江戸川乱歩の迷宮の世界をジブリ流に再現-『幽霊塔へようこそ展』
乱歩の迷宮の世界をジブリ流に再現-。
東京都三鷹市の三鷹の森ジブリ美術館で、新企画展示『幽霊塔へようこそ展-通俗文化の王道-』が5月30日より始まった。
東京都三鷹市の三鷹の森ジブリ美術館で、新企画展示『幽霊塔へようこそ展-通俗文化の王道-』が5月30日より始まった。
via www.amazon.co.jp
宮崎駿監督作『ルパン三世 カリオストロの城』にも影響を与えた『幽霊塔』
『幽霊塔へようこそ展-通俗文化の王道-』は、昨年、宮崎監督がロバート・ウェストールの短編小説集の中に収められていた“時計に魅了された少年の物語(『赤い館の時計』)”を読んだことをきっかけに、自身も中学生のころに夢中になって読んだ江戸川乱歩の『幽霊塔』を思い出したことに始まるという。
実は、乱歩も少年時代に別の『幽霊塔』を夢中になって読んでいた。それは、1899年に黒岩涙香が新聞連載小説として発表したもので、イギリスの作家A・M・ウィリアムスンが1898年に発表した小説『灰色の女』の翻案だった。その後、乱歩は涙香版『幽霊塔』を同題名のままさらに翻案し、1937年より『講談倶楽部』に連載する。
乱歩版を読んだ宮崎監督は、絶世の美女と主人公の青年のロマンスに憧れ、その舞台となる時計塔に強く魅せられたという。それが長じて自身の劇場映画初監督作品『ルパン三世 カリオストロの城』における“時計塔”をはじめとするさまざまなモチーフに結実していったとのこと。
実は、乱歩も少年時代に別の『幽霊塔』を夢中になって読んでいた。それは、1899年に黒岩涙香が新聞連載小説として発表したもので、イギリスの作家A・M・ウィリアムスンが1898年に発表した小説『灰色の女』の翻案だった。その後、乱歩は涙香版『幽霊塔』を同題名のままさらに翻案し、1937年より『講談倶楽部』に連載する。
乱歩版を読んだ宮崎監督は、絶世の美女と主人公の青年のロマンスに憧れ、その舞台となる時計塔に強く魅せられたという。それが長じて自身の劇場映画初監督作品『ルパン三世 カリオストロの城』における“時計塔”をはじめとするさまざまなモチーフに結実していったとのこと。
気になる展示内容
展覧会の目玉となるのは、宮崎駿監督がデザインを手がけた高さ12.5mに及ぶ時計塔。
回転するむき出しの歯車や1本しかない針、干支が書かれた時刻版など、乱歩の小説から飛び出してきたような奇怪な外観は見応えたっぷり。館内中央ホールの螺旋階段を包むように建造されており、実際に内部に入ることも可能だ。
回転するむき出しの歯車や1本しかない針、干支が書かれた時刻版など、乱歩の小説から飛び出してきたような奇怪な外観は見応えたっぷり。館内中央ホールの螺旋階段を包むように建造されており、実際に内部に入ることも可能だ。
江戸川乱歩の小説『幽霊塔』をモチーフに、宮崎駿氏がデザインした高さ約12.5メートルの時計塔。
下にはハンドルが設置されており、それを回すと時計の針が動き、鐘が鳴り響くようになっている。
内部のらせん階段を登り切ると、とある階段の途中に抜け、そこからさらに階段を下りることで展示室につながる仕組み。
下にはハンドルが設置されており、それを回すと時計の針が動き、鐘が鳴り響くようになっている。
内部のらせん階段を登り切ると、とある階段の途中に抜け、そこからさらに階段を下りることで展示室につながる仕組み。
via www.sankei.com
らせん階段の先には、『幽霊塔』の内部空間を模した迷路(小学生以下のお子さんが対象)や、宮崎駿監督描き下ろしのマンガパネル『ぼくの幽霊塔』などが展示される。
大人向けには近道が用意されており、そちらの壁には、宮崎駿監督が描き下ろしたマンガパネル『ぼくの幽霊塔』を掲示。この展示のために描き下ろされた16枚のマンガパネルには、宮崎駿監督の想像を交えた、同作の魅力や思い出が生き生きと描き出されている。
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会場には『幽霊塔』に多大なる影響を受け、時計塔やロマンスの要素が劇中に盛り込まれている『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)の展示も。会場内には同作のジオラマがあり、ルパンやクラリスなどのフィギュアもさりげなく置かれている。
さらに“『ルパン三世 カリオストロの城』は『幽霊塔』の子孫です”と題した3枚のパネルも同時に掲示。
同美術館の中島清文館長は「今年の展示も宮崎監督が企画から監修までかかわり、自ら造形物をデザインしました。らせん階段をくるんで時計塔を作ってしまおうというのは宮崎監督でないと思いつかない。いろんな宮崎作品のモチーフのきっかけとなっているのがこの小説で、宮崎監督の頭の中をのぞいて見てもらえるような展示物になっていると思う」とアピールする。
さらに“『ルパン三世 カリオストロの城』は『幽霊塔』の子孫です”と題した3枚のパネルも同時に掲示。
同美術館の中島清文館長は「今年の展示も宮崎監督が企画から監修までかかわり、自ら造形物をデザインしました。らせん階段をくるんで時計塔を作ってしまおうというのは宮崎監督でないと思いつかない。いろんな宮崎作品のモチーフのきっかけとなっているのがこの小説で、宮崎監督の頭の中をのぞいて見てもらえるような展示物になっていると思う」とアピールする。
中学時代の宮崎が夢中になって読んだという江戸川乱歩の小説『幽霊塔』をテーマに、作品の世界観を造形物やマンガパネルなどを通して紹介する。