『ミッドナイトラン』(監督:マーティン・ブレスト、1988年)のみどころ&魅力を語り尽くす!解説・レビューや見せ場まで一挙公開!~
2019年10月11日 更新

『ミッドナイトラン』(監督:マーティン・ブレスト、1988年)のみどころ&魅力を語り尽くす!解説・レビューや見せ場まで一挙公開!~

『ミッドナイトラン』という映画を知っていますか? 本作はマーティン・ブレスト監督により制作されたコメディ映画で、あのロバート・デ・ニーロが主演という、珍しいほどの痛快喜劇に仕上がっています! ストーリーではチャールズ・グローディンという大俳優の共演もあり、ユニバーサル映画史上でも「最高傑作」と謳われるほどのテイストになっています。下地はコメディ&ヒューマンドラマそのものです! 今回はこの『ミッドナイトラン』に散りばめられたあらゆる魅力・みどころ・解説を、一挙公開の形でご紹介していきます!

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概要

第46回ゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ部門で作品賞、主演男優賞(ロバート・デ・ニーロ)の候補となり、アクション・コメディの傑作最高峰と謳われた傑作映画!

1988年に制作されて以降、その魅力とみどころは色褪せることなく輝いています。

タイトルの『ミッドナイトラン』の意味は、「一晩で終わるくらいの簡単な仕事・ちょろい仕事」というスラングが効いています。

しかしこの意味合いを逆にとったような〝膨大な仕事!?〟の有様を、連続したコメディタッチのテイストで仕上げられます。

メインキャスト

●ジャック・ウォルシュ:ロバート・デ・ニーロ(声:樋浦勉)
元刑事の探偵&賞金稼ぎ。刑事の頃はシカゴに在住。

●ジョナサン・マデューカス:チャールズ・グローディン(声:玄田哲章)
某経理事務所で働く会計士。性格は真面目だが、ユーモラスな1面を合わせ持つ。

●アロンゾ・モーズリー:ヤフェット・コットー(声:渡部猛)
FBIの敏腕主任警部補。厳格な性格の持ち主で、ここぞという時の行動は大胆。

●マービン・ドーフラー:ジョン・アシュトン(声:村松康雄)
ジャックと同じくエディに雇われている賞金稼ぎ。ジャックをライバル視している。

●ジミー・セラノ:デニス・ファリーナ(声:大宮悌二)
マフィアの大ボス。ジャックとは古い親友。普段は温厚だがすぐキレる。

●エディ・モスコーネ:ジョー・パントリアーノ(声:納谷六朗)
ジャックの雇い主で、保釈金事務所を経営している。倒産寸前。ドーナツ大好き。

●トニー・ダーボ:リチャード・フォロンジー(声:筈見純)
セラノの手下。ふとっちょだけど男っぽい。

●ジョーイ:ロバート・ミランダ(声:伊井篤史)
トニーと常に行動を共にするが、間抜面を隠せない。

●ジェリー・ガイスラー:ジャック・ケホー(声:塚田正昭)
エディの保釈金事務所で働く敏腕助手。よく「ドーナツ、買ってくるよ」と外出するが実際は…。

●デニース・ウォルシュ:ダニエル・デュクロス(声:佐々木るん)
ジャックの1人娘。ジャックの別れた元妻と暮らしている。

【1分でわかるあらすじ】

シカゴ警察に勤めていたジャックは不幸な事件で辞職に追い込まれ、賞金稼ぎをすることになります。

そんなとき、『マスコーネ保釈ローン』のエディと知り合い、彼から「ジョナサン・マデューカスを連れてこい」との依頼を受けます。その賞金はなんと10万ドル!
そしてタイムリミットは5日間。

そのジョナサンをニューヨークで押さえたジョナサンは、そのまま保釈ローンがあるロサンゼルスへ。

でも連行中、ジョナサンの希望で飛行機に乗ることを断念させられ、列車の旅を余儀なくされます。
ここから2人の、喧嘩あり・感動あり・涙あり・仲直りありの物語が展開されます。

セラノとの因縁の対決や、同じくエディの念押しの依頼でやって来た賞金稼ぎ・マービンとの小競り合いなど、なかなか厄介な展開が待ち受けています。

しかしジョナサンは結局セラノに捕まります。
そのジョナサンを救出するため、ジャックはFBIと協力し、セラノの逮捕に踏ん張ります。
そして見事「おとり作戦」をもってセラノを捕獲。ジョナサンも再びジャックのもとへ帰ります。

その後、ジャックとジョナサンは、エディとの約束通りにロサンゼルス空港へ到着しますが…。

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【本作の魅力!その1】:アメリカ特有のゆったりムード

米映画ですからもちろんその空気はアメリカンです。

そんなムードが流れる上で、これほど面白く、また痛快に表現されている映画も珍しいのでは?と思わせられる見事な出来栄えです。

やはり魅力的な場面は、ジャックとジョナサンとの掛け合い、エディとジャックやマービン、FBIのモーズリーとジャックとの掛け合いなど、喜劇の1コマを感じさせる〝大胆な軽妙さ〟にあるでしょう。

本作ならではの構成が実によく、逃避行からデリケートな交渉・かけ引きまでが、見事なまでに表現されます!

