あだち充史上最も気になるラスト!「ラフ」を振り返ろう!
2020年8月25日 更新

あだち充史上最も気になるラスト!「ラフ」を振り返ろう!

週刊少年サンデーで連載されていたあだち充さんの「ラフ」。野球漫画の多いあだちさんですがこちらは水泳漫画。他の作品とはまた一味違う面白さがありました。

8,458 view

「ラフ」はいつの漫画なの?

ラフ(1)【期間限定 無料お試し版】 (少年サンデーコミックス) | あだち充 | 少年マンガ | Kindleストア | Amazon (2219123)

「ラフ」は週刊少年サンデーで1987年17号から1989年40号まで連載されていました。コミックスは全12巻です。「タッチ」や「H2」などは長いですが、あだち充さんの作品はこのくらいで終わる作品も多いですね。ワイド版全6巻、文庫版全7巻など、さまざまな形でも発売されています。

連載時期は「タッチ」と「虹色とうがらし」の間になります。この時期は少女誌「ちゃお」で「スローステップ」の連載もされていました。すごいですよね。

2006年に映画化も!

「ラフ」は連載時にアニメ化などはされていないのですが、2006年に実写映画化されています。連載終了から15年も経って実写化するとは驚きできた。

主演は速水もこみちさんと長澤まさみさんです。原作とはキャラクターや設定が異なる部分があるそうでちょっと私は見ていません。(原作ファンとしては「違う!」となりそうだったので)

「ラフ」のあらすじ

ラフ (3) (少年サンデーコミックススペシャル) | あだち 充 |本 | 通販 | Amazon (2219128)

ラフは水泳を題材にした漫画です。主人公の大和圭介は水泳部の自由形の選手でした。中学校では全国大会に出場していたのですが万年3位。3位どまりなことに限界を感じ、平泳ぎに変えようとします。ですが監督から初心者の関に水泳を教えたことから、自分の泳ぎにも変化が出て再び自由形で頑張ろうと決意します。

圭介たちは学生寮に住んでいます。実際の寮は色々大変だと思いますが、憧れる部分もあるので寮が出てくる漫画はドキドキしませんか。

寮にはもちろん水泳部だけでなく、柔道部、野球部などさまざまな部活に所属する生徒が。他の生徒のエピソードもいいんですよね。圭介に「水泳部」と「寮」の2つの世界があったのもよかったと思います。

寮は女子寮もあり、そこに住んでいる二宮亜美は飛び込みの選手。可愛くてスタイルもよいので入学当初から人気者でした。亜美目当てで水泳部に入部しようとする男子生徒がたくさんいたほど。

人当たりもよい亜美ですが、なぜか圭介にだけは冷たいのです。圭介の実家は「やまと」という和菓子屋さん。亜美の実家もじつは圭介の実家の近くで「にのみや」という和菓子店を営んでいました。そして「やまと」と「にのみや」は犬猿の仲だったのです。親から「やまと」の悪口を聞かされて育った亜美は圭介のことを嫌っていたんですね。

自分だけに冷たい亜美のことを圭介も初めはよく思っていませんでした。ですが、寮の当番など何かと2人で行動することが多くなり徐々に距離が近づいていきます。

亜美の幼馴染のお兄ちゃん、大学生の仲西弘樹は自由形の日本記録保持者。仲西は昔から亜美のことが好きで、圭介をライバル視しています。

そんな時、仲西は交通事故に遭い選手生命が危ぶまれるケガをしました。亜美を送った帰りの出来事だったので亜美は責任を感じずっと仲西の看病をしていました。その間に圭介は日本選手権で優勝しますが「仲西が不在」ということで周囲からもあまり認めれもらえませんでした。

仲西は奇跡の復活を遂げ、日本新記録を更新。日本選手権で圭介と戦うことになります。

ラストシーンが秀逸!

ラフ(12) (少年サンデーコミックス) | あだち充 | 少年マンガ | Kindleストア | Amazon (2219205)

「ラフ」はあだち充さんの漫画にしては珍しく、主人公以外にスポットが当たる話があったり、割とテンポも早めの作品です。

あだち充さんらしくない作品かと思いきや、ラストが最高にあだち充さんらしい!

