漆 x 「‥」              
Kenji Toki Studioでは日本の伝統的漆工芸と、CADをはじめとしたデジタルデザイン技術の融合による新たな工芸・アートワーク・デザインの世界を提案しています。日本工芸のアイデンティティーの象徴とも言える漆を中心的な素材としながらも、ラピッドプロトタイプ造型機やレーザー加工機、カーボンファイバー等の先端素材などと融合したハイブリッドな活動を展開しています。
Based in Japan, I have been working as a contemporary craft practitioner exploring representation of Japanese lacquer (URUSHI) with diverse materials and measures such as carbon fiber and photograph and exhibiting internationally since 1995. I'm undertaking the research into digital fabrication and how these technologies can be applied and utilized within craft, art and jewellery practice, especially in relation to URUSHI work.

公共空間ベンチの漆仕上げ
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東京・目黒駅前の公共空間のベンチの漆仕上げの監修をしています。直接風雨に晒されないとはいえ、屋外環境での漆の仕上げということで、当初はリスクヘッジやメンテナンス、なにより費用の点で実現不可能と思われたプロジェクトでしたが、関係各位の情熱で実現しました。不特定多数の人に容赦なく使われる過酷な環境ですが、今後の公共空間での家具や什器の漆仕上げの使い心地や耐久性を実践的に検証できる貴重な一件です。ともあれ、是非漆の手触りを体験してみて下さい。目黒駅西口出て右へ、目黒セントラルスクエアのエスカレーターを上がったところです。インテリアデザイナー藤江和子さんのデザインです。https://goo.gl/s3G9MV

BAKERU乾漆面 wowlab x Kenji Toki
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BAKERU乾漆面 wowlab x Kenji Toki
日本の伝統技法「乾漆」を用いて作られた、『BAKERU』体験用のお面。乾漆とは漆を接着剤として、粘土や木材で作った型に麻や綿の布を幾重にも貼りつけて外し、さらに漆を塗り重ねて仕上げる造形技術です。国宝の興福寺阿修羅像をはじめ、奈良時代から平安時代中頃にかけて仏像や伎楽面(ぎがくめん)などの彫像制作に用いられました。本作では3Dプリントに「直接」漆を塗るのではなく、3Dプリンタを利用し原型を制作、そのかたちを乾漆でうつし取る特殊な手法を採用しています。

http://www.w0w.co.jp/atw/?lang=jp

【開発中】レーザーカッターx金蒔絵
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漆呂色面をレーザーでほんの少しだけ彫り下げた部分に金粉を蒔き詰めて少し盛り上がった状態で磨き上げる新しい蒔き絵の方法を公開しています。蒔き絵で難しい作業のひとつであるパターンを筆で描く作業を、マスキングテープとレーザーカッターを使って置き換えています。金粉層が呂色面にガッチリと食い込んだ状態になるので、失敗無く安心して作業ができます。さらに耐久性もかなり高そう。
https://www.gitbook.com/b…/kenjitoki/laser-takamakie/details

乾漆 -KANSHITSU- 展
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「東京国立近代美術館工芸館名品展連携事業」
金沢卯辰山工芸工房平成29年度特別展
「乾漆 -KANSHITSU- 展」に乾漆作品が展示されます。北陸のみなさまどうぞよろしくお願いします。

Harvard GSD 乾漆xデジタルファブリケーションWS 2017
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一昨年に続いて東京藝大建築科金田研でのHarvard GSD大学院生との乾漆ワークショップが始まりました。今日はレクチャーと乾漆シートのワークショップ。乾漆素材を自分で作るところから始まって、Grasshopperによるスクリプティング、レーザーカッターでの切り出し、あれこれ工夫しながら手作業での組立まで、フィジカル〜デジタルを往還しながら乾漆ランプシェードを作ります。テーマは「影をデザインせよ」。

これまで、漆の制作は熟練が必要とされていました。今回のWSでは乾漆が「平板なら制作が容易」「レーザーカッターでシャープに加工できる」という特性を最大化することで初めて漆を扱う人にも乾漆造形が可能になりました。

従来の乾漆の工程を、「マテリアル」「デザイン」「ファブリケーション」に分解して各工程ごとに現代的な技術で取り扱いながらも、相互にフィードバックをかけつつ総合的に作り上げるという点においては、造形の本質においてなんら変わるところはありません。マテリアルーデザインーファブリケーションを一貫して取り扱うことは建築の分野でもこれからますます加速するようです。極度に細分化が進んだ20世紀的な建築の状況にとってはむしろ健全な回帰かもしれませんね。

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漆は危機的です。
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Domestic URUSHI is known to have higher amounts of the important ingredient “urushiol” and be of higher quality. It also glossy and the coating is extremely tough and robust. It has also been used in a variety of buildings from the old days. URUSHI from Japan has been used for the repair of the cultural assets. However, rising prices and the reduction of URUSHI from Japan coninues, so the preservation of these cultural assets is difficult.

We are planting “URUSHI” trees along the plains of the “Minamisanriku Nagashimizu area” and along the coast that has been abandoned because of the Great East Japan Earthquake. By managing the growth in the plains rather than in the mountainous areas, an efficient reduction of effort is possible in cultivation. It takes 10 to 15 years to harvest lacquer. However, if we don’t try to solve this problem now, we will lose the art of culture. In the future, we hope to continue creating the design

and development of new products using URUSHI.

 日本はその昔、漆の国と言われましたが、今では国産漆は生産量が激減しています。国産漆は良質な漆として知られており、光沢に優れ、硬化した塗膜はとても堅牢・強靱(きょうじん)で、文化財の修復には国産漆が使われます。しかし、国産漆の減少と価格の高騰がこのまま続けば、文化財の保存もままならなくなるでしょう。
 私たちは東日本大震災で被災して耕作放棄された海岸沿いの平野部にウルシ(樹木としての漆はウルシと書きます)を植えています。平野部で管理育成することで、山間部に比べて労力の削減と健全で効率的な栽培が可能です。植栽から漆採取までは15-20年を要しますが、今この問題に向き合わないと、漆の文化そのものを失ってしまいます。漆は天然の抗菌作用があり、一般的にはあまり知られていない食品、蝋燭、染料などとしての多様な可能性のほか、現代生活でも十分に利活用できる衛生的で高機能な天然素材です。循環型の資源としてウルシ栽培を通して被災地に将来的な雇用を生み出すことで、漆産業の発展と伝統文化を守ることにつながります。

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2017ミラノサローネ

今年のミラノサローネで発表されたAdrian.Uchida Company LimitedのWonder from Withinシリーズで漆のCMFコンサルティングと制作をさせて頂きました。水盤のように周囲の景色を映し込む黒呂色のローテーブルと、谷口・青谷和紙株式会社様の立体漉き和紙の薬カプセルのようなランプシェード基部の錫漆仕上げを担当しています。
漆プロダクトは「いかにも漆」的な佇まいになることが難しいところです。コラボレーションの際には、いかに「いかにも」的にならなく、かつ、universalなセンスとして(漆を知らない人にも)いかに豊かな質感を表現できるかということに留意しています。このあたりは自分の作品制作と共通するコンセプトでもあります。
http://www.wanderfromwithin.com/milan.html#home

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