。
シャア専用リック・ドムもまた、同じように朝日ソノラマ文庫版の『機動戦士ガンダムⅡ』という、小説版の2巻から登場したモビルスーツであり、当時は「シャアがザクの次にゲルググに乗らずに(地上に降りないのでズゴックはさすがに無いと理解して)ドムに乗るのか!」と、ファンの誰もが驚いたという現象が見受けられた。
G3ガンダム(重ねて言うが、小説発表時にこのネーミングはまだなかった)が先にメジャーになって、シャア専用リック・ドムが近年スポットが当たるようになった差は、「灰色のガンダム」の方は、メカデザイナーの大河原邦男氏や、当時のガンダムモデラー達が興味を持って、元のデザイン画のカラーだけ塗りなおした「G3ガンダム」が(この時初めてその名が付けられた)MSVのブームの中で発表されたからであって、シャア専用リック・ドムの方はその現象がなかったため、一時は歴史の闇に飲み込まれていった。