マフィアに憧れた少年の成り上がり物語!映画『グッドフェローズ』
2017年3月22日 更新

マフィアに憧れた少年の成り上がり物語!映画『グッドフェローズ』

1990年に公開されたマーティン・スコセッシ監督の映画『グッドフェローズ』(Goodfellas)。実在のマフィアをモデルとしており、レイ・リオッタやロバート・デ・ニーロ、ジョー・ペシらが好演している。

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1990年公開、マーティン・スコセッシ監督の映画『グッドフェローズ』

1990年に公開された映画『グッドフェローズ』(Goodfellas)。
監督は「タクシードライバー」や「ギャング・オブ・ニューヨーク」のマーティン・スコセッシ。

ジャーナリストのニコラス・ピレッジが 1986年に発表したノンフィクション本を原作としている。主人公のモデルはマフィアの構成員だったヘンリー・ヒル。

映画冒頭でも実話を基にしている旨を伝えている。
映画『グッドフェローズ』(DVD)

映画『グッドフェローズ』(DVD)

主人公がマフィアである事からも分かるように、“グッドフェローズ”と呼ばれる裏の世界で生きる者達を描いた作品。

出演はロバート・デ・ニーロやレイ・リオッタ、ジョー・ペシ。

デ・ニーロとスコセッシは「ミーン・ストリート」(1973年)をはじめ、「タクシードライバー」(1976年)、「レイジング・ブル」(1980年)等の作品でタッグを組み、ゴールデンコンビと呼ばれた。

本作のデ・ニーロは主演ではないが、実在したマフィアをモデルとした役を演じた。
役柄は、一見温厚な紳士だが、実際には冷酷な人物で、人殺しや強奪を平気で行う狂気染みたマフィアだった。公開当時デ・ニーロは47歳と演技にますます円熟味が増してきた頃でもある。
ジェームズ・“ジミー”・コンウェイ役のロバート・デ・ニーロ

ジェームズ・“ジミー”・コンウェイ役のロバート・デ・ニーロ

相手が仲間であろうと欲しい物は奪う!

【マーティン・スコセッシ×ロバート・デ・ニーロ作品の特集記事】

≪あらすじ≫マフィアに憧れた少年の成り上がりストーリー

ヘンリー・ヒルはアイルランド系の父とシチリア系の母を持ち、物心がついた子供が野球選手や消防士に憧れるように、マフィアの一員になる事を夢見ていた。

彼は11歳でニューヨーク・ブルックリンのタクシー配車センターでマフィアの使い走りとなり、やがて闇煙草の密売や、偽造クレッジトカードの使用などを皮切りに、トラックの荷物強奪や違法賭博・ノミ行為・八百長試合の設定といった犯罪に手を広げていく。

彼の一味はポール・ヴァリオ(劇中ではポール・シセロ)を長とし、トラック強奪を得意としたジミー・バーク(同じくジミー・コンウェイ)や武装強盗と殺人に秀でたトミー・デシモネ(同じくトミー・デヴィート)が同僚であった。
若い頃のヘンリー

若い頃のヘンリー

左からトミー(ジョー・ペシ)、ヘンリー(レイ・リオッタ...

左からトミー(ジョー・ペシ)、ヘンリー(レイ・リオッタ)、ジミー(ロバート・デ・ニーロ)

何度かの刑務所暮らしを経ながらも、ヘンリーはカレン(ロレイン・ブラッコ)と結婚、子供ももうける。

そして1978年、ケネディ空港で犯罪史上空前の600 万ドル強奪事件が発生、FBIの威信をかけた捜査が始まるが、事件の鍵を握る証人たちは実行犯のジミーらの手によって次々と口を封じられてしまう。策に窮したFBIが目をつけたのが、ヘンリーだった。
ヘンリーとカレン・ヒル(ロレイン・ブラッコ)

ヘンリーとカレン・ヒル(ロレイン・ブラッコ)

ヒルはルフトハンザには直接関わった訳ではないが、計画立案段階からの詳細を知る人物であった。またヒルはヴァリオの組織ではタブーとされていた麻薬密売に関わった事が発覚し、たった3,000ドルの退職金をもらい受けて「破門」状態となっていた。

ヒルは自身を消そうとするかつての同僚の追求を逃れるため、アメリカ合衆国証人保護プログラムの保護下に入り、検察側の証人となり司法取引を行う。これによりヴァリオとバークは逮捕。デシモネは他組織からの報復で殺害されていた。

ヒルは1980年以降、ヘンリー・ヒルという名前で存在することを辞め、全く新しい名前で「カモになる側」の人生を始める事となってしまった。
ファミレスでのジミーとヘンリー

ファミレスでのジミーとヘンリー

ヘンリーはジミーの一挙手一投足にビクつき、気が気でない様子。
この時、自分が”消される”と確信し、FBIに協力する。身内を裏切り、自分で自分の命を護った。

実在したマフィア「ヘンリー・ヒル」

あらゆる犯罪に手を染めたマフィア。
幼い頃からコーサ・ノストラ(マフィア)の正式な構成員に憧れていた。マフィアは劇中では”ワイズガイ”と表現されている。

12歳でルッケーゼ一家のポーリー・ヴァリオや彼の兄弟の使い走りになり、シチリア人の血が半分入っていた事から気に入られ、大金を稼いだ。
16歳で、盗品のクレジットカードを使った事で初めて逮捕されるが、仲間の情報等を白状しなかった事で、仲間から信用を得た。
ヘンリー・ヒル(1980年逮捕時のマグショット)

ヘンリー・ヒル(1980年逮捕時のマグショット)

22歳のときにユダヤ系のカレン・フリードマンと結婚する。お互いの両親が反対したが2人で入籍した。このときカレンはヒルがギャングとは知らず仕事も何をしているか知らなかったという。

1972年に暴力事件を起こし、恐喝罪で10年の刑を受ける。しかし、収容された刑務所にはボスのポーリーもおり、買収された看守にも優遇され、自由が保障された。ここでは、麻薬ビジネスをご法度とするポーリーの目をごまかしながら麻薬の売人もやっていた。

以降、劇中でもあるように空港での強奪事件に際して、身の危険を感じるようになり、1980年5月27日にアメリカ合衆国司法省組織犯罪撲滅班と取引し、妻と子と共に証人保護制度に入った。

1989年にカレンと離婚。2012年6月12日、ロサンゼルスの病院で病死。69歳だった。
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