俳優・湯浅実さん死去。「中学生日記」の風間先生役など
昭和から平成にかけて活躍した俳優・湯浅実(ゆあさ・まこと)さんが、8月3日に誤嚥性肺炎のため東京都内の病院で亡くなっていたことが明らかとなりました。84歳でした。
第一報はこちらです。
【訃報 湯浅実さん】俳優の #湯浅実 さんが3日にお亡くなりになりました。84歳でした。ご冥福をお祈りいたします。湯浅さんといえば、『 #中学生日記 』の美術・風間先生を演じ広いファンを獲得されました。湯浅さんの言葉も載っている特集記事をご覧ください⇒ https://t.co/zgvs9P0pct
— NHKアーカイブス (@nhk_archives) August 5, 2019
湯浅さんは1934年、満州生まれ。1969年に劇団青年座に入団し、舞台俳優として活躍。そして1975年から1982年にかけてNHKで放送されたドラマ「中学生日記」で風間先生役を演じ、人気を博しました。その後も数多くのドラマに出演し、2000年には紀伊國屋演劇賞の個人賞を受賞しています。
個性的な「先生」を輩出し続けた「中学生日記」
1972年の放送開始から40年間放送されたきた「中学生日記」。「日記生」と呼ばれた出演者は基本的に芸能事務所に所属しない素人であり、そのリアルな中学生の実像が、長年にわたり支持を受けてきました。ここでは、そんな日記生のまとめ役として「先生」を演じた俳優を何人かご紹介したいと思います。
美術・風間先生(湯浅実)
まずは、湯浅実さんが演じた美術・風間先生。1975年から1982年まで登場し、その人柄や各生徒の問題を丁寧に描く姿勢が評価され、幅広くファンを獲得した名物教師でした。湯浅さんは後年「風間先生を演じる私は、いつも無様な生き方しか出来なくて、お世辞にもカッコいいとはいえない、そんな風間を彼ら(子どもたち)は、大人なんだからと許し、励まし、愛してくれた」と名古屋放送局80周年の記念誌にコメントしています。
技術家庭科・東(あずま)先生(東野英心)
1982年から1989年にかけて東野英心さんが演じた技術家庭科・東(あずま)先生。当時、社会問題となっていた非行や登校拒否、そして受験戦争、性の問題といった生徒たちの悩みと真剣に対峙し、彼らを温かく見守っていました。
美術・南先生(岡本富士太)
1989年から1996年にかけて岡本富士太さんが演じた美術・南先生。当時は「いじめ」問題が社会問題化しており、中学生日記では脚本なしで「クラス討論・いじめ」について日記生たちが生の声で語る模様を放送するなど、大きな反響を呼びました。そんな彼らに、岡本さんは「失敗するかもしれないよ。だけどな、そうなっても、また起き上がって進もうと思うんだ。だから、君たちも、決して、夢だけは捨てないで欲しい。」とはなむけの言葉をアドリブで送りました。
理科・仲川先生(いとうまい子)
1998年から2001年にかけて、いとうまい子さんが演じた理科・仲川先生。当時は不登校が社会問題化しており、「不登校」をシリーズとして5本連続で放送したり、2000年に中学生による5000万円恐喝事件が発生した折には、「恐喝」をシリーズとして4本連続で放送。中学生の取り巻く社会問題の実態に迫りました。
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上述のような数多くの個性的な「先生」を輩出し、2012年に放送を終了した中学生日記。そんな「先生」の原点ともいえる、このたびの湯浅さんの訃報には、ひとつの時代の節目が来たと感じざるを得ません。ご冥福をお祈り申し上げます。