ぜひ本作をご覧になる上では、この〝アメリカンなムード〟を十分お楽しみ下さい!

【本作の魅力!その2】:マスコーネ保釈ローンの多忙…

『マスコーネ保釈ローン』というのはエディが運営する保釈金事務所ですが、ここで交わされる人間描写が実に軽快です。

いろいろな出来事が起こります。

ジャックと電話で話すエディの表情は、特ダネを追いかけるときのスピーディな展開にあり、真面目なエピソードを入れながらも面白い。

「痛快喜劇」を彷彿させてくれるその珍妙ぶりは、やはりマーティン監督ならではの実力と言わざるを得ませんね。

賞金稼ぎの仕事はすべてこのマスコーネ保釈ローンから始まります。

秘書として勤めているジェリーも含め、裏で取り引きされるいろいろな暗躍も見え隠れして、事務所・賞金稼ぎ・警察のマークなどの絡み合いが実に傑作です。

【本作の魅力!その3】:ジョナサンとジャックとの初対面

ジョナサンはニューヨークの自宅でジャックに捕まります。

このジョナサンを捕まえるときでもジャックは、ジョナサン宅に不法侵入罪の形で押し入っているので、そこの飼い犬に吠えられます。

ジャックは犬が苦手…。

この場面の珍妙さ加減も絶品です。

とっぽい男を演じているはずのジャックがなぜか犬に弱く、ジョナサンの奥さんに犬を押さえてもらいながらのジョナサン捕獲。

なんだか観ていて「本当にジャックって強いの?」などといろいろ想像させてくれるシーンです。

この場面から2人の逃避行が始まりますが、その後の道中での展開はこの「出会いの場面」に凝縮されているようです。

まさにジョナサンとジャックの性質がにじみ出ているワンカットと言えるでしょう。

【本作の魅力!その4】:実はジャックは優しい

ジャックは非常に独善的で、絶対に人の意見に左右されず、真面目に見えて取っつきにくい男です。

でもジョナサンと道中一緒にいるうち、なんとなくその体裁が剥がされていきます。そして内面のユーモラスの1面や、ちょっとした表情に優しさが見え隠れするのです。

ジョナサンをはじめ毛嫌いしますが、実はそれこそが表裏一体。
どこかで必ずジョナサンのことを気づかっており、その優しさに気づいたジョナサンはそのジャックの優しさに初めから気付いています。

ジョナサンはこのジャックの優しい部分をとても好意的に想い、
「私は君が好きだよ」
と、本心を投げかけます。

こうした2人の逃避行だからこそ楽しめる、二重・三重の暖かいムードが、観る人の心を確かに揺さぶってくれるでしょう。

【本作の魅力!その5】:セラノの面白さ

セラノは〝裏の世界〟を牛耳るマフィアの大ボスですが、なんだかその内面は珍妙です。

いつもどこか間抜けで、そんなユーモラスな1面が一層コメディ下限を引き立てます。

部下のトニーとジョーイに対しても、何度も何度も念押しで「ジョナサンを捕まえろ!」と凄んで言いますが、悉く失敗して帰ってくる2人をまだ懲りもせずに使っているなど、「普通のボスならしないだろ!」という連鎖的なミスも平気です。

そこで見逃せないのが、セラノとジャックのセッション!

セラノとジャックは、もともとジャックがシカゴ時代にいた時からの古い知り合いで、周りからは「親友」あるいは「相棒」などと言われ続けていました。

そんな2人なので、会えば何かと昔話から嫌味のようなセリフを言い合います。

この掛け合いもとても面白く、しかしどうしてもジャックの方が1枚上手なので、セラノの滑稽さ加減が余計に目立ってしまいます…。

【本作の魅力!その6】:のんびりとスピーディとの絶妙的な調和

アメリカンムードで流れる場面がメインですが、本作では「ここぞ!」というときにとてもスピーディな展開になります。

とくに「ジャックとジョナサンがセラノから逃げるシーン」、「FBIの追跡のシーン」なんかは、アクション・コメディを痛快させる見事な演出・脚色が見られます。

カーチェイスあり、銃撃戦あり、巧妙なかけ引きありの、とても贅沢な見栄えに、おそらくほとんどの視聴者はスリルとともに満足させられるでしょう。
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