勝新太郎の名言「気付いたらパンツのなかに入ってた」その豪放磊落な人生を振り返る
2018年1月12日 更新

勝新太郎の名言「気付いたらパンツのなかに入ってた」その豪放磊落な人生を振り返る

勝新太郎といえば「座頭市」「パンツ(麻薬所持)事件」の印象でしょうか。私は世代的にパンツ事件の印象ばかりが残っていますが、勝新太郎は実に豪放磊落な人生を送った俳優でした。しかも俳優としては一流の呼び声高く、名作にも多く出演しています。その豪快な人生を振り返ってみましょう。

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勝新太郎

勝新太郎

勝新太郎

勝 新太郎(1931年11月29日 - 1997年6月21日)は、日本の俳優・歌手・脚本家・映画監督・映画プロデューサー・三味線師範。市川雷蔵とともに大映の「二枚看板」として活躍。
その後は「勝プロダクション」を設立し、劇場用映画やテレビ作品などの製作にも携わった。本名は奥村 利夫。
「かつしん」と愛称で呼ばれ、豪放磊落なイメージと愛嬌のある人柄で、不祥事が起こっても多くのファンから愛された。

語り継がれる数多くの武勇伝

勝新太郎の来歴

ジェームズ・ディーンをみて役者を志望

生い立ち

生い立ち

長唄三味線方の杵屋勝東治と妻・八重子の次男として母方の実家のある千葉県で生まれる。

旧制法政中学校(現在の法政大学中学高等学校)中退。十代のころは長唄と三味線の師匠として、深川の芸者に稽古をつける。
1954年のアメリカ巡業中に、撮影所で紹介されたジェームズ・ディーンに感化されて映画俳優になることを決意。

「座頭市」で不動の人気を得る

大映時代

大映時代

23歳の時に大映京都撮影所と契約、1954年の『花の白虎隊』でデビュー。
同年代の若尾文子らがスターとして活躍していくのとは対象的に、主演作のあまりの不人気ぶりに映画館の館主達からは「いい加減に勝を主役にした映画を作るのはやめてくれ」との苦情が絶えず寄せられるほどだったという。
しかし、1960年の『不知火検校』で野心的な悪僧を演じたことにより、それまでの評価を一新することに。
1961年、二代目中村鴈治郎の長女で同じ大映に在籍していた女優の中村玉緒と婚約。玉緒とは『不知火検校』や一匹狼のやくざ・朝吉役で主演した『悪名』などで共演。

この映画が初のヒットとなりシリーズ化。1962年3月5日、永田の媒酌で結婚。続く『座頭市物語』、『兵隊やくざ』で不動の人気を獲得。一躍大映の大黒柱の一人となる。

自らプロダクションを設立、不祥事やトラブル

勝プロ時代

勝プロ時代

1967年に勝プロダクションを設立、自ら映画製作に乗り出す。この時期は三船敏郎の三船プロ、石原裕次郎の石原プロ、中村錦之助(萬屋錦之介)の中村プロなど映画スターによる独立制作プロダクションの設立が続いた。

勝プロは、大映出身の監督たちと時代劇の伝統を絶やさぬよう拘りぬいた映画制作を続けた。
一方では『男一匹ガキ大将』や実兄・若山富三郎主演の『子連れ狼』、自身も主演した『御用牙』などマンガ・劇画の映画化やテレビドラマ製作にも進出。

1971年、製作・監督・脚本・主演をこなした映画『顔役』は、撮影の殆どを手持ちカメラで行い、極端なクローズアップを多用し状況説明的な描写を廃したカットつなぎなど、典型的な刑事ドラマでありながらも、それまでの日本映画の映画文法を破り、先進的な手法を使った作品と評される。

またデビューして2年の俳優だった松平健を自らの弟子とし、勝自身が製作・主演したテレビドラマ『座頭市物語』に出演させて徹底的に鍛え上げ、1978年に『暴れん坊将軍』(テレビ朝日系)に主演させて時代劇スターに育て上げた。

1974年から1979年にかけて、座頭市をテレビドラマとして合計4シーズン、全100話を製作(その多くで脚本、演出も担当)するなど、活動は軌道に乗っているように見えたが、この頃からプライベートでのトラブルが多くなり、1978年にはアヘンの不法所持で書類送検される。

1980年に製作したテレビドラマ『警視-K』(日本テレビ系)が完全主義の勝の製作方針などで予算がオーバーし、作品自体も不振で途中打ち切りになるなどした。この影響を受けて勝プロダクションは膨大な赤字を抱えて経営が立ち行かなくなり、1981年に12億円の負債を残し倒産。この時の記者会見で「勝新太郎は負けない」と述べ、借金と戦っていくことを宣言。

