千葉県の森田健作知事、次期知事選への不出馬表明
千葉県の森田健作知事は12日、2021年4月の任期満了に伴う千葉県知事選に出馬しない意向を表明した。同日の記者会見で「(多選はよくないという)自分の考え通り、知事は3期、今ここで終止符を打つべきと決めた」と述べた。
森田氏は以前から多選には否定的な考えを示しており、3選となる17年の前回知事選では「3期目は集大成」として県民に支持を訴えていた。森田氏は「この言葉は私にとって公約と同じくらい重い」と述べ、3期目の就任当初から任期満了をもって退任することを決めていたと明かした。
正式表明をこの時期にした理由として、台風被害が懸念される11月上旬まで万全の態勢で備えていたことや、新型コロナウイルス対策をめぐり1都3県や医療施設との連携が充実してきたことを挙げた。10月には国会議員時代から親交の深い菅義偉首相や、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長とも相次ぎ面会。道路ネットワークの整備や観光産業の振興、五輪の競技会場への支援などについて改めて要望したことを明かし「私のできる整理整頓はやった」と強調した。
森田氏はこれまでの功績として、東京湾アクアラインの通行料金の引き下げや東京五輪・パラリンピックの計8競技の県内への誘致、成田空港の機能強化などを挙げた。特に、アクアラインについては「(出入り口となる)木更津に小学校やアウトレットができ、人口が増えた。『渋滞中』と表示が出た時が一番うれしかった」と振り返った。任期満了後については「少し休んで旅行に行きたい」と述べるにとどめ、政界引退や芸能界への復帰については明言を避けた。
次期知事選を巡っては、千葉市の熊谷俊人市長がすでに無所属での出馬を表明している。過去の知事選で森田氏を支援した自民党県連は後継候補の選定を進めているが、擁立を目指していた鈴木大地・前スポーツ庁長官が辞退し、候補者選びは難航している。森田氏は「ふさわしい人を選んで候補者にしてほしい」と話した。
俳優出身の森田氏は92年から参院議員などを経て、05年に知事選に初めて出馬。現職の堂本暁子氏に敗れたが、09年に再出馬し、初当選を果たした。
森田氏の知事選不出馬との表明を受け、熊谷氏は「3期12年にわたり県知事を務められ、県のためにご尽力いただいたことに感謝申し上げる」とのコメントを発表した。 千葉県経済同友会代表幹事を務める千葉銀行の佐久間英利頭取は「経済活動の基盤となるインフラ整備において著しい功績をあげられた。残念だが、多くの県民に慕われた知事らしい決断を尊重したい」とコメントした。
アクアライン「縁役立った」
2021年春の千葉県知事選への4選不出馬を12日に表明した森田健作知事は、東京湾アクアラインの800円への値下げを在任中に最もうれしかったこととして挙げた。主なやりとりは以下の通り。
――4選を目指す考えはなかったのですか。
「待望論があったのは事実だが、僕は異業種から来た。大変生意気だが、だからこそ自分の信念、考え方は大事にしなくてはいけないという気持ちを持っていた」
「情熱は長く持たない。私の場合は3期12年が限界かなと思っていた。同時に知事は非常に大きい権限を持っている。変に慣れてはいけない」
――未練はありませんか。
「ない。3期目に出た時に、県民にはもう二度と頼まないと言っておいて私がまた出るというのは許せなかった。菅義偉首相には『もう1期やったらどうだ』とはっきり言われたが、自分の考えを言ったところ『森田さんらしくすぱっとやれよ』と言われた」
――一番うれしかったことは何ですか。
「東京湾アクアラインの通行料を800円に値下げできたとき、こんなにうれしいことはなかった。33年ぶりに木更津に小学校ができ、(大型商業施設の)コストコもできた。でも一番は標示に『渋滞中』と出たときだ」
「今の菅首相が口火を切ってくれなかったら800円にならなかった。国会議員時代の縁・友情が役立ったと思う」
――在任中につらかったことは何ですか。
「災害の時に私も職員も含めて十分な注意ができていなかったこと。ただ、その後きちっとやってきたことは事実だ。職員が本気になって頑張ってくれた」
――なぜこの時期に不出馬を表明したのですか。
「11月の1週目が過ぎ、台風の可能性は少なくなった。新型コロナウイルス対策は医療体制、連携、意思疎通も含め相当充実してきた。経済は政府の『Go To キャンペーン』と県独自の支援策で光が見えてきた。今しかないと思った」
――政界は引退するのですか。
「任期中はそういうことを考えるのはやめる。でも(在任中は)旅行ができなかった。4月になったらゆっくり旅行したいという気持ちはある」
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