あだち充さんの漫画は、ラストをはっきり描かず、読者の想像力にゆだねるようなところがありますよね。「ラフ」に関してはその最骨頂ともいえるでしょう。

ラストは日本選手権の決勝。仲西と圭介が飛び込んだところで終わります。レースの結果はどこにも描かれていないんです。

さらに、もう1つ気になっていたのは恋愛ですよね。亜美は圭介と仲西、どちらを選ぶのか。圭介に傾いていた亜美ですが、仲西のケガにより仲西を渾身的に看護していました。

亜美はレースの前に圭介にカセットテープを渡します(時代を感じますね)。圭介はレース前にウォークマンでテープを聞くんですが、ウォークマンの調子が悪く再生されません。

圭介がスタートしたあとでテープは再生されます。「大和圭介、あなたが好きです」と。

ここでこの漫画は終わり。2人の今後、レースの行方、と気になるところがいっぱいです。「ラフ」というタイトルには「未完成」という意味も込められています。もちろん主人公たちのことなんですが、だからこそラストもちょっと未完成というかはっきり描かないで終わったのかなと思います。

ですが「ラフ」があだち充さんの最高傑作!という人も多い人気作なんですよね。私は世代的に「H2」と迷いますが、間違いなく1位か2位です。そして、競泳を見るのが好きなのもラフの影響なんじゃないかと思っています。

何度読んでも「わー!」となってちょっとヤキモキするラストシーンですが、また読みたくなる漫画です。読んだことがある方も、ない方もぜひどうぞ。
13 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

さよなら三角、六三四の剣、天まであがれ、タッチ、ふたり鷹…1981年の週刊少年サンデーで連載が開始された作品!!

さよなら三角、六三四の剣、天まであがれ、タッチ、ふたり鷹…1981年の週刊少年サンデーで連載が開始された作品!!

四大少年漫画雑誌の一角として君臨する「週刊少年サンデー」。この記事では、1981年の同誌において連載が開始された作品を特集したいと思います。
漫画界のレジェンド・あだち充の異色作『虹色とうがらし』が30年の時を経てついに舞台化!!

漫画界のレジェンド・あだち充の異色作『虹色とうがらし』が30年の時を経てついに舞台化!!

1990年から1992年にかけて週刊少年サンデーにて連載されたあだち充『虹色とうがらし』が、このたびSF時代活劇『虹色とうがらし』として舞台化されることが明らかとなりました。公演日程は2021年8月28日(土)~9月5日(日)。
隣人速報 | 463 view
漫画で甲子園気分を味わおう!あだち充の野球漫画まとめ!

漫画で甲子園気分を味わおう!あだち充の野球漫画まとめ!

甲子園を目指す野球漫画が多いあだち充さん。そんなあだち充さんの野球漫画をまとめてみました。甲子園のない夏、漫画で甲子園気分を味わってみませんか?
saiko | 1,949 view
ETCの声も担当!?浅倉南の声を担当した元アイドル日髙のり子の活躍

ETCの声も担当!?浅倉南の声を担当した元アイドル日髙のり子の活躍

1980年代に一世を風靡したアニメ「タッチ」。甲子園を目指す双子の兄弟と明るく可愛い幼なじみでありマネージャーの南ちゃんの恋模様が胸キュン(死語)なアニメでした。アイドル的な人気を誇った浅倉南の声優を務めたのは元アイドルの日髙のり子さんです。あまりにも浅倉南のイメージが強い日髙のり子さんはその後どんな活躍をしたのでしょうか?今回はそんな日髙のり子さんについてご紹介します。
そうすけ | 1,703 view
テレビアニメ「うる星やつら」より『ラム』が1/7スケールフィギュアで登場!新作アニメの追加キャストも続々と発表!!

テレビアニメ「うる星やつら」より『ラム』が1/7スケールフィギュアで登場!新作アニメの追加キャストも続々と発表!!

アニプレックスより、テレビアニメ「うる星やつら」に登場するキャラクター・ラムのフィギュア『ラム 1/7スケールフィギュア』が発売されます。発売予定時期は2024年1月、価格は19800円(税込)。
隣人速報 | 347 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト