『機動戦士Zガンダム』
放送期間:1985年3月2日から1986年2月22日
放送時間:土曜日17:30から18:00
放送局:テレビ朝日系列
放送話数:全50話
主題歌:「Ζ・刻をこえて」鮎川麻弥
スタッフ
原案:矢立肇
原作:富野由悠季
総監督:富野由悠季
演出:川瀬敏文(最終回担当)ほか
脚本:遠藤明吾(最終回担当)ほか
作画監督:小林利充(最終回担当)ほか
ストーリーボード:川瀬敏文(最終回担当)ほか
キャラクターデザイン:安彦良和
メカニカルデザイン:大河原邦男、藤田一己
デザインワークス:永野護
メカニカル作画監督:内田順久
音楽:三枝成章
キャスト
シャア・アズナブル:池田秀一
ブライト・ノア:鈴置洋孝
ファ・ユイリィ:松岡ミユキ
エマ・シーン:岡本麻弥
フォウ・ムラサメ:島津冴子
パプテマス・シロッコ:島田敏
ハマーン・カーン:榊原良子
ナレーター:小杉十郎太
『機動戦士Zガンダム』とは
ジオン残党狩りを目的とした特殊部隊であった、シロッコ属する『ティターンズ』。カミーユやシャアやブライトが属する、それに反対する『エゥーゴ』。ハマーンが属するジオン公国軍残党『アクシズ』。この三つ巴の戦いが描かれた。
『機動戦士Zガンダム』の最終回
第50話「宇宙(そら)を駆ける」
カミーユ「喋ったら疲れますよ。落ち着いたらアーガマに戻ります。しばらく辛抱してください」
エマ「もういいのよ、カミーユ。あたしの命を吸って。そして勝つのよ。あたしは見たの。Zガンダムは人の意思を吸い込んで自分の力にできるのよ。そして戦いを終わらせる。それをあなたがやるのよ。カミーユ・ビダン!たくさんの人があなたを見守っている。あなたはひとりじゃない。さみしがることはなくてよ」
そしてエマは死んだ。
戦艦アーガマのブライトは、コロニーレーザーを使おうとしていた。敵モビルスーツが向かっていることを知り、カミーユをレーザー砲の守りに向かわせる。
シロッコの乗る『ティターンズ』のジ・オ。シャアの乗る『エゥーゴ』の百式、ハマーンの乗る『アクシズ』のキュベレイがグリプス2の中に入って行く。シロッコはティターンズの艦隊を守るために、レーザー砲を潰そうとしていた。
シロッコとハマーンに挟まれるシャア。
ハマーン「こんなところで朽ち果てる己の身を呪うがいい。もしも私のもとへ戻る意思があるのならば」
シャア「何をいう」
シロッコ「道を誤ったのだよ。貴様のようなニュータイプのなりそこないは粛清される運命なのだ。わかるか!」
シャア「まだだ、まだ終わらんよ!」
逃げる百式。
ハマーン「たいした役者だったよ、シャア。話し合いの余地がないとするならば。ここがお前の死に場所になるだろう」
シャア「いや、もうひとり役者がいるな」
現れたのはシロッコだった。
ハマ―ン「そうだな。こんな芝居じみたことはシロッコの領分だったな」
シロッコ「私は歴史の立会人に過ぎんから、そうも見えるか。が、シャアよりは冷静だ」
シャア「私は冷静でないだと?」
シロッコ「そうだよ。貴様はその手に世界を欲しがっている」
ハマーン「シロッコの言う通りだろう、シャア。ならばザビ家再興に力を貸せばいい。そのうえで世界のことを共に考えよう。この小うるさい見物人を倒してな」」
ハマーン、シロッコに銃を向ける
シャア「ハマーン。私はただ世界をあやまった方向に持ってゆきたくないだけだ」
ハマーン、今度は銃をシャアに向ける。
ハマーン「では聞くが、ザビ家を倒しティターンズを廃除した世界で、お前は一体何をしようというのだ」
シャア「私は手を下さなくともニュータイプへの覚醒で人類は変わる。その時を待つ」
ハマーン「私に同調してくれなければ廃除するだけだ。そのうえでザビ家を再興させる。それがわかりやすく、人に道をしめすことになる」
シャア「また同じ過ちを繰り返すと気付かんのか」
ハマーン「世界の都合と言うものを洞察できない男は、廃除すべきだ」
カミーユ「それは違う!本当に排除しなければならないのは、地球の重力に魂を引かれた人間たちだろ!けどそのために大勢の人間が死ぬなんて間違ってる!人の心を大事にしない世界を作って、何になるんだ!」
シロッコ「生の感情を出すようでは俗人を動かすことはできても我々には通じんな!天才の足をひっぱることしかできなかった俗人どもに何ができた。常に世の中を動かしてきたのは一握りの天才だ!ちっぽけな感傷は世界を破滅に導くだけだ、少年!」
そこへファが助けに来た。逃げる3人。
シャアの乗る百式をキュベレイが追う。
ハマーン「ん?コロニーレーザーが作動するのか?まずいな。これではコロニーレーザが発射される」
カミーユは、ハマーンとシロッコは自分が倒すとシャアに言った。
カミーユ「あなたは、まだやることがあるでしょう。この戦争で、戦争で死んでいったひとたちは世界が救われると思ったから死んでいったんです。ぼくもあなたを信じますから!」
シャア「君のような若者が命を落としてそれで世界が救えると思っているのか。新しい時代を作るのは老人ではない!」
グリプス2内から脱出するZガンダムたち。ジ・オとキュベレイも外に出る。
ブライト「ようし、コロニーレーザー発射だ!」
発射された巨大なレーザーによってティターンズの艦隊が沈んでいく。
シロッコ「う、くっ…。こ、これではエゥーゴに勝てん!」
ハマーンはミネバに謁見していた。
ハマーン「エゥーゴは私が命にかえても食い止めます。主要な艦を撤退させましょう」
ミネバ「わが方は危ないのか?」
ハマーン「いえ、戦いはまだまだ続くのです。ここで消耗しきってはティターンズの二の舞になりましょう」
ミネバはハマーンに任せた。
カミーユ「目の前の現実も見えない男が!」
シロッコ「さかしいだけの子供が何を言う!」
カミーユ「賢くて悪いか!」
キュベレイと百式も撃沈した戦艦の中で戦っている。小型の遠隔操作式ビーム砲であるファンネルが百式の脚部を破壊する。
ハマ―ン「これで終わりにするか、続けるか、シャア!」
シャア「そんな決定権がお前にあるのか!」
ハマーン「口の利き方に気を付けてもらおう!」
百式が撃った弾がキュベレイの背後の壁に当たり、戦艦が大爆発。そこからキュベレイはからくも脱出した。
ハマーン「シャア…。私と来てくれれば…」
Zガンダムとジ・オの戦い。
カミーユ「お前だ!いつもいつも脇から見ているだけで人をもてあそんで!」
シロッコ「勝てると思うな、小僧!」
カミーユ「許せないんだ。俺の命にかえても。身体にかえても。こいつだけは!」
シロッコ「こいつ…なんだ?」
カミーユ「わかるはずだ。こういうやつはいかしておいちゃいけないって。わかるはずだ。みんな、みんなにはわかるはずだ!」
エマ「あせりすぎよ。だからいけないの」
ライラ「パワーはダンチなんだよ。そん時はどうすればいい?」
カミーユ「俺の身体を、みんなに貸すぞ!」
武器を捨てて突進するZガンダム。
エマ「それでいい、カミーユ」
カツ「現実の世界での生き死ににこだわるから、ひとつのことにこだわるんだ」
その前に両手を広げて立ちふさがるサラ。
サラ「だめよ!」
カミーユ「まだそんなことを言う!」
レコア「サラ、おどき!」
ロザミア「そう、子供にはわからないんだから!」
フォウ「今はカミーユに任せるの」
サラ「嫌です。パプティマス様は…」
カミーユ「今日という時にはいてはならない男だ。わかってくれ、サラ」
それでも立ちふさぐ。
サラ「駄目です!パプティマス様は、私の…」
カツ「なんでそう、頭だけで考えて。そんなんじゃ疲れるばかりじゃないか。サラ」
サラ「だって…そうしないと…あたし…」
カツ「カミーユが見ているものを見てごらんよ。あの中にいる人だって、すぐこうして溶け合えるんだ」
サラ「本当?」
カツ「ああ」
魂を集めて赤く光るZガンダム。
シロッコ「私の知らない武器が内蔵されているのか?」
カミーユ「わかるまい。戦争を遊びにしているシロッコには。この俺の身体を通して出る力が」
シロッコ「身体を通して出る力?そんなものがモビルスーツを倒せるものか!」
カミーユの横にフォウが現れた。後ろにはロザミアが。
フォウ「カミーユ。その力を表現してくれるマシンに乗っている」
ロザミア「Zガンダムにね」
シロッコ「…女の声!?」
カミーユ「まだ、抵抗するのなら!」
Zガンダムはウェブライダー形態に変形した。
シロッコ「ジ・オ、動け!なぜ動かん!」
ウェブライダーの先端がジ・オのコクピットを突き破り、シロッコを押し潰した。
カミーユ「ここから、いなくなれーっ!」
シロッコ「私だけが、死ぬわけがない。貴様の心を一緒につれていく。…カミーユ・ビダン」
カミーユ「シ、シロッコ。やったのか?光が、広がっていく」
ジ・オは爆発した。そこから離れるZガンダム。ファのメタスがウェブライダーに近づく。
ファ「カミーユ、生きてるんでしょ?カミーユ、返事をして!カミーユ」
モニターにカミーユが映った。
カミーユ「大きな星が点いたり消えたりしている。あはは。大きい。彗星かな?いや、違う、違うな。彗星はもっとバーッと動くもんな」
驚いた表情のファ。
カミーユ「暑っ苦しいなあ、ここ。出られないのかなあ?おい、出してくださいよ。ねえ」
恐怖の顔のファ。
ファ「艦長…ブライト艦長…カミーユ・ビダンが…聞こえますか…アーガマ…」
アーガマに帰ってくるZガンダムとメタス。宇宙に浮かぶガンダムMk2の残骸。
ファ「そう…お前もアーガマに帰りたいのね?」
宇宙を漂っている壊れた百式の上半身…。