「日本を代表するお母さん女優」と呼ばれたのは誰?
2023年3月26日 更新

「日本を代表するお母さん女優」と呼ばれたのは誰?

昭和を代表するドラマには「お母さんと言えばこの人」という女優がいたと思いますが、「日本を代表するお母さん女優」とまで言われた女優にスポットライトを当ててみました。

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はじめに

1960年代からお茶の間を楽しませてくれたのが、「お母さん」を中心としたファミリードラマ。

「肝っ玉母さん」や「ありがとう」「時間ですよ」など劇中で「お母さん!」と呼ばれているシーンを思い出すものばかりですね。
エプロンをしたお母さんが、時にやさしく、時に厳しく、時におちゃめに一家を温かく見守る姿が描かれていました。

当時「日本を代表するお母さん女優」と呼ばれた三人の女優を紹介していきたいと思います。

お母さん その一 「京塚昌子」

京塚 昌子(きょうづか まさこ)、1930年生まれ - 1994年没(享年64歳)。

東京都出身、疎開先(栃木県)の佐野高等女学校を卒業後、新派へ入団。
1959年から1972年まで放映されたテレビドラマ「カミさんと私」で伊志井寛の相手役として人気を博しました。

1968年石井ふく子(伊志井寛の娘)プロデュース作品「肝っ玉かあさん」で、蕎麦屋を切り盛りするしっかり者で涙もろい母親役を好演。「ありがとう」(第4シリーズ)などでも母親役を演じ、1970年代のテレビ業界において、「恰幅が良く、割烹着が似合う母親役」で絶大な人気を誇りました。

「肝っ玉かあさん」

女手一つで原宿で蕎麦屋「大正庵」を切り盛りしている京塚昌子演じる大正五三子(いさこ)。
長男・一は清田綾と結婚し、長女・三三子は看護学校に通っている。清田家や大正庵の従業員たちも巻き込み、様々な騒動が起きるのですが、明るく前向きに解決していく姿が描かれたホームドラマです。1968年から1972年に放送されました。

ぽっちゃり体型を生かし、少しおっちょこちょいで、しっかり者の母親を演じて大好評でした。

「お母さん女優」を確立した「肝っ玉母さん」以外の作品も紹介します。

「かあさんの四季」1972年10月から1973年9月まで放送
  「肝っ玉かあさん」では商売を営む母親を中心としたドラマでしたが、この
  「かあさんの四季」では、北村和夫演じる夫と子供たちによる一般家庭を中
   心に描かれたドラマです。「京塚かあさんもの」の一つです。

「ありがとう(第4シリーズ)」1974年5月から1974年4月まで放送
   第4シリーズから、カレー屋を営む母と娘・佐良直美の日常生活を描いた
   ドラマとなっています。

「ほんとうに」1976年10月から1977年5月まで放送
   日本橋の老舗の煎餅屋「はまかわ」の女主人・浜川信乃と息子たちの恋と
   結婚、また嫁・姑問題などを描いたドラマです。
   長男・東作は関口宏。二男・南平は草刈正雄です。

「おふくろさん」1975年4月から 9月まで放送
   未亡人の母・鈴村かね子と大学教授の坪内清軒(フランキー堺)の再婚させようと
   奮闘する息子・文吾(石立鉄男)。陽気でお人好しの母と一人息子を中心に下町の
   人間模様を描いたドラマです。

「山盛り食堂」1975年10月から1976年3月まで放送
   食堂を切り盛りするふみ江の一家と常連客たちの人間関係を描いたホームドラマ
   です。舞台はトラックドライバーの利用も多いドライブインの食堂。いつも山盛り
   のご飯やおかずに家庭的な性格のふみ江はみんなのおふくろさん的な存在となって
   います。

お母さん その二 「山岡久乃」

山岡 久乃(やまおか ひさの)、1926年生まれ、 1999年没(享年72歳)。

東京都出身。1942年宝塚音楽舞踊学校入学するも第二次世界大戦により中退し、戦後1946年に俳優座入団します。その後日活と専属契約を結び映画に出演。以来舞台をはじめとし映像分野でも広く活躍しました。

1970年「ありがとう」でお母さん役を演じ人気を博します。「ありがとう」では娘役の水前寺清子とのコンビが当たり視聴率50%を突破するなど「怪物ドラマ」とも呼ばれました。このドラマで「お母さん女優」の地位を確立しました。

役柄以外の普段での山岡も面倒見が良く、事務所の掃除員やスタッフへ手料理を振舞うなど気前も良く、「お母さん」と慕われていたそうです。
石井ふく子・橋田壽賀子が関係する作品に起用される機会が多く、「渡る世間は鬼ばかり」での岡倉家のお母さん役は印象に強く残っています。
渡る世間は鬼ばかり

