新撰組“鬼の副長”土方歳三を演じた俳優たち
2017年10月18日 更新

新撰組“鬼の副長”土方歳三を演じた俳優たち

土方歳三といえば、新撰組“鬼の副長”として有名。と同時に、長身で色白、涼しげな目元の色男でもあり、京都にいたころは、芸者や舞妓から多数の恋文をもらうなど、たいそうモテたという逸話も残されています。本稿ではそんな土方を演じてきた俳優たちを、紹介していきたいと思います。

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『新選組血風録』(1965年・日本教育テレビ、現テレビ朝日系)‐栗塚旭

代表的"土方役者"として名高い栗塚旭。現にこの『新選組血風録』以降も、『燃えよ剣』(1970年・日本教育テレビ系)、新選組(1973年・フジテレビ系)、『いのち燃ゆ』(1981年・NHK)、『土方歳三 燃えよ剣』(1966年、松竹映画)と、実に計5本も土方役をつとめた実績を持つ専任俳優なのです。
資料本 新選組血風録/るい 栗塚旭/左右田一平/島田順司さん

資料本 新選組血風録/るい 栗塚旭/左右田一平/島田順司さん

栗塚旭版 土方歳三
これだけ重宝された背景には、『新選組血風録』と『燃えよ剣』の原作者・司馬遼太郎からのお墨付きがあります。この1965年のドラマ『新選組血風録』は企画段階で、司馬から難色を示されていたそうです。しかし、司馬に、土方の扮装をさせた栗塚を引き合わせたところ「いい青年ですね」と納得したために、無事、制作にこぎつけることができたのだとか。さらに、栗塚のニヒルでクールな演技が、土方のイメージとピッタリだったこともあり、「土方=栗塚」の方程式は鉄板化していったのでした。

栗塚に比肩する土方役は、彼自身が「やっと次にバトンを渡せる」と言ってその演技を称賛した、2004年の大河ドラマ『新選組!』における、山本耕史を待たねばなりません。ちなみに、この作品で栗塚は歳三の盲目の兄・土方為次郎を演じています。

『新選組始末記』(1977年・TBS系)‐古谷一行

作家・子母澤寛が1926年に上梓した小説『新選組始末記』。読売新聞の記者でもあった氏が、関係者への聞き込みを重ねて執筆したこの作品は、若き日の司馬遼太郎をして「これを超えるものは書けない」と思わせたほどであり、今もなお、新撰組関連作品に多大なる影響を及ぼし続けている「新撰組作品の参考書」として知られています。

そんな『新選組始末記』のテレビ版がこちら。局長・近藤を平幹二朗、一番隊組長・沖田を草刈正雄が演じ、当時30代前半だった古谷一行が土方を演じています。
誠の詩―新選組始末記 (1977年)

誠の詩―新選組始末記 (1977年)

左から土方歳三(古谷一行)、近藤勇(平幹二朗)、沖田総司(草刈正雄)

『壬生の恋歌』(1983年・NHK)‐夏八木勲

新撰組関連作品の中には、近藤や土方など幹部以外の視点から描かれた物語も数多く存在します。『壬生の恋歌』もその一つ。本作は、平隊士として入隊した入江伊之助(三田村邦彦)の目線で描かれており、渡辺謙・遠藤憲一・笑福亭鶴瓶のドラマ初レギュラー作品としても知られています。
この『壬生の恋歌』で、土方を演じているのは、野性味あふれる風貌で時代劇の常連俳優として長らく活躍した名優・夏八木勲です。

【新撰組】 芹沢鴨暗殺 【壬生の恋歌】

土方歳三を演じている夏八木勲

『燃えよ剣』(1990年・テレビ東京)‐役所広司

1966年と1970年、そして1990年に都合3回テレビドラマ化している『燃えよ剣』。このテレビ東京の新春時代劇用に制作された1990年バージョンは、役所広司が土方役を担当。当時34歳。面長でシュッとした輪郭に涼しげな目元、スッと通った鼻筋と薄い唇…。さまざまなパーツが近似しており、本物にそっくりです。おそらく歴代で見ても、これほどルックス的に近しい配役はないのではなでしょうか。
燃えよ剣 第二部 前篇

燃えよ剣 第二部 前篇

1990年版『燃えよ剣』の土方歳三(役所広司)

『幕末純情伝』(1991年・松竹映画)‐杉本哲太

つかこうへい作の同名小説を映画化したのがこちらの作品。主人公の沖田総司は当時人気絶頂だった牧瀬里穂で、「沖田総司はBカップ。」という思い切ったキャッチフレーズが大いに話題を呼んだものでした。土方役は、春日局(1989年)、翔ぶが如く(1990年)、信長 KING OF ZIPANGU(1992年)と、この時期、大河ドラマに出まくっていた杉本哲太が好演。
幕末純情伝

幕末純情伝

左側真ん中あたりに杉本哲太演じる土方歳三

『御法度』(1999年・松竹映画)‐ビートたけし

土方が箱館五稜郭で狙撃され、戦死した時の年齢は35歳。活躍時期も20代後半~30代前半となるため、当然、フィクションで描かれるときはその史実に即して、近い年齢の俳優が抜擢されるものです。しかし、『御法度』で土方を演じたビートたけしの年齢は、当時で既に52歳。演じた中ではかなり高齢の部類に入るでしょう。
「御法度 -GOHATTO-」ポストカードセット

「御法度 -GOHATTO-」ポストカードセット

左下がビートたけし演じた土方歳三
なぜ、アラフィフのたけしを土方役に据えたのかといえば、理由は明白。本作における主人公は新入隊士の美男剣士・加納惣三郎であり、演じたのは当時16歳の松田龍平。また、彼を衆道(男色)の世界へ誘う、同期入隊のもう一人の主役・田代彪蔵も、当時25歳の浅野忠信がつとめており、2人の若さを際立たせるために、あえて年のいった威厳のある人物を幹部役に置いたのです。
その証拠に、近藤勇は崔洋一(当時50歳)、伊東甲子太郎は伊武雅刀(当時50歳)、井上源三郎は坂上二郎(当時65歳)と、本来、史実では20代~30代であるはずの新撰組隊士たちが軒並み高齢になっており、それゆえ、隊内の重々しい雰囲気がよく醸し出されています。
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