学習指導要領は10年ごとに改定される
戦後の1947年にお試し版が出てその後、改定されました。だいたい10年ごとに改訂され続けています。ガラッと変わる時もあれば微調整のこともありますが数十年経てば教科書の内容はかなり変わっているといえるでしょう。
では、どんなところが変わっていったのか見ていきましょう。
今と昔は歴史が変わった!?
大学受験に向けて勉強している高校3年生が教会に来ました。何となく聞いてはいたものの、本当に鎌倉幕府は1192(イイクニ)年から1185(イイハコ)年に変わっているんですね そのゴロ合わせは絶対ノアが欲しいやつだっただろうに。残念、ノアさん pic.twitter.com/3fWZgW24Gk
— 上馬キリスト教会 (@kamiumach) January 22, 2023
なぜ昔のことが今さらになって変わるのか、と思われるかもしれませんが近年の技術の進歩や研究結果によって、歴史もより鮮明になってきました。実は間違って教えられていたこともあり、教科書で改訂しているのです。
ニュースなどで話題になることもあるのでご存じかもしれませんが、一番びっくりするのは鎌倉幕府の制定。
私たちは「いいくに(1192年)つくろう鎌倉幕府」で覚えてきたと思いますが、現在は「いいはこ(1185年)つくろう鎌倉幕府」になっています。いいはこ??とあまりしっくりきませんよね。頼朝が征夷大将軍になったのは1192年なのですが、実質的に1185年頃から誠二は行われていたのでこの年からということになったそうです。こちらは新発見ではなく解釈の違いですね。
さらに、私たちは最も古い通貨を「和同開珎」(708年)だと習ったのですが、実はその前に「富本銭」(687年)という通貨があったことが判明し、現在は「富本銭」が最も古いと教えられています。これは新発見ですね。
さらに、
「聖徳太子」を「廐戸皇子(うまやどのみこ)」とならっていたり(聖徳太子は死後につけられた呼び名のため)、「踏み絵」を「絵踏み」と習っていたりもします。
昔のことは不確かなこともあるので今後も変わることがありそうですね。昔習った方で回答した場合、テストではどうなるのかが気になります。
算数の公式も変わった?
3月14日は「#円周率の日」
— 印刷博物館 印刷工房 Printing House (@insatsukoubou) March 14, 2023
「インドの魔術師」とも称された数学者、シュリニヴァーサ・ラマヌジャンが発見した円周率の公式を活字で組みました。#印刷博物館 #活版印刷 #印刷記念日 pic.twitter.com/iPeztsekPL
ゆとり教育で「台形の面積を求めなくなった」、「円周率が3になった」などといわれていますがどちらも正確にいうと間違いです。
台形の面積といえば「(上底+下底)×高さ÷2」ですよね。ゆとり教育によってこれを小学校で教えなくなるということが話題になりました。
ですが実際は公式を丸暗記させるのをやめ、どうやったら面積を出すことができるか考えさせる教育に変わったそうです。「ゆとり」とは詰め込みすぎないで考える余力を残す教育方針なんですね。
公式は中学校で習っていました。ですが現在は股小学校で習うようにかわったそうです。
「円周率は3になった」といわれますがこれも誤り。「3.14・・・」と続いていて、基本的には3.14で計算。ですが問題によっては3で計算してもよいという臨機応変に教えるようになったそうです。
他には速さの単位がkm/時からkm/hに変わるなどの変化も。英語の方がしっくりきますね。
太陽系の惑星も変わった!
「水金地火木土天海冥」と覚えていたと思いますが冥王星の回転が楕円のような形をしているため、20年ほど「水金地火木土天冥海」となる時期もあり。「かいめい」だ「めいかい」だ、ともめた思い出があります。
ですが、今では冥王星は対応系の惑星から外されています。
冥王星は1930年に発見され、太陽系の惑星とされていました。ですが当時は惑星の定義があいまいだったそうです。2005年にエリスという天体が発見されたことから惑星の定義を考えることになり、2006年に「冥王星は惑星とは言えない」という結論に至りました。
その時に決まった惑星の定義は「太陽の周りを公転している事」「球体を維持できる重力がある大きさであること」「その天体の軌道上に他の惑星を近づけない質量を持っていること」というもの。冥王星は軌道上に他の天体があるため、「準惑星」ということになったのです。
ただしこちらは専門家の間で意見が割れていて、現在も議論されているのでもしかしたら冥王星が惑星に復活することもあるかもしれません。
理科の分野でいうと他には「リットル」の表記が変わったり、力単位がkg重から「N(ニュートン)」になるなどの改定も見られます。
体育の授業も変わった!
まず、服装から変わっていますよね。昔は女子はブルマでしたが現在は男女ともに短パンになっています。思ってみれば男女で違いがあることの方がよく分からないですもんね。今は「ハミパン」なんて言葉も使わないのでしょうか。
そして最近の体育の授業は個人に合わせた質重視の授業になりました。うさぎ跳びや走り込みなど根拠のない練習メニューは撤廃され、現在はウォーキングやヒップリフトなどを取り入れているそうです。スタイルがよくなりそうでうらやましいですね。
「うさぎ跳び」などは「下半身を鍛える」とされてきましたが根拠はなく、かえって下半身を怪我するリスクの方が高かったそうです。
運動神経が悪いので昔体育の授業が嫌いだったのですが今の授業なら無理なくできそうでいいですね。その子に合わせて体を動かすことが楽しいと思える授業になっているなら本当に良いことだと思います。
その他にも教科書や指導方針で変わっていることは様々あります。早期からパソコンや英語を取りれるなど時代に合わせて変わっているものもありますね。どれも改定したのには根拠があり、「昔はこうだった」をふりかざしてはいけないな、と思いました。