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まさにこれぞ“リアルロボットアニメ”。実際の戦争も誰かを倒せば戦争は終結するという訳でも無いし今のウクライナの侵攻でも停戦交渉が進む中で戦闘が起きたりと戦場だけが戦争ではなく交渉・外交のテーブルもまた弾丸の代わりに言葉を交わす戦争の舞台なのだと。ガンダムですら誰か悪の黒幕が出てきたりして分かりやすいものだが、実際はそんな事もない訳だし、まさに勧善懲悪でも無いリアルを徹底したロボットアニメと言えます。
ドナンの「お前たちは急ぎすぎる」
サマリンの「わたしたちは急ぎすぎたのかもしれない」
この二つの台詞がこのダグラムのストーリーを端的に語っている、と思う。
「ラコックの陰謀劇を軸とした政治ドラマだけで物語が成立しているため、ダグラム等CBアーマー戦は不要と言える」などというが、社会、歴史、人間を理解していない。ほどなく戦死する兵士、雑多な兵器群、次々開発される時に荒唐無稽な新兵器、小戦術から大戦略、こうした小さな積み重ねの上にラコックの政治劇が現実の生々しさを生むのである。ヒトラーの時代を、彼が介入した戦術、巨大戦車、兵士の軍装なしに映像化して政治と戦争を描けるか、ということなのだ。応仁の乱つながりで言うと、軍事イノベーションは勿論のこと個々の小戦闘や足軽の跋扈という背景を描くことなしに、細川・山名の政治だけを追っても、「応仁の乱」は描けまい。
10歳頃だったため、話の展開がよく理解できなかった。ガンダムは再放送が繰り返されたため、大人になるにつれて、その重厚なストーリーが次第に理解できたのだが。ただ、子供ながらに鮮明に覚えているのがラコックの「寄生虫」発言。成程、後に、現実社会でこの語は最大級の罵詈語ではないかと思ったのであった。さて、「複雑」なことを単純にではなく、あくまで「複雑」さを精密に描く。英雄などは不在ー。私はある書物を思い出している。呉座雄一『応仁の乱』。話は極めて複雑、登場人物も多く、結局誰が勝ったのかもよくわかないのだが、それを追っていく視点として、クリンという父は連邦評議会議長でありながら反連邦政府ゲリラである人物を置いて、話の理解に一筋を通すというのは、複雑な応仁の乱を精密に描きながら、基点として高僧の日記を置いて何とか全体像が見えるようにした、呉座の手法に似てはいないか。俗流歴史本(小説のことではなく、これが歴史の真実だ!と豪語する類の本)ではなく、この新書が売れるという基盤が日本にあるのであれば、ダグラムがもう一度見直されてもよいのでないかと思うのであった。
連邦軍対ゲリラ、ガンダムと真逆なストーリーが面白い。
コンバットアーマーのデザインもモビルスーツを更に実在兵器に近付けた泥臭い?魅力ありますね。
ロボットアニメのヒーロー性を無視したより無骨なデザインも凄い斬新だった。
ストーリーも単発ゲリラからザルツェフ少佐の加入、ザナ中尉率いるウルナ基地の反乱、ゲリラとの共闘、解放軍としての組織戦になりダグラムはじめヘイスティの参戦と絶好調な時に北極ポート直前の屁氏カルメルの裏切り、フォンシュタインの謀殺、中途半端な独立、ゲリラとなった太陽の牙と屁氏カルメルの解放軍、そして連邦軍の対立からサマリン博士の死、そしてデスタンによる黒幕ラコックの死と展開が目まぐるしく変わるストーリー、面白い反面ラストはしっくり来ないエンドでした。
せめて解放軍が北極ポートを制覇して和平交渉の末完全独立で締めたかった。
ストーリーにもっとコンバットアーマーの活躍を取り入れてほしかった。
スパロボでダグラムも参戦させてパラレルワールドとしてガンダムとうまく共演してほしい。
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