渡る世間は鬼ばかり

岡倉大吉(藤岡琢也)と節子(山岡久乃)夫婦と5人の娘たち(長山藍子・泉ピン子・中田喜子・野村真美・藤田朋子)とそれぞれの家族の暮らしを描いたホームドラマです。

10シリーズに及び放送されました。

「渡る世間は鬼ばかり」で岡倉のお母さんと言うイメージも強いのですが、渡鬼以前の作品を紹介します。

「肝っ玉かあさん」1968年から1972年まで放送。京塚昌子主演。
  京塚演じる大正五三子の長男と結婚した清田綾。この清田綾の母・八重を山岡久乃が
  演じています。夫・保文は職場や子供たちには良き上司・父親なのですが、気が短い
  上、極度の亭主関白。八重とは四六時中喧嘩が絶えず、「大正庵」にまでその被害が
  及ぶ始末です。

「ありがとう」1970年から1975年まで放送
  第1シリーズ(婦人警官編)、第2シリーズ(看護婦編)、第3シリーズ(魚屋編)
  まで山岡久乃と水前寺清子が母娘。母と娘の日常生活を婦人警官編、看護婦編、魚屋
  偏で描かれています。

「みんなで7人」1972年から1973年まで放送
  下宿屋を営んでいる長岡正子。下宿人は新幹線のウエイトレスや鉄道弘済会で働く女
  性ばかり五人です。そこに正子の長男と次男が加わり、下宿屋と東京駅の売店、新幹
  線ビュッフェを舞台に故郷を離れて暮らす人たちの人間模様が描かれています。

「三男三女婿一匹」1976年から1980年まで放送
    病院を舞台に大家族が繰り広げるホームドラマです。病院長の桂大五郎
    (森繁久彌)と元婦長である大五郎の妻・政江(山岡久乃)。
    同病院には外科医の長男、小児科医の二男、栄養士の養女、薬剤師の長女。
    さらには写真家の三男に浪人生の二女といった大家族です。

お母さん その三 「森光子」

森 光子(もり みつこ)、1920年生まれ、2012年没(享年93歳)。

京都府出身。祇園の芸妓だった母親の私生児として育てられ、幼少の頃から歌と踊りが大好きでした。13歳のときに両親と死別。母親の実家が俳優などが出入りする商人宿を営んでおり、その華やかな俳優を見ていたせいなのか、彼女は歌劇の道を志します。しかし夢は叶わず、不本意ながらも従兄の嵐寛寿郎のプロダクション(第二次寛プロ)に所属することになります。

その後映画や舞台、ラジオ、バラエティ等々で活躍し、1970年の「時間ですよシリーズ」での下町の銭湯のおかみさん役が当たり話題となりました。これによって京塚昌子や山岡久乃らとともに日本を代表する「お母さん女優」としてその人気を不動のものとしたのです。

確立したイメージはCMでも活かされ、特に1968年から起用された「タケヤ味噌」のCMでは、途中に空白期間はあるものの2008年まで約40年にわたりCMキャラクターとして起用されました。
時間ですよ

時間ですよ

東京・五反田で銭湯「松の湯」を経営する松野家を中心としたホームドラマです。松野家の後継問題を描く一方で、堺正章、樹木希林が演じる従業員の「トリオ・ザ・銭湯」が、ドラマの本編とは何の関係もないアドリブ風のトークやギャグを連発するシーンが組み込まれています。

第2シリーズから営業時間になると従業員が「女将さ~ん!時間ですよ~!!」と叫ぶシーンが登場します。
「おかみさん、時間ですよ~!」で始まる「時間ですよ」では、昭和のお母さんと女将さんという印象が強く残りますが、その他の作品も少し紹介します。

「おさな妻」1970年10月2日から1971年9月24日まで
    母の急死によって叔母の家に身を寄せることとなった女子高校生・玲子。
    アルバイト先の保育園で仲良くなった女児とその父親と結婚し、妻・母・
    学生の3役をこなすホームドラマです。主人公の玲子役に麻田ルミ、叔母
    ではありますが玲子の母親のような香山寿子役が森光子です。

「花吹雪はしご一家」1975年11月から1976年5月まで放送
    吉祥寺に暮らす代々続く古風な鳶職「江戸家」の一家が舞台です。
    未亡人の松子(森光子)とその子どもたちの日常と一家の後継者問題
    をからめながら描いています。長男は左とん平、二男・西城秀樹、
    長女・川口まさみ、二女・相本久美子、長女の夫・加山雄三です。

お母さんのイメージで起用されたタケヤ味噌CMは、1968年以来、一時中断を経て40年もの間キャラクターを務めました。

タケヤみそ CM 1981年

おしまいに

三人の「お母さん女優」を見て行きました。それぞれが違ったお母さんではありますが、三人とも昭和時代にいたお母さんだなと感じさせます。懐温かい京塚昌子お母さん、ちょっと厳しいが愛のある山岡久乃お母さん、ユーモラスを持ち合わせた森光子お母さん。素敵なお母さんです。
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