超お買い得だった市場取引馬
テイエムオペラオーは、1996年杵臼牧場で生まれました。姉に短距離路線で活躍していたチャンネルフォーがいます。特別大物はいないけれどコンスタントに走る、といった牝系。
父親は当時まだ日本での実績が無かった、欧州のステイヤー血統のサドラーズウェルズ系のオペラハウスで、正直どんな馬に育つか全くわからない、といった感じの、どこにでもいる普通の幼駒だったそうです。
父親は当時まだ日本での実績が無かった、欧州のステイヤー血統のサドラーズウェルズ系のオペラハウスで、正直どんな馬に育つか全くわからない、といった感じの、どこにでもいる普通の幼駒だったそうです。
via ja.wikipedia.org
しかしオーナーとなるテイエム軍団の竹園氏は「輝いて見えた」と語るほどひと目で気に入り、1997年のセリ市場で1000万円で落札します。
当時の競走馬の市場取引は現在とは違い、あまり活気があるとは言えませんでした。いわゆる「良血馬」は生産者と買い手の庭先取引で決まる事が多く、あまり市場取引馬には高額な馬が回ってくる事は多くなかったようで、当時のJRAのレースでは、市場取引馬が出走する場合は、出走手当や入賞賞金での、資金の優遇があったものです。
現在では超大手の牧場が積極的に幼駒をセリに出すので、非常に活気があり、2016年の最高額は、ディープインパクト産駒の2億6000万円でした。因みに史上最高額の市場取引馬は6億円ですが、デビューできなかったので、1円も稼ぐ事はできませんでした。
via umaichi.com
その点テイエムオペラオーは1000万円ですから、後に数多くの勝利をあげる事になるので、超お買い得だったと言えるでしょう。
デビュー直後の骨折からクラシックへ
一見、普通の馬に見えたオペラオーは、デビュー前の調教で非凡な動きを見せ始めます。しかし、若手のホープ和田騎手を背に迎えた2歳夏のデビュー戦でいきなり骨折。長期休養を余儀なくされます。
年明け復帰2戦目で初勝利。その後3連勝でGⅢ毎日杯を圧勝します。オーナーが初見で感じた輝きが、現実のものになってきたわけです。
追加登録料を払って
3歳時のクラシックレースに出場するには、あらかじめ出場登録をしておく必要があります。3回に分けて登録時期があり、1回目が2歳の秋に1万円、第2回が3歳1月に3万円、3回目がレースの2週間前に36万円、3回合わせると40万円。1つのクラシックレースに出場登録するのに40万円掛かるわけです。
いわば掛け捨てみたいなもので、出場するのに賞金が足りなかったり、直前に怪我をしたりすると全てオジャンになってしまいます。
しかし事前に登録してないと出場資格がなく、直前になってどうしても出たいとなると、高額な追加登録料を払わなければならないのです。その額なんと200万円。
しかし事前に登録してないと出場資格がなく、直前になってどうしても出たいとなると、高額な追加登録料を払わなければならないのです。その額なんと200万円。
テイエムオペラーの場合、デビュー直後の骨折もあったためか、事前に登録料を払っていませんでした。皐月賞直前、オーナーはダービー1本でいいと言うし、調教師は絶対皐月賞勝てると言い、ぎりぎりまで揉めたそうです。
「何なら200万は自分が出してもいい」とまで岩元調教師は言い、結局皐月賞に出走する運びとなります。
「何なら200万は自分が出してもいい」とまで岩元調教師は言い、結局皐月賞に出走する運びとなります。
三つ巴の三冠
5番人気で迎えた小雨の煙る皐月賞。
特に積極的な逃げ馬はいませんでしたが、前半1000mは60秒1と淀みのない締まった展開で一団で進みます。
特に積極的な逃げ馬はいませんでしたが、前半1000mは60秒1と淀みのない締まった展開で一団で進みます。
オペラオーは後方から、終始外々を回る展開。そして3コーナー過ぎから、ナリタロップロード、アドマイヤベガと並んで押上げ、4コーナーは一番外を回って直線へ。
内から伸びるオースミブライト、馬場の真中から差すトップロードを、大外から直線の急坂を豪脚で差し切ったところがゴールでした。
内から伸びるオースミブライト、馬場の真中から差すトップロードを、大外から直線の急坂を豪脚で差し切ったところがゴールでした。
1999 皐月賞
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上がりタイムは3着のトップロードと同タイムでしたが、ナタの斬れ味とでも言うのでしょうか、一際外を回って長い距離を走ってきた事といい、坂を駆け上がる時の破壊力といい、別格の豪脚だったと言えるでしょう。
画像は2016年の最高価格馬