【修羅の門】全日本異種格闘技選手権・片山右京との試合を振り返る!
2020年4月26日 更新

【修羅の門】全日本異種格闘技選手権・片山右京との試合を振り返る!

前回の記事ではキックボクサー・シュート・プロレスラーとの試合内容を振り返ってきましたが、今回は鬼道館の天才・片山右京との試合を語っていきたいと思います。空手家で天才と呼ばれることなど、類似点が多い神武館の海堂晃との比較もしますので、ぜひ記事をご覧になってください。

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『修羅の門』とは?

修羅の門

修羅の門

分野 :格闘漫画
作者 :川原正敏
掲載誌:少年月刊マガジン
発表号:1987年5月号
    ~1996年12月号
巻数 :全31巻
『修羅の門』(しゅらのもん)は、川原正敏による日本の漫画作品。千年に亘り不敗を誇るとされる架空の古武術・陸奥圓明流の継承者である陸奥九十九(むつ つくも)を主人公とし、陸奥圓明流が地上最強であることを証明するため、彼が様々な強敵達と戦う様を描く格闘漫画。

鬼道館との因縁は道場破りから

神武館の四鬼竜を倒し、強敵を求めて九十九が道場破りを繰り返していたころ、神武館と同じく空手道場である鬼道館に辿り着きます。九十九は鬼道館の門下生を次々に倒してしまったことで、鬼道館の実力者たちは闇討ちで九十九を襲うことにしました。
しかし、九十九もそうなることは予想しており、新聞記者に情報を流し、闇討ちにやってきた鬼道館の実力者たちを倒して、その事実を記事にしてもらおうと考えました。闇討ちにやってきた鬼道館で実力ナンバー2からナンバー4は九十九に倒され、その事実は記事によって公になってしまったことで、まんまと九十九の思い通りの結果となりました。
実戦派をうたう鬼道館としては、実力者たちが揃って道場破りに倒されてしまったことで、トップの実力を誇り、神武館の海堂晃と並ぶ天才と言われる片山右京を全日本異種格闘技選手権に出場させなければならないという事態を招いたのです。最初は九十九と戦うことに興味がなかった片山も、こういった過程を経て試合することになったことで、「身体だけではなく心までもね」と戦うことを好意的に受け止めるようになりました。

大会での片山右京の試合ぶり

相手が格下だったこともあって、第一回戦・第二回戦の試合は瞬く間に勝利を収めて勝ち進んできました。しかし、準々決勝の相手は、片山と同じく実戦空手を生業とする格闘家でした。この対戦相手は猛者で、片山に正拳を放ち、その打ち終わりに片山の道着を掴んでみせたのです。
片山は公式の試合で、対戦相手に体を触らせたことがなく、準々決勝の相手が強いことの表れでもありました。道着を掴まれてしまった片山は背負投げされるのですが、自分から飛んで、空中で体の向きを変えるといった受け身を披露します。これによって全くの無傷で背負投げを回避したのですが、体を触らせてしまった片山は対戦相手に敬意を評して、とっておきの必殺技を見せると言います。
片山は無造作に対戦相手に近づくと、両手で、左右から相手の顔を挟むように叩きます。すると、対戦相手は目や鼻・口・耳と至る器官から出血して戦闘不能になりました。
試合が終わり、片山は雑誌記者に先ほどの技のことを聞かれると、「菩薩掌とでも名付けましょうかね」と不敵な笑いを浮かべるのでした。

陸奥九十九VS片山右京

いよいよ試合開始となり、鬼道館・片山右京と九十九の因縁の対決は幕を開けました。
しかし、片山は九十九に忠告をします。

「これまでのような戦い方をしていると死にますよ。」
「勝負は一瞬の中にのみ真実がある…そう覚えておいていただきましょうか。」

これまでの試合は真正面から対戦相手と向き合って戦うという熱い図式でしたが、片山との戦いはそういった甘い考え方は通用しないようです。
九十九は積極的に攻撃に出ますが、片山の見切りは神武館の天才・海堂晃と同等以上のもので九十九は触ることもできません。
そんなものですか?

そんなものですか?

