大阪の風物詩!あいりん地区で定期的に発生していた『西成暴動』!!
2020年8月24日 更新

大阪の風物詩!あいりん地区で定期的に発生していた『西成暴動』!!

日本で唯一(?)定期的に暴動が発生する西成・あいりん地区における「西成暴動」について振り返ってみたいと思います。

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大阪の風物詩!あいりん地区で定期的に発生していた「西成暴動」!!

世界各地で定期的に発生する暴動事件。テレビのニュースで報道されることもしばしばありますが、それらはもっぱら海外の暴動であり、日本国内で暴動が発生したというニュースはなかなかお目にかかることはありません。しかし、日本で唯一(?)定期的に暴動が発生していた場所があります。それは大阪・西成区のあいりん地区周辺であり、60年代から現在までに24回もの暴動(通称:西成暴動、釜ヶ崎暴動)が発生しています。この記事では、西成暴動の過去の事例について振り返ってみたいと思います。
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1960年代の西成暴動

最初の西成暴動が発生したのは1961年8月のこと。当時、西成の日雇い労働者がタクシーに轢かれる事故が起こり、その際に警察が被害者の遺体をそのままにして現場検証を行うといった不手際がありました。それを見た他の労働者が、警察の被害者の扱いの悪さに対して抗議。その抗議の輪が広がり、最終的に数千人の労働者が集結し、派出所や西成警察署の窓を割るなどの暴動に発展しました。

第1次暴動の際の貴重な写真。

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この事態に、大阪府警は京都や兵庫の警察にも応援を依頼。6000人を超える警官隊を投入し、ようやく暴動を鎮圧させることに成功しました。しかしながら、日雇い労働者の警察や社会に対する不満はくすぶり続け、この暴動(後に第1次西成暴動と呼ばれる)以降、労働者への求人が少ないことに端を発した暴動や、警察が労働者を連行したことに端を発した暴動など、60年代には計8回の暴動が発生することとなりました。
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パチンコ屋でのいざこざが発端となり、暴動に発展したケースもあります(1966年6月、第6次西成暴動)

1970年代の西成暴動

血気盛んな若い日雇い労働者が全国から集まっていた西成・あいりん地区。70年代に入っても、暴動の火種はくすぶっていました。しかし、60年代とは異なる傾向がみられるようになります。それは、労働者に火に油を注ぐ形で暴動を扇動する者の存在で、具体的には「新左翼」と当時呼ばれていたグループが労働者を煽り、その結果暴動が発生するようになりました。

こちらは新左翼系の雑誌の一例。

※画像はイメージです。
「共産主義者同盟」は1970年に事実上解体されたため、暴動の扇動には無関係と思われます。

新左翼の暗躍により、暴動が変質し始める!

新左翼が暴動に関与したのは1971年5月の第10次暴動からであり、労働者が仕事にありつけない原因を警察の不適切な行為と結び付け、その後も警察の労働者への対応に不手際が起こった際や、労働者の集会「釜ヶ崎メーデー」が開催されるタイミングで新左翼が労働者を扇動するといった手法で、暴動が頻繁に発生するようになります。結局70年代においては、新左翼の暗躍などにより13回(第9次暴動~第21次暴動)もの暴動が起こり、その内容も変質していきました。

ミドル世代に最も有名?1990年10月に発生した第22次暴動!!

70年代までは大阪の風物詩的な感じで定期的に発生していた西成暴動ですが、80年代に入ると、好景気による求人改善や左翼系組織の衰退もあってか暴動は見られなくなります。その結果、80年代には一度も暴動は発生しませんでした。しかし、暴動が既に過去の物になったと思われた1990年10月、再び大規模な暴動が発生しました。これが第22次暴動であり、かなり過激な内容としてミドル世代で覚えている方も多いかと思います。

こちらは当時の写真。車が滅茶苦茶になっています。

第22次暴動の発端は、警察の捜査員が暴力団から賄賂を受け取っていたことが発覚した不祥事です。当時の西成では、労働者が暴力団から“シノギ”の名目で稼ぎをピンハネされることが横行していました。そんな暴力団と警察が癒着していたことが明らかとなり、労働者の不満が爆発。投石や火炎瓶を投げつけるなど労働者が暴徒化し、あいりん地区のみならず他の地域にも暴動が飛び火するなど、かつてない騒ぎに発展しました。

当時の貴重なニュース映像は必見!!

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