スター・ウォーズで痛感する、ハリウッドのSFと和製SFの差
「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」TV SPOT“光と闇篇”15秒
「正直、世界資本に比べると制作費も制作時間も極端に少ない日本の現場で、様々な内容面に関する制約の中で、果たしてどこまで描けるのかはわかりません」
これは、2016年に公開された映画『シン・ゴジラ』の制作にあたって、監督・庵野秀明氏が寄せたコメントの一部抜粋。この一言に、日本でSF映画をつくることのむずかしさ・苦悩・葛藤がにじみ出ているというものです。
国内においては興行収入82.5億円と、記録的大ヒットを達成した同作ですが、海外では鳴かず飛ばずで、興行収入100万円以下の国さえあったというから驚くほかありません。世界的大ヒットを数多く放っているアニメやゲームなどと比べると、やはり「メイドインジャパン・特撮」の国際的競争力不足は慢性的課題であり、それは庵野氏が言う「制約」の緩和無くしては、いつまでも解消されない永遠のテーマであり続けるのでしょう。
1984年、小松左京の原作・監督だった『さよならジュピター』
監督・現在・脚本・製作をつとめたのは、小松左京。星新一・筒井康隆と共に「御三家」と称される、いわずと知れたSF作家界の大家です。『復活の日』(1964年) 『日本沈没』(1973年)など、リアリティのある空想科学モノを得意としていた同氏が、いったい、どのような物語を紡ぎだすのか…当時は大いに期待されていたものです。
『さよならジュピター』のあらすじを紹介!
そんな大業なメッセージが込められ、超本格SF宇宙巨編を志していた『さよならジュピター』のあらすじは以下の通りです。
西暦2125年…。太陽系全域に活動エリアを広げていた人類は、年々深刻化するエネルギー問題解決に向けた「木星太陽化計画」を、過激な環境保護団体「ジュピター教団」の妨害を受けながらも進めていた。このプロジェクトの前線基地で指揮をとるのが、計画主任の本田英二(三浦友和)。彼はある時、長らく音信不通だった恋人・マリア(ディアンヌ・ダンジェリー)と再会する。しかし、彼女はジュピター教団のメンバーとなっていたのだった。
さらに時を同じくして、マイクロブラックホールが太陽に向かって急接近していることが判明。このまま行くと太陽系が崩壊してしまう…ということで、木星太陽化のプロセスを応用し、木星を爆発させることでブラックホールの軌道を変えようとするも、ジュピター教団は爆破阻止のために前線基地に侵攻!果たして、太陽系はどうなってしまうのか!?そして、本田とマリアの運命や如何に!?
いろいろ詰め込み過ぎていたストーリー
たとえば、火星で「ナスカの地上絵」が発見される古代ミステリー的展開を挟んでみたり、全長120キロに及ぶ宇宙の神秘「ジュピター・ゴースト」の謎を追ってみたり、本田もとい三浦友和がサメやテロリストとバトったり…。まぁ、小松氏を中心にSF界の重鎮16名を集めて1年間も会議をし、この映画を製作するためだけに株式会社を立ち上げるなどしていたために、あらゆるアイデアをつぎ込みたくなる気持ち、わからないではありません。しかし、明らかに盛りだくさん過ぎます。