鶴屋南北
夏と言えば怪談。お盆と言えば怪談。怪談と言えば、定番はやはり「四谷怪談」でしょう。原作は鶴屋南北の「東海道四谷怪談」とされています。鶴屋南北、馴染みがないですよね。
鶴屋南北は、1755年生まれの歌舞伎狂言の作者で、江戸時代後期に活躍し、文政12年11月27日(1829年12月22日)に亡くなっています。代表作は何と言っても「東海道四谷怪談」でしょう。
鶴屋南北は、1755年生まれの歌舞伎狂言の作者で、江戸時代後期に活躍し、文政12年11月27日(1829年12月22日)に亡くなっています。代表作は何と言っても「東海道四谷怪談」でしょう。
あらすじ
元塩冶藩士、四谷左門の娘・岩は夫である伊右衛門の不行状を理由に実家に連れ戻されていた。伊右衛門は左門に岩との復縁を迫るが、過去の悪事(公金横領)を指摘され、辻斬りの仕業に見せかけ左門を殺害。同じ場所で、岩の妹・袖に横恋慕していた薬売り・直助は、袖の夫・佐藤与茂七(実は入れ替った別人)を殺害していた。ちょうどそこへ岩と袖がやってきて、左門と与茂七の死体を見つける。嘆く2人に伊右衛門と直助は仇を討ってやると言いくるめる。そして、伊右衛門と岩は復縁し、直助と袖は同居することになる。
田宮家に戻った岩は産後の肥立ちが悪く、病がちになったため、伊右衛門は岩を厭うようになる。高師直の家臣伊藤喜兵衛の孫・梅は伊右衛門に恋をし、喜兵衛も伊右衛門を婿に望む。高家への仕官を条件に承諾した伊右衛門は、按摩の宅悦を脅して岩と不義密通をはたらかせ、それを口実に離縁しようと画策する。喜兵衛から贈られた薬のために容貌が崩れた岩を見て脅えた宅悦は伊右衛門の計画を暴露する。岩は悶え苦しみ、置いてあった刀が首に刺さって死ぬ。伊右衛門は家宝の薬を盗んだとがで捕らえていた小仏小平を惨殺。伊右衛門の手下は岩と小平の死体を戸板にくくりつけ、川に流す。
伊右衛門は伊藤家の婿に入るが、婚礼の晩に幽霊を見て錯乱し、梅と喜兵衛を殺害、逃亡する。
袖は宅悦に姉の死を知らされ、仇討ちを条件に直助に身を許すが、そこへ死んだはずの与茂七が帰ってくる。結果として不貞を働いた袖はあえて与茂七、直助二人の手にかかり死ぬ。袖の最後の言葉から、直助は袖が実の妹だったことを知り、自害する。
蛇山の庵室で伊右衛門は岩の幽霊と鼠に苦しめられて狂乱する。そこへ真相を知った与茂七が来て、舅と義姉の敵である伊右衛門を討つ。
良く知られている「東海道四谷怪談」ではありますが、歌舞伎はもとより、今まで何度も小説や漫画、ドラマ化されています。戦後に制作された映画だけでも10作品もあるんですよ。
さぁさぁ、暑い夏をフッ飛ばすのに最適な日本が誇る伝統的なホラー映画、戦後制作の「四谷怪談」いってみましょう。
さぁさぁ、暑い夏をフッ飛ばすのに最適な日本が誇る伝統的なホラー映画、戦後制作の「四谷怪談」いってみましょう。
新釈 四谷怪談(前・後篇)
戦後初の映画化は1949年7月公開の「新釈 四谷怪談」です。新釈と謳っているだけあって原作にかなり手を加えています。また、前・後篇となっていることから分かるように、前篇は、7月5日の公開。後編は7月16日に公開され、上映時間はそれぞれ85分と73分となっています。
新釈 四谷怪談(前・後篇)予告
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冒頭から既に感じ取ることが出来るかと思いますが、しっかりとしたカメラワークに演出。名作の匂いがプンプンします。それもそのはず、監督は木下惠介 、脚本には新藤兼人が参加しています。ホラー映画と言えばキワモノ扱いをされがちですが、名監督が撮ると一味違うんですね。
