先日、高畑勲監督の訃報が流れました
【訃報】ジブリ映画の重鎮・高畑勲監督が死去。「火垂るの墓」「おもひでぽろぽろ」「平成狸合戦ぽんぽこ」など - Middle Edge(ミドルエッジ)
ミドルエッジでもご一緒させていただいている木原さんのツイートを、ここでご紹介したいと思います。
おはようございます。
— 木原浩勝/28日22時!ニコ生『件ちゃん暗殺計画(不在)』を放送します!みんな観てね! (@KiharaHirokatsu) April 6, 2018
高畑勲監督が亡くなった…というニュースを知って、とうとう一夜を明かしてしまいました。
『火垂るの墓』の作画監督・キャラクターデザイン・絵コンテまで手掛けられた近藤喜文さんも今はなく…気持ちの整理はまだまだつきません。
少しくらいは…当時を偲んでみたいかな…。
高畑勲監督の期待に応える仕事
『新世紀エヴァンゲリオン』監督として…最近では『シン・ゴジラ』の総監督として知られる庵野秀明さんが『 #火垂るの墓 』の原画に参加されているのは知られています。
— 木原浩勝/28日22時!ニコ生『件ちゃん暗殺計画(不在)』を放送します!みんな観てね! (@KiharaHirokatsu) April 6, 2018
なかでも『スタジオジブリ トトロ班分室』(通称2スタ)にまで聞こえてきたのが、庵野さんが手掛けた…『観艦式』の夜景シーン…→
→の原画でした。
— 木原浩勝/28日22時!ニコ生『件ちゃん暗殺計画(不在)』を放送します!みんな観てね! (@KiharaHirokatsu) April 6, 2018
完成画面では、夜景としてハーモニー処理が施された為にほぼ見えませんが【戦艦榛名・重巡摩耶・重巡鈴谷】の三隻が見事に描かれていて、トトロ班から原画マンが次々と2スタからこっそり1スタ(ラピュタを作った本社スタジオ)に見に行った程の原画でした。
これが本当に凄かった。→ pic.twitter.com/cAJou84mJ3
→【あっ!間違えました。訂正します】1番手間が「重巡鈴谷」の船首でしたからLセル…12枚重ね(くどい様ですが透過光マスク含む)で、吃水線の数字はこの鈴谷のモノでした。
— 木原浩勝/28日22時!ニコ生『件ちゃん暗殺計画(不在)』を放送します!みんな観てね! (@KiharaHirokatsu) April 6, 2018
呆れた事に(あまりの丁寧な仕事に)水面の船窓の揺らめき全てに、故 近藤喜文さんは修正原画を描いています。→ pic.twitter.com/jpf8XfFUU9
→「この庵野さんの原画はどんな仕上がりになるんだろうね?」などと、舐める様に見た私達は噂しましたが、結果的には、暗くてよく分からないモノでした。(細かな旗まで描かれているのに)
— 木原浩勝/28日22時!ニコ生『件ちゃん暗殺計画(不在)』を放送します!みんな観てね! (@KiharaHirokatsu) April 6, 2018
…が、しかし。#高畑勲監督 の「期待に応える仕事」とは、このクオリティでなければ…という想いあって…→ pic.twitter.com/76D66HRebk
→…の、事としか言えないきがします。
— 木原浩勝/28日22時!ニコ生『件ちゃん暗殺計画(不在)』を放送します!みんな観てね! (@KiharaHirokatsu) April 6, 2018
この気の遠くなる様な原画作業に、描く事はもちろん、調査を含めてどれ程の時間と手間がかけられたのか?と当時から話しに上っていたのです。#火垂るの墓 を観る時にちょっと気を付けて観て下さい。(吃水線の波も動いています)とりあえず1話書いてみました。 pic.twitter.com/xhxvSdUJ48
庵野秀明さんの作画秘話くらいで、#高畑勲監督 の仕事っぷりなど何も分かりはしませんから、二話目はもう少し#火垂るの墓 の「凄い拘り」に触れてみたいかな?と。
— 木原浩勝/28日22時!ニコ生『件ちゃん暗殺計画(不在)』を放送します!みんな観てね! (@KiharaHirokatsu) April 6, 2018