片山は九十九の攻撃に対して、こう言います。
「そんなものですか?」

それに対し、
「強いなぁ…強い…でも!」
「陸奥圓明流千年の歴史に敗北の二字はない。」
と九十九が返します。
すると片山は、
「ならば私が千年の歴史に敗北を刻んだはじめてになりましょう。」
と言います。

九十九の正拳に対し、片山は羽山戦で見せた陸奥圓明流の技・牙斬を見様見真似で使ってみせます。さらには、片山の攻撃に合わせて、飛田戦で見せた飛燕十字蔓を仕掛けると、とっさに攻撃の手を下げるといった機敏な対応もして、大会で九十九が使用した陸奥圓明流の技は通用しないといった感じです。
陸奥圓明流奥義・龍破

陸奥圓明流奥義・龍破

いよいよ九十九は飛田戦で見せ、首に傷を負わせた陸奥圓明流奥義・龍破を繰り出します。九十九の両足が龍の大きな口のように、片山の首元を襲います。片山は難なく両足をかわしますが、問題はその後に発生する真空波です。ここで片山は顔の前で両手を合わせるように叩くといった行動に出ます。
すると、片山の顔にいくつかの切り傷ができますが、深刻なダメージを負うようなことはなく、九十九の切り札であった龍破すらも破ってみせました。
片山は
「この技も見せてもらいましたからね。」
と言うと、

九十九も
「俺も菩薩掌は見たよ。」
と返すのでした。
片山の菩薩掌を破れるのか

片山の菩薩掌を破れるのか

片山は「それは面白いことを聞きました」と言うと、九十九に積極的に攻撃を仕掛けてきました。ラッシュのなかで金的を蹴り上げ、九十九がブロックすると、そのまま蹴り足に力を込めて九十九の体を宙に浮かせます。
菩薩掌を仕掛けるため、意図的に九十九の体を宙に浮かせて逃げ場のない状況を作り出したのです。この状況で、左右から両手で九十九の頭部を叩いて菩薩掌を仕掛けてきましたが、九十九は金的をブロックしていた両手に力を入れ、菩薩掌が極まるか否かのタイミングで、腕の力で後方に飛んで振り切ってみせました。しかし、完全に片山の菩薩掌をかわせたわけではなく、九十九は大きなダメージを負ってしまいました。
片山は「これで破ったつもりですか?」「そのかわし方、次は通用しませんよ。」と言うと、九十九は「かわすつもりなら完全にかわせたよ。」「これで菩薩掌がどんな技なのか分かった」と返して、次は完全に破ることを改めて宣言するのでした。
再び試合は乱打戦となり、九十九は片山の攻撃で場外ラインのギリギリの隅に追いやられてしまいます。ここで菩薩掌を打つことを狙っていた片山は九十九との距離を一気に詰めるのですが、何故か九十九も前に出て積極的に距離を詰めようとします。
片山は再び菩薩掌を繰り出し、九十九の頭部を左右から両手で叩きます。すると、九十九も片山の手のひらを自分の頭部に押し当てるように、片山の手の上から自分の頭部を叩いて見せるのでした。
一見すると菩薩掌が極まったようですが、明らかに片山の表情には焦りがあり、そのまま後方に逃げようとします。九十九は笑みを浮かべて、片山を追って間合いを詰めようとします。九十九は片山の懐に入り込むと虎砲を放ち、片山は成す術もなく崩れ落ちてしまうのでした。
菩薩掌は瞬間的に両手の間で数百回と打ち合わせる技。九十九は単純に片山の手の上から叩いて、打ち合わせるために必要な隙間をゼロにしたことで菩薩掌を発動させなかったのです。
片山は神の領域に

片山は神の領域に

このまま試合は終わったかのように思われましたが、再び片山は立ち上がって試合を続けようとします。
「怖い…とはこういうことだったのですね。」
「続きをやってくれますね?」
「もう少しで何かに届きそうなんですよ」

片山はこう話すと、力ない笑みを浮かべて攻撃を繰り出してきました。それぞれの攻撃の応酬が続くと、片山は何かを掴んだ様子で殺気のない攻撃をするようになります。

「ああ…届いた…届きましたよ。」

片山の攻撃は自我や殺気がないことでタイミングや軌道が読めず、武道では神の領域といえるものを体現しています。生身の状態である九十九は、神様が憑依したかのような戦いぶりをみせる片山に勝つことはできないのでしょうか。
いいところではありますが、今回の記事はここで締め括りたいと思います。続きに関しては、ご自身の目で原作コミックをご覧になって確認していただければと思います。ここからは飛田戦とは違った意味で、体温が急上昇していく展開を見せてくれますよ。

『修羅の門』第二部を読み直そう

残念ながら『修羅の門』はアニメ化されていませんので、原作コミックを読んで試合展開を楽しんでください。
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