『おれ、夕子』とは?
1975年に週刊少年サンデーに掲載され、1984年には、てんとう虫コミック『藤子不二雄少年SF短編集』の第2巻に収録されました。1990年代にはオリジナルビデオとしてアニメ化も実現しています。
OVA版『おれ、夕子』
藤子・F・不二雄 SF短編シアター 5 おれ、夕子 / 幸運児 1991/08/09
— AnimeVHSbot (@Anime_VHS) June 1, 2020
"「おれ、夕子」おれ、(佐藤弘和)のクラスメート、夕子が事故で死んだ。夕子が死んで、はじめておれは夕子が好きだったことに気がついた。" (画像は1997年の再発版) pic.twitter.com/YFkQjAoetr
監督:辻真先
制作:スタジオぎゃろっぷ
小学館
東宝
発売:1991年
OVA版『おれ、夕子』の本編動画・ストーリー
SF短編 おれ、夕子 1/3
SF短編 おれ、夕子 2/3
SF短編 おれ、夕子 3/3
ある日、佐藤弘和が目覚めると、彼は死んだクラスメートの夕子のネックレスを首にかけていた。なぜ自分がネックレスを持っていたのかは皆目見当がつかなかったが、彼はネックレスを夕子の父親に届けに行った。ネックレスを受け取った夕子の父はなぜか佐藤の顔を食い入るように見つめていた。実は過去にも同じようなことがあった。それは夕子の葬式の後の翌々日、夕子の父が佐藤を家に招きいれ、夕子が彼のことを好きであったことを話した時に見せた食い入るようなまなざしと同じだったのである。
そのころから、夜中に夕子の幽霊が目撃されたり、弘和が女物の服を着たまま室外で目覚めたりと、おかしな事件が起こるようになった。
ある暴風雨の夜、真相を究明しようと弘和は夜通し徹夜で見張ることを決めるが、急激な眠気に襲われてしまう。眠気を断ち切ろうとバットで自分の頭を殴ると、痛いじゃない、と、謎の声が聞こえた。何度も頭を殴りつけて声を振り払おうとした弘和だったが、急にその意識は途絶える。
OVA版『おれ、夕子』の魅力とは?
『君の名は。』
しかし、OVA版『おれ、夕子』のフタを開けてみると、『君の名は。』や男女の意思が入れ替わる内容とは一線を画すもので驚かされます。物語冒頭から女子高生・夕子が亡くなってしまい、想いを寄せていた主人公・弘和の身体を変革させて復活を遂げるというもの。
その時点で、内容的には良い意味での裏切り・意外性があり、ユーザーを本編に惹き込んでしまうような魅力があります。
夕子の復活を画策したのは、愛娘を亡くして悲しみに暮れていた夕子の父親。彼には有能な研究者・科学者としての一面があり、自ら遺伝子操作する薬品を開発することで、弘和の身体を用いて、一時的に夕子を復活させることに成功します。
薬ひとつで大人になったり、赤ちゃんにもなれる…
『ふしぎなメルモ』
現在では遺伝子操作の知識は一般的にも普及していて、『おれ、夕子』の内容には無理があることを理解できるユーザーは多いと思います。しかし、原作となる漫画が生み出されたのは1970年代で、OVA版が発売されたのは1990年代初期のこと。この時期の知識・情報のみで想像を膨らませながら、藤子-F-不二雄さんがストーリーや設定・展開を組み立てたのだと考えてみるのも面白いです。
(※当時は藤子不二雄名義)
出版:小学館
掲載:週刊少年サンデー
→1975年発表