最近パリの病院で幹細胞治療が施されたようだと報じられているミハエル・シューマッハだが、実際のところそれがどのような内容のものなのかは推測することさえ難しい状況にあるようだ。
先週、パリの病院に入院していたことが明らかとなったF1史上最多勝利記録を持つシューマッハだが、うわさによればスキー事故で重大な損傷を受けた脳の治療の一環として実験的な幹細胞治療が施されたのではないかと言われている。
だが、幹細胞治療の専門家であるミシェル・プシェア医師は、50歳となったシューマッハに施されたのは、脳に関係するものよりは心臓に関係する治療である可能性が高いとの考えを示している。
そして、このほどフィンランドのタンペレ大学病院で神経外科部長を務めるユハナ・フローネン医師が、シューマッハがどういう状態にあり、どういう治療を受けているのかを知ることはほとんど不可能だとの考えを示したと伝えられている。
先週、シューマッハが入院している病院のスタッフが、メディアに対してシューマッハが「conscious(コンシャス)」な状態にあるのは確かだと語ったと報じられていた。
このconsciousという語は、「意識がある」、「意識している」、「自覚している」といった意味を持つ語だが、フローネン医師はこれに関してフィンランドの『Ilta-Sanomat(イルタ・サノマット)』に次のように語った。
「それによって、その人がどの程度の機能をする能力があるかということはほとんど分からない」
「彼が動き回ることができ、日課をこなすことができると解釈できるかもしれない。同時に、彼が完全に寝たきりで、ほかの人の介護に頼っている状態だと考えることもできる」
「コンシャスな状態にあるというのは、ほかの人からの問いかけに目を閉じたり開けたりすることができるだけだという意味にもとれる。シューマッハがどの状態にあるのかということを現在得られる情報から判断するのはまったく不可能なことだ」
フローネン医師はさらに、シューマッハに施されたという幹細胞治療がいったいどういうものだったのかということは推測することさえ難しいことだと主張している。
「ここまでのところ、幹細胞治療は純粋に実験的なものでしかない。だから、詳細が分からなければどんな結論も導きだすことはできない」
そう語ったフローネン医師は次のように付け加えた。
「彼がパリにまで移送されたという事実から推測できることは、家族が彼の回復のためにあらゆる努力を行っているということだけだ」