ダイハツ・ミゼットはまさに昭和の象徴だった
2023年10月28日 更新

ダイハツ・ミゼットはまさに昭和の象徴だった

一見奇抜なデザインだったり、そこまでしなくてもと思うほどの走行性能だったり、使い切れないほど多機能だったり・・・こうした強い個性を持つクルマはこれまで数え切れないほど登場し、数年で消えていくこともあった。そんな特別なクルマの中から、今回はダイハツ・ミゼットを取り上げます。

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奇抜で可愛い一人乗り車

ダイハツ・ミゼット

ダイハツ・ミゼット

1957年に誕生したダイハツの初代ミゼットは、単座(一人乗り)の小さなトラックでした。今考えると、まさに時代が追いつけなかったクルマといえるのではないでしょうか。

「個性が強すぎる」国産車の一つ、ダイハツ・ミゼットは、1990年代〜2000年代に昭和の街を飾った小さなトラックです。

1990年代〜2000年代に登場した「個性が強すぎる」国産車

ダイハツ・ミゼットII

ダイハツ・ミゼットII

ダイハツのミゼットIIは、1996〜2001年まで生産・販売されていたクルマです。しかし生産中止となった2001年以降でも、一部のマニアックな走り屋さんたちから支持を受け人気車種となっていました。

ミゼットIIに乗って林道などのオフロードを楽しむ人たちが、少なからず存在していたのです。小さくて幅も狭い車だし、特にパワフルというわけでもないので、アクセルペダルを思い切り踏み込むこともできる、そして何といっても後輪駆動ということで大いにハンドリングが楽しめました。中古車価格もかなりリーズナブルだったので、自分でカスタムする人も多かったようです。

ミゼットIIは、1996年4月に一人乗りの軽トラックとして誕生した車です。その大きさと形状から、販売当初からいったい何に使えばいいのって聞いてくる声が、当時では世間一般の声となっていました。エンジンなどはハイゼットのパーツをフル活用して作られ、ボディの外寸は、全長2790×全幅1295×全高1650mmと当時でも軽規格よりはるかに短くて狭かったのです。

この何とも言えない狭苦しさは、1957年に誕生した初代ミゼットに近いものでした。21世紀を目前にした時代に、40年前の車種と同じだと言われても、なかなか世間には受け入れてもらえなかったようです。しかも後方にちょこんとついた小さな荷台の積載量は、僅かに150kgに過ぎず軽トラックとしても使用できない始末でした。

ユニークなスタイリング

1996年4月販売型 Rタイプ

1996年4月販売型 Rタイプ

ミゼットIIのスタイリングも、当時としてはかなり最先端というかユニークなものだったと言えるでしょう。フロント中央にスペアタイヤを固定、左右には丸目のヘッドライトが取り付けられ、フロントウインドーも狭かったのでワイパーは1本となります。それでもドアは左右にあってどちらからでも乗り降りができました。

シートの左側にはフロアシフトが飛び出していたのですが、跨げば左からでも簡単にシートに座れます。車自体がスリムということで、狭い道の通行はお手の物。全幅1295というコンパクトさでも、しっかりオーバーフェンダー内に4輪が収められていました。

エンジンは運転席下となるアンダーフロア式で、短めのプロペラシャフトとデフを介して後輪を駆動します。一見簡易な車のようですが、メカニズム的にはれっきとした軽トラックに仕立てられていたのですね。しかしそのスペックから非力と思われがちですが、ボディ重量が570kgと言う軽量なことから、かなり走りは元気があったようです。ローギアード車のためラフにクラッチを繋ぐと、後ろからガツンと蹴飛ばされた感じで加速します。これが当時のファンの人気でもありました。

2人乗りのミゼットも

1997年1月販売型 ミゼットII カーゴ (Dタイプ)

1997年1月販売型 ミゼットII カーゴ (Dタイプ)

1997年1月、ミゼットIIに大変革が起きます。なんとミゼットに2人乗りが登場したのです。トランスミッションを3速ATとして、シフトをコラムにセットしました。これによって生まれたごくわずかな左スペースに、形だけではありますが申し訳程度の小さな補助席が作られたのでした。

彼女を乗せてのドライブはちょっと厳しいですが、近場での送迎くらいなら問題ありませんでした。同時にリアまでパネルで覆った「カーゴ」も新発売され、これまでのトラックタイプは「ピック」と呼ばれるようになります。

徐々に市民権を得るようになってきたミゼットIIは、発売から2年ほど過ぎてから。街中を配達車とする商用トラックや、シティコミューターとして使う人が増えてきたのでした。

新たなムーブメント

懐かしいCM ダイハツ 「ミゼットⅡ」

1998年9月、ダイハツはミゼットIIのマイナーチェンジを行います。市場の動向をいち早く察知し、カラードバンパーやメッキパーツを用いた上級グレードの特別仕様を設定したのです。同時に、ユーザーの要望に応えエアコンの標準装備も決まりました。

初代のミゼットが発売されてから15年後の1972〜1974年、ホンダから商用バンとして登場したのがライフ ステップバンです。しかし周囲の期待を裏切って、全くの失敗に終わったのです。しかし販売が終了してからのこと、サーファーを中心に人気が高まりなんと人気車に。ユーザーたちが、本来の目的とは異なる使い方を見つけたのです。

ミゼットIIも同様で、2001年に販売が終了してからしばらくして、人気が湧き上がりました。結果的に5年間で累計販売1万4000台となったミゼットII、この数字は充分に立派だと言えるでしょう。
15 件

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  • 記事コメント
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  • タタン 2024/4/3 01:35

    今ダイハツ不正問題で揺れてるけど、やはり昔のように車に情熱かけてお客様ファーストを心がけて欲しい。願わくばミゼットを生み出した時のような愛される車を再び生み出してほしいものだ。

    D 🚙 sho-wa 2023/10/29 02:36

    原付の改良型みたいな・・・

    すべてのコメントを見る (2)

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