女優デビューのきっかけ
黒柳さん自身も、東洋音楽学校(現:東京音楽大学)声楽科に進学したのですが、オペラ歌手にはなれないということが分かって「自分の子どもに人形劇や絵本の読み聞かせを上手にできるお母さんになろう」と思ったそうです。
そして、絵本の読み聞かせにも役立つかもしれないと思い新聞で見かけたNHK放送劇団の俳優募集に応募したそうです。
変わった動機ですよね。しかも、面接の時には「親に言ったらこんなみっともない仕事を(するのはやめろと言われた)…」、「こういう世界は騙す人が多いから気をつけろという話を聞く」などと言っていたのですが、採用されました。審査は6次審査まであり、6000人の中から13人が劇団員として選ばれたのです。
その時から光るものがあったのでしょうね。
初主演はラジオドラマ!
プレイヤーも持ってないのにかわいかったのでジャケ買いしたレコード「ヤン坊ニン坊トン坊」 。昭和29~32年に放送されていたラジオドラマで トン坊の声は黒柳徹子さんが担当。#レコードの日 #昭和レトロ pic.twitter.com/bxR5TDvEjW
— ユカ (@yukabushi) November 3, 2016
ウォルター・デ・ラ・メアの「サル王子の冒険」が原案になっていて、主人公は猿の三兄弟です。黒柳徹子さんはトン坊を演じました。ちなみに、ヤン防は里見京子さん、ニン防は横山道代さんです。
今でこそ、アニメなどで子どもの声は女性声優もしくは女優さんが担当するのが当たり前ですが、劇作家の飯沢匡さんが「大人でも子どもの声を出せるはずだ」といってオーディションをしたのです。黒柳徹子さんは「絵本の読み聞かせをしたい」というのが夢ですから子どもの声を当てるというのは近いものがあったのかもしれません。この役で黒柳さんの知名度は一気にアップしました。
その後も「チロリン村とくるみの木」「ブーフーウー」などの人形劇で様々なキャラクターの声を演じています。
生放送ドラマ「若い季節 」にも出演
渥美清さんと愉快な仲間たち☘️
— 島倉千代菊 (@wataridori333) September 27, 2020
①NHK『若い季節』の本番前、坂本九さんを笑わす渥美さん②NHK『夢であいましょう』の出演者たちに囲まれて。渥美さんの鼻の下の長さを測っているのは黒柳徹子さん ③古今亭志ん朝師匠と談笑/週刊明星 昭和37年12月30日号より pic.twitter.com/WOsRHssTwD
内容は銀座にある「プランタン化粧品」と「トレビアン化粧品」というライバル会社を舞台にしたミュージカル風のコメディでした。毎回ゲストが登場するのですが、ゲストが決まってから執筆にとりかかっていました。ですから台本がなかなか完成せず、放送当日の昼に届くなんてこともよくあったんだとか。
それで生で演技していたんですからすごいですよね。
黒柳徹子さんの他には水谷良重さん、坂本九さん、渥美清さん、淡路恵子さん、三木のり平さん、森光子さん、ハナ肇とクレイジーキャッツ、スパーク3人娘(中尾ミエ、伊東ゆかり、園まり)さん、西郷輝彦さん、あおい輝彦さん、いしだあゆみさんといったそうそうたるメンバーが出演されていたんですよ。
1962年、1964年には映画も公開されています。TV版と同じ人も出演されていますが。黒柳さんは映画には出演されていません。(NHK専属だからでしょう)
放送時間は日曜日の20:00 - 20:45。放送終了後は21時から放送していた大河ドラマがこの時間帯にうつり、減殺もこの時間に放送されています。
「夢であいましょう」にも出演
番組は毎回テーマが決まっていてコント仕立てで進行。合間にジャズの演奏やダンスなどがありました。歌手がコントをしたり、芸人が歌ったりというのはのちのバラエティ番組のでは定番になりましたが当時は斬新だったんですよ。
こちらの番組にも越路吹雪さん、三木のり平さん、渥美清さん、岡田真澄さん、北島三郎さんというそうそうたるメンバーが出演。「ジャニーズ」が初めてテレビ出演した番組でもあります。
また、毎月永六輔さん作詞・中村八大さん作曲の「今月の歌」が作られ、様々な歌手が歌っています。ここから坂本九さんの「上を向いて歩こう」、梓みちよさんの「こんにちは赤ちゃん」、ジェリー藤尾さんの「遠くへ行きたい」といった名曲も生まれているんですよ。今でも愛される歌が数々生み出された番組なんですね。
黒柳さんはNHK専属「女優」ということでしたが、女優というより当時からマルチに活躍されていたんですね。一時期は週にレギュラーが10本以上あり、過労のためすべての番組を降板したということもありました。
その後黒柳さんは舞台女優との差を感じていたため、NHKを退社し文学座附属演劇研究所に入り、3期生として演技の勉強をしました。
若い頃の黒柳さんの活躍は近年ドラマ化もされているので、興味のある方は一度見てみてください。