内容的には、お岩の亡霊は伊右衛門の良心の呵責による妄想ということになっており、絵巻物と言う視点で捉えているため撮影は全編俯瞰の長回しで撮られています。流石の解釈、流石の表現力です。
内容的には、お岩の亡霊は伊右衛門の良心の呵責による妄想ということになっており、絵巻物と言う視点で捉えているため撮影は全編俯瞰の長回しで撮られています。流石の解釈、流石の表現力です。
四谷怪談
2作目は1956年に公開された「四谷怪談」です。監督は毛利正樹で、伊右衛門には若山富三郎、お岩は相馬千恵子が熱演しています。
四谷怪談
監督:毛利正樹
脚本:小国英雄、田辺虎男
原作:鶴屋南北『東海道四谷怪談』より
撮影:鈴木博
美術:黒沢治安
音楽:渡辺浦人
出演:若山富三郎、馬千恵子、中春男、飯田蝶子、小倉繁、小沢路子
公開:1956年
脚本:小国英雄、田辺虎男
原作:鶴屋南北『東海道四谷怪談』より
撮影:鈴木博
美術:黒沢治安
音楽:渡辺浦人
出演:若山富三郎、馬千恵子、中春男、飯田蝶子、小倉繁、小沢路子
公開:1956年
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毒にたヾれたお岩の死顔! 夜の隠亡堀に恨みの執念! 鶴屋南北の傑作『東海道四谷怪談』の映像化に毛利正樹監督が挑んだ傑作怪談映画。 伊右衛門はお岩の父に不義の子と罵られたことに激高し、斬殺してしまった。逃亡のため浪人となった伊右衛門は、お岩との貧しい生活に喘ぐこととなった。そんな中、伊右衛門の母・お槙は息子を大棚の婿養子にして民谷の家を再興しようと企て、貧乏に嫌気がさしていた伊右街門はその謀に乗るのだった。お槙はお岩の毒殺を企て、その毒により顔が醜く変貌したお岩は伊右衛門を呪って絶命。伊右衛門は、お岩の死体を戸板に釘打ちして川に投げ込むのだった…。
最初の「新釈四谷怪談(前・後篇)」は松竹、2作目の「四谷怪談」は新東宝だったのですが、1959年版「四谷怪談」は大映です。もう各社が映画化してるんです。
で、この3作目は監督が三隅研次、伊右衛門に長谷川一夫、お岩に中田康子という布陣です。
で、この3作目は監督が三隅研次、伊右衛門に長谷川一夫、お岩に中田康子という布陣です。
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民谷伊右衛門は、ある夜、裕福な武家の娘を助けたことから、その娘お梅に見初められ、悪い仲間秋山らの金ずるにされそうになる。伊右衛門の妻お岩の献身も通じない伊右衛門は、お岩にまめまめしく仕える小平に疑いを抱いた。流産のあと健康を害したお岩に、薬を買いに出た小平を秋山らはなぶり殺し、お岩に伊右衛門のことづけと言って、薬を飲ませた。激痛が襲いお岩ももだえた。焼けつくような激痛が治まった後、お岩は鏡の中の自分の顔を見て・・・。
こちらの方が原作に近い感じです。しかし、まぁ、お岩さん、怖いは怖いのですが、かわいそうなんですよね。何も悪いことしてないわけですからねぇ。
四谷怪談 予告篇【1959年 大映版】
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技術の進歩ということで、DVD化され60年も前の映画が手軽に家庭で観れるというのは喜ばしい限りですが、何も無理にカラーにすることはなかったように思います。現在のニーズがそこにあるということでしょうが、この手の映画はモノクロの方が迫力があって怖いと思うぞ。