金子正次
ヤクザ映画の名作といえば、高倉健主演の「昭和残侠伝」か、菅原文太主演の「仁義なき戦い」がその筆頭かとも思いますが、そこに「竜二」を加えても全く問題ないでしょう。
いやぁ、バツグンに面白いです。リアルさを強調したといわれる「仁義なき戦い」よりも、なんというか、もっとリアルな感じがする「竜二」。主演の金子正次が最高すぎます。
いやぁ、バツグンに面白いです。リアルさを強調したといわれる「仁義なき戦い」よりも、なんというか、もっとリアルな感じがする「竜二」。主演の金子正次が最高すぎます。
自ら脚本も書いた「竜二」ですが、金子正次が主演したのはこれだけです。実は、「竜二」公開直後に亡くなってしまったのです。まさにこれからという時だったのですが、巨大な才能を日本映画界は失ったのです。
ただ、「竜二」をはじめ、金子正次は脚本を残していて、それが彼の死後映画化されています。
どれも素晴らしい作品ばかりである金子正次が脚本を担当した作品を集めました。
ただ、「竜二」をはじめ、金子正次は脚本を残していて、それが彼の死後映画化されています。
どれも素晴らしい作品ばかりである金子正次が脚本を担当した作品を集めました。
竜二
金子正次の初主演作にして遺作となった「竜二」。文句なしの名作です。金子正次は本作によって日本アカデミー賞新人俳優賞やブルーリボン賞新人賞を受賞しました。
因みに脚本の鈴木明夫というのは、金子正次のペンネームです。
それまでのヤクザ映画といえば、ピストルを撃ちまくるか、ドスで刺しまくるというものばかりだったわけですが、「竜二」にはそうしたシーンがありません。にも関わらずヤクザを思いっきり感じさせるんですね。そう、ヤクザの悲しみや怒り、性と言うものがしっかり、描かれているんです。
因みに脚本の鈴木明夫というのは、金子正次のペンネームです。
それまでのヤクザ映画といえば、ピストルを撃ちまくるか、ドスで刺しまくるというものばかりだったわけですが、「竜二」にはそうしたシーンがありません。にも関わらずヤクザを思いっきり感じさせるんですね。そう、ヤクザの悲しみや怒り、性と言うものがしっかり、描かれているんです。
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ポスターに一緒に写っているのは娘役のももは、金子正次の実の娘です。まるで、これが最後だということが分かっていたかのようで、映画の内容同様に切ないです。
本人には知らされていなかったという話ですが、金子正次は撮影時には既に癌に冒されていました。そして、封切り直後にそれを見届けたかのように逝ってしまったのです。
妻役を演じた永島暎子の演技も高く評価され、ブルーリボン賞助演女優賞、キネマ旬報助演女優賞、報知映画賞助演女優賞などを受賞しました。
本人には知らされていなかったという話ですが、金子正次は撮影時には既に癌に冒されていました。そして、封切り直後にそれを見届けたかのように逝ってしまったのです。
妻役を演じた永島暎子の演技も高く評価され、ブルーリボン賞助演女優賞、キネマ旬報助演女優賞、報知映画賞助演女優賞などを受賞しました。
監督は金子正次の学生時代からの友人の川島透で、彼にとってもこれが第1回監督作品です。もっとも「竜二」は製作費3000万円の自主制作映画なんです。川島透は当初プロデューサーで、監督は他に居たのですが、出来栄えに満足せず途中から監督となり多くのシーンを撮りなおして完成させています。
竜二 (1983) - 劇場予告編
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第8回湯布院映画祭で絶賛されたことで「竜二」は注目を集めました。とはいえ、結果的には大ヒットするものの、最初は全国主要都市五、六館での限定ロードショーでした。
金子正次は封切り日まで前売り券を売っていたそうです。封切り当日、初回の上映を見届けた金子正次は劇場前の路上にうずくまり、そのまま病院に担ぎ込まれ、8日後にこの世を去ってしましました。
金子正次は封切り日まで前売り券を売っていたそうです。封切り当日、初回の上映を見届けた金子正次は劇場前の路上にうずくまり、そのまま病院に担ぎ込まれ、8日後にこの世を去ってしましました。
チ・ン・ピ・ラ
金子正次は役者として成功したかった。どうしても成功したかった。しかも主役で。そう思う役者は多いと思いますが、金子正次がスゴイのは、声がかからないのであれば自分で作ってやろうと、「竜二」を作ってしまったわけです。
そうする役者も多くはないにしても居ると思いますが、金子正次がスゴイのは自分で書いた脚本が優れているということですね。自分が主役をやるために映画の脚本を自分で書いた。その脚本は素晴らしかった。でも金子正次はこの世には居ないということで、柴田恭兵(と、ジョニー大倉)を主演として制作されたのが「チ・ン・ピ・ラ」です。
そうする役者も多くはないにしても居ると思いますが、金子正次がスゴイのは自分で書いた脚本が優れているということですね。自分が主役をやるために映画の脚本を自分で書いた。その脚本は素晴らしかった。でも金子正次はこの世には居ないということで、柴田恭兵(と、ジョニー大倉)を主演として制作されたのが「チ・ン・ピ・ラ」です。
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【あらすじ】
洋一(柴田恭兵)と道夫(ジョニー大倉)は、ヤクザならぬ“チンピラ”。競馬のノミ屋をやりながら軽いノリで暮らしている。ある日、ふたりは兄貴分のヤクザから、組織のシャブを預かっておