
文/浜美枝(女優・ライフコーディネーター)
キッパリとした決断を重ねてきた
先日、「浜さんって、男性的なんですね。そこが好きです」という内容のメールが、ラジオ番組『浜美枝のいつかあなたと』(文化放送)のリスナーから届きました。前身の番組『浜美枝のあなたに逢いたい』から数えて18年、ラジオのパーソナリティを続けてきましたが、こうした言葉を頂戴するのははじめてでした。
メールを読み返しながら、この52歳の女性リスナーと心の深いところでつながっているように感じ、しみじみと嬉しさがこみあげました。確かに、私には男性的ともいえるような、ものごとをスパっと決断をする、思い切りの良さがあると自覚していたからです。
振り返ると、私の人生は、たくさんの幸運な巡りあわせとチャレンジ、決断の連続でした。
戦争で我が家はすべてを失いましたので、小学1年生にあがると、忙しく働く両親のために、かまどでご飯を炊き、夕食のおかずを作るのが私の役目になりました。そのころから、自分の未来は自らの手で切り開くしかないとわかっていたように思います。早く大人になり、働いて自立するというのが当時の私の夢でした。
先生は進学を勧めてくださったのですが、中学を卒業して、すぐにバスの車掌として働き始め、翌年、スカウトされて女優としてデビュー。演技の勉強をしたわけでも、女優になりたいと願ったわけでもなかったのに、突然、華やかなスポットライトを浴びることになりました。
「クレージー映画」で植木等さんのマドンナ役を、そして007シリーズ『007は二度死ぬ』ではボンドガール役を演じ、さらに、『小川宏ショー』や『日曜美術館』などのテレビ番組の司会や、ラジオ番組のパーソナリティもつとめさせていただきました。
また仕事の傍ら、民芸の世界に魅せられ、古民家12軒の柱や梁をすべて使って再生させた箱根の家で、4人の子どもを育てました。