翌年、中村玉緒を社長とした「勝プロモーション」を設立するが、後に長女と長男が大麻密売で揃って逮捕された。

65歳で早逝

多難な晩年

多難な晩年

1989年に長年の沈黙を破り、自らの製作・監督・脚本・主演により『座頭市』を完成させたが、長男・雄大が殺陣の撮影中、死体役の役者を真剣で刺して死亡させてしまう。

結局これが勝製作の最後の映画となった。出演作品としては1990年、黒木和雄監督の『浪人街』が最後となり、以後、活躍の場を舞台に移し、演出・主演を務める。

1990年1月、アメリカ合衆国ハワイ州のホノルル空港で下着にマリファナとコカインを入れていたとして現行犯逮捕される。麻薬を下着に入れていた理由について「気付いたら入っていた」としらを切り、逮捕後の記者会見では「今後は同様の事件を起こさないよう、もうパンツをはかないようにする」「なぜ、私どもの手にコカインがあったのか知りたい。」ととぼけ通し、結局誰から薬物を受け取ったかについて、最後まで口を割ることはなかった。

1996年7月に下咽頭癌を発病。手術はせず、抗癌剤と放射線の治療を行なった。入院中も外出を繰り返して寿司や酒を楽しみ、平然と煙草をふかした。

晩年は、トライデントシュガーレスガムのCMにも出演したほか、死の前年である1996年には『笑っていいとも!』(フジテレビ系)の「テレフォンショッキング」にも出演。

最後の舞台は大阪新歌舞伎座で中村玉緒と夫婦役を演じた『夫婦善哉』。 1997年6月21日、入院先の千葉県柏市の国立がんセンター東病院で下咽頭癌で死去。65歳没。
出棺の際は「勝ちゃんありがとう」と多くのファンに見守られた。

豪快なエピソードの数々

豪放磊落、この言葉がぴったりくる勝新太郎

ギャラ交渉

ギャラ交渉

1960年代後半に入ると大映で雷蔵、京マチ子、若尾に次ぐギャラをもらうようになっており、永田社長に「これだけギャラを上げてくれ」と指2本を出したが、永田は断った。

そのためストライキを敢行し、結果的に永田が折れる形で決着が着いた。しかし、ギャラが映画1本に付き200万上がり500万円になったため、勝は驚いた。何故なら、「20万円上げて欲しかった」ことを勘違いされたのである。
入社当時の勝のギャラは1本に付き3万円、雷蔵は1本に付き30万円+ハイヤーの送迎付きであった。雷蔵にライバル心を燃やす勝は、自費でハイヤーに乗っていた。
迫力満点の豊臣秀吉

迫力満点の豊臣秀吉

1987年のNHK大河ドラマ「独眼竜政宗」で演じた豊臣秀吉は、「サル」や「人たらし」などと評される従来の秀吉像を覆すような配役で話題となった。

本作の主人公伊達政宗が「化け物」と評したように、本作では若き政宗の前に立ちはだかる大きな壁という位置づけであり、「渡辺謙(政宗役)=知名度の高くない若手」「勝新太郎=衆目の知るところの大御所」という図式が、そのまま「伊達政宗=奥羽の若き大名」、「秀吉=老成した天下人」にも当てはまるなど、役者の立場・イメージと演じる役の立場がぴったりという印象が強いのも特徴。
B'z稲葉さんが大好き!

B'z稲葉さんが大好き!

晩年は好きだったB'zのライブにも度々顔を出していた。元々B'zを聴くようになるきっかけは、とある居酒屋でヴォーカル稲葉浩志と出会ったことからだった。

稲葉が飲んでいたところ、そこにたまたま来店した勝が稲葉の容姿を見た瞬間、「裕次郎以来、最高の男を見た気分だ」と絶賛、俳優としてデビューさせようと話を持ちかけるも、稲葉がB'zのヴォーカルであったことが分かり諦めた。

その後は、時間の許す限り自ら購入したチケットでライブに訪れていた。
中村玉緒も、「最後にもう一度だけでいい、稲葉さんに会わせてあげたかった」と発言している。
喧嘩の仲裁は東京タワー

喧嘩の仲裁は東京タワー

ブレイク前のMr.マリックのショーに感激し、そのときの全ての所持金の約50万円をチップで渡した事がある。
晩年の住居は東京タワーが見えるマンションだった。妻・玉緒との夫婦喧嘩で収拾がつかなくなると窓を指して、「東京タワーが見てる」と言いながら玉緒の機嫌をとることも度々であったという。

勝の豪放な語り口・私生活・自由奔放で泰然としたキャラクターは、古参お笑い芸人達の格好のネタ元になっている。旧・勝プロが設立、運営していた演劇学校「勝アカデミー」出身の小堺一機やルー大柴をはじめ、タモリ、明石家さんま等。
豪遊は当たり前

豪遊は当たり前

「俺から遊びを取ったら何も残らない」と豪語し、豪遊は当たり前だった。若い頃から大酒飲みで座持ちは抜群。得意の三味線や歌、愉快な話を披露し、芸者達をも楽しませた。

結果、不摂生な生活で肥満体型になり、役柄も限定されるように。時代を追うごとに収入が激減、特に勝プロダクションが倒産してからは借金取りにまで追われる生活であったにも関わらず、借金で豪遊し、高級車に高級な服と豪勢な生活を続け、返済できぬまま死去。
結局、妻の玉緒が完済のために奔走することとなった。
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