私はトトロの制作班の人間ですから、あくまで少しだけしか書きませんが、4月16日は #火垂るの墓 と #となりのトトロ 公開30周年記念日→
→ですから、ちょっとだけ思い出話を…。
— 木原浩勝/28日22時!ニコ生『件ちゃん暗殺計画(不在)』を放送します!みんな観てね! (@KiharaHirokatsu) April 6, 2018
本来なら、30歳のお誕生おめでとう!…な、だけのはずだったんですから…。
上映30周年「火垂るの墓」細部に至る描写の拘り
映画 #火垂るの墓 #となりのトトロ の記者会見発表が4月の18日。
— 木原浩勝/28日22時!ニコ生『件ちゃん暗殺計画(不在)』を放送します!みんな観てね! (@KiharaHirokatsu) April 6, 2018
公の発表から、僅か363日で全国公開に漕ぎ着けます。
一社で二作同時製作。
その一年に満たない現場は、困難と問題の山積みでした。
作品の完成度をただひたすらに上げたい!…と願った30年前…。
ご冥福をお祈りいたします。
当時のスタジオジブリは、前作「天空の城ラピュタ」制作現場を1スタジオとし「火垂るの墓」制作現場に、新たに確保した制作現場を2スタジオとし「となりのトトロ」制作現場としました。
1スタジオの高畑勲監督と、2スタジオの制作デスクだった木原浩勝さんのリアリティ溢れる現場秘話です。
#高畑勲監督追悼 2話目。①
— 木原浩勝/28日22時!ニコ生『件ちゃん暗殺計画(不在)』を放送します!みんな観てね! (@KiharaHirokatsu) April 8, 2018
1スタの #火垂るの墓 の作画現場は、机や壁に戦時中の写真やそのコピーが作画参考用に貼りまくられていて、まさに戦場そのモノ。
そこへ高畑勲監督から声を掛けられます。
「木原くんは、戦災の人々の表現はどこに重きをおきますか?意見を聞かせて下さい」と。
#高畑勲監督追悼 ②
— 木原浩勝/28日22時!ニコ生『件ちゃん暗殺計画(不在)』を放送します!みんな観てね! (@KiharaHirokatsu) April 8, 2018
僕なら…包帯…だと思います…。
動きや身体の汚しの処理で、それなりに見せる事はできますが、包帯はただ巻かれていればいい…というモノではないからですね。
「包帯!…なるほどそうですね。本当の包帯が必要です。ありがとう、手配をお願います」
はい。承知しました。
#高畑勲監督追悼 ③
— 木原浩勝/28日22時!ニコ生『件ちゃん暗殺計画(不在)』を放送します!みんな観てね! (@KiharaHirokatsu) April 8, 2018
高畑勲監督からの指示に、えっ?という躊躇もトトロ班という立場なんか無い。
もちろん包帯を買ってくる…などというバカな解釈なんかしない。
急いで2スタ(絶賛トトロ制作中)に戻るとあちこちに連絡して人を探した。
誰?って、もちろん看護婦さん(現在は看護師)ですよ。
#高畑勲監督追悼 ④
— 木原浩勝/28日22時!ニコ生『件ちゃん暗殺計画(不在)』を放送します!みんな観てね! (@KiharaHirokatsu) April 8, 2018
看護婦さん(現在は看護師)といっても、平日の昼間スタジオに来て頂ける方でなければなりませんからね。
なぜ?って、高畑監督ですよ?
その監督が #火垂るの墓 で「包帯」とくれば、本物の巻き方・巻かれた状態が必要だからに決まっています。
#高畑勲監督追悼 ⑤
— 木原浩勝/28日22時!ニコ生『件ちゃん暗殺計画(不在)』を放送します!みんな観てね! (@KiharaHirokatsu) April 8, 2018
…で、元日本赤十字の看護婦さんを見つけて、ジブリの1スタに来社頂き「包帯巻き方講座」とそのスケッチ会が行われます。
怪我や骨折の場合、その部位による巻き方の違い。巻き始めと巻き終わりをどうするのか?
ですから #火垂るの墓 には「ただ巻かれている様に見えるだけ」