70年代に日本社会を混乱の渦に巻き込んだ「オイルショック」
2020年2月現在、連日報道されている新型コロナウイルス。全国各地で感染者が確認され、マスクを着用する人が急増するなどした結果、市中からマスクが姿を消す状態が続いています。このような現象は過去にも発生しており、特に印象深いのは70年代における第一次オイルショック時の「トイレットペーパーの品切れ」ではないでしょうか?この記事では、第一次オイルショックの概要及び当時の状況について振り返ってみたいと思います。
新型コロナに際し、マスクが消えたドラッグストア。
1973年に発生した「第一次オイルショック」
1973年に発生した第一次オイルショック。1973年10月6日に第四次中東戦争が勃発し、原油価格が一気に高騰、それに伴い物価も急上昇しました。60年代には高度経済成長を謳歌していた日本でしたが、一連の混乱により消費は低迷、翌1974年に日本経済は戦後初のマイナス成長となり、これにより高度経済成長期は終わりを迎えたとされています。
こちらは当時の映像。
昭和ニュース オイルショック(1973年)
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「紙が無くなる」という噂が発端となったトイレットペーパーの品切れ!
第一次オイルショックの際に「トイレットペーパーが無くなった」という現象ですが、その発端となったのは、第四次中東戦争勃発を受けて当時の中曽根康弘通商産業大臣が発表した「紙節約の呼びかけ」です。この呼びかけにより、主婦らの間では「今後紙が無くなるのでは?」という憶測が流れました。
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騒動の発端となった大阪「千里大丸プラザ」
そんな憶測が流れる中、大阪でとある事件が起こります。1973年11月1日、大阪の千里ニュータウンにあった千里大丸プラザが特売広告として「(特売で)紙がなくなる」と触れ込んだところ、店に数百人の主婦が殺到。瞬く間に特売品として用意していた500個のトイレットペーパーが売り切れたのです。そして、売り切れた後に来店した人々から品物が無いと苦情が殺到、特売でないトイレットペーパーを並べたところ、それもすぐに売り切れ。それを聞いた新聞社が「あっと言う間に値段は二倍」という見出しを新聞に載せると、「早く買わないと値段がどんどん上がるのでは?」「手に入らなくなるのでは?」という憶測が生まれ、騒ぎはたちまち大きくなりました。
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戦争・原油高騰という事実があり、加えて通産大臣が「紙節約」を呼びかけている、という根拠が存在したため、騒ぎは瞬く間に全国に飛び火。各所のスーパーなどで、トイレットペーパーを求める長い行列が見られるようになりました。そして、それをマスコミが報道することで更に騒ぎは増幅。日本全国がパニック状態となり、中には商品を巡って客同士がトラブルとなったり、混雑を極めた店の中で迷子になる子供が続出したとも言われています。
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政府の対応により終息へ!
全国各地でトイレットペーパー争奪戦が繰り広げられる中、政府も対応に追われました。1973年11月には、買い占め等防止法(正式名称:生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律)によって買い占め抑制に努め、翌1974年1月には、国民生活安定緊急措置法によりトイレットペーパーの標準価格を設定。これらの対策の効果により、1974年3月にはトイレットペーパーの品切れは解消され、騒動は収束へと向かっていきました。
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半年程度で解消した一連のトイレットペーパー騒動ですが、オイルショックを象徴する出来事として、そして日本人の集団心理が生み出した事件のひとつとして、日本の歴史に刻まれ現在に至っています。
2020年2月現在、日本全国で発生しているマスクを求める行列や買い占め。70年代には無かったネット通販などでの転売という問題もあり、政府には一刻も早く対策を講じてもらいたいものです。
2020年2月現在、日本全国で発生しているマスクを求める行列や買い占め。70年代には無かったネット通販などでの転売という問題もあり、政府には一刻も早く対策を講じてもらいたいものです。