鈴木清順監督が持てる才能の全てを注込んで挑んだ怪奇幻想譚「陽炎座」。
2020年2月24日 更新

鈴木清順監督が持てる才能の全てを注込んで挑んだ怪奇幻想譚「陽炎座」。

「三度びお会いして、四度目の逢瀬は恋になります。死なねばなりません。」このセリフが全てか?!独特な映像美と難解な物語。まるで悪夢を見ていつような異様な緊張感を持った鈴木清順監督の代表作のひとつ「陽炎座」です。傑作中の傑作。現在では作ることが不可能と思える映画らしい映画です。

3,489 view
松崎春孤:松田優作 品子:大楠道代

松崎春孤:松田優作 品子:大楠道代

驚いたことに、玉脇の邸宅は松碕が品子と会った部屋とソックリなのでした。もしかすると、品子は玉協の妻なのではないかと松崎は考え恐れます。
それから数日後、松崎はイネ(楠田枝里子)という女性と出会います。イネは品子とソックリなのでした。
イネ:楠田枝里子

イネ:楠田枝里子

イネは「玉脇の家内です」と告げるのですが、松崎と出会う直前に息を引きとっていました。
松崎の下宿の女主人みお(加賀まりこ)は、玉脇はドイツ留学中にイレーネという女性と一緒になったものの、病気で入院してしまい玉脇は品子を後添いにしたと言います。イレーネは日本に来てイネになりきろうとしていたのだと。
イネ:楠田枝里子

イネ:楠田枝里子

そこへ、品子から手紙が届きます。
「金沢、夕月楼にてお待ち申し候。三度びお会いして、四度目の逢瀬は恋になります。死なねばなりません。それでもお会いしたいのです」松崎は金沢に向かいます。
すると偶然車中で玉脇に出会います。玉脇も亭主持ちの女と若い愛人の心中を見に金沢へ行くと言うのです。
金沢では舟に乗っている品子と死んだはずのイネを見かけたものの、なかなか品子に会うことが出来ません。やっと会えたかと思えば、手紙を出した覚えはないと品子は言います。
一方、玉脇は松崎に心中することをせまります。何とか玉脇の元から逃れた松崎の前にアナーキストの和田(原田芳雄)が現れます。
松崎春孤:松田優作 品子:大楠道代

松崎春孤:松田優作 品子:大楠道代

和田に連れられて怪しげな人形の会に参加することになった松崎。人形の裏にある穴から中を覗いた松崎は衝撃を受けます。人妻と若い愛人が背中合わせに座っており、そこは死後の世界だったのです。
品子:大楠道代

品子:大楠道代

金沢を逃げ出した松崎は芝居小屋に辿り着きます。
舞台で品子、イネ、玉脇の縺れた糸がほどかれようとした途端に小屋は崩壊してしまいます。それは愛憎の念によるものでした。
品子:大楠道代

品子:大楠道代

東京に戻った松崎のもとに品子から手紙が届いていました。
「うたた寝に恋しき人を見てしより夢てふものは頬みそめてき」。
手紙を読み終えた松崎は、夢が現実を変えたんだと呟くのでした。

「陽炎座」は、1981年キネマ旬報ベストテンで第3位となったほか、日本アカデミー賞最優秀助演男優賞(中村嘉葎雄)、優秀脚本賞、優秀撮影賞、優秀照明賞等受賞など様々な映画賞を受賞しています。

Amazon | 陽炎座 [DVD] | 映画

8,800
松田優作, 大楠道代, 楠田枝里子, 中村嘉葎雄, 鈴木清順, 泉鏡花 邦画・洋画のDVD・Blu-rayはアマゾンで予約・購入。お急ぎ便ご利用で発売日前日に商品を受け取り可能。通常配送無料(一部除く)。
曇り空の下に繰り広げられる豪華絢爛絵巻。泉鏡花の映画については寺山修司、坂東玉三郎などもあったが やはり清順が一番か。
例のごとく 話の筋は あるのかないのかわからぬまま 観客は主人公の松田優作と共に 大正の東京、金沢を彷徨させられる。
35 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

 “カルト映画の神様”と呼ばれた鈴木清順監督の浪漫三部作の1本「ツィゴイネルワイゼン」

“カルト映画の神様”と呼ばれた鈴木清順監督の浪漫三部作の1本「ツィゴイネルワイゼン」

「生きているひとは死んでいて、死んだひとこそ生きている」いかにもカルト映画という印象的なセリフですね。あの世とこの世の狭間の世界を圧倒的な演出で描いた「ツィゴイネルワイゼン」。妖しく怖くもあり、たまらなくエロチックでもあるこの映画。独特な映像美の世界に足を踏み入れてみてください!
obladioblada | 4,706 view
【ツィゴイネルワイゼン】第4回(1981年度)日本アカデミー賞を振り返る!【高倉健】

【ツィゴイネルワイゼン】第4回(1981年度)日本アカデミー賞を振り返る!【高倉健】

1981年と言えば、ダイアナ妃がチャールズ王子と結婚した年。初のスペースシャトル、コロンビアが打ち上げされた年でもあった。そんな1981年の日本アカデミー賞を振り返ってみよう。
もこ | 540 view
【大映ドラマ】を支えた今は亡きあの名優たち

【大映ドラマ】を支えた今は亡きあの名優たち

ミドルエッジ世代にとって青春の一部と言っても過言ではない大映ドラマ。大げさとも言える演出やパンチ効きすぎのセリフなど、現在のドラマではとても味わえない作品の数々。今回はそんな大映ドラマを脇から支えた名俳優たちについてスポットを当ててみたいと思います。
ハナハナ | 637 view
あの伝説の歌姫の母校としても有名に!【日出女子学園高校】卒業のアイドルたち!

あの伝説の歌姫の母校としても有名に!【日出女子学園高校】卒業のアイドルたち!

堀越高校と双璧をなす芸能人御用達の高校として有名な日出女子学園高校について、1970年代から1980年代に卒業した芸能人をまとめてみました。
ハナハナ | 585 view
80年代は、ロバート・パーマーの充実期!

80年代は、ロバート・パーマーの充実期!

日本においては今ひとつ人気、知名度共に低いように感じるロバート・パーマー。ですが、全米ナンバー1ヒットもありますし、グラミー賞最優秀男性ロック・ボーカル・パフォーマンス賞は2度も受賞している実力派です! そんなロバート・パーマーの充実期である80年代の作品をご紹介します。
obladioblada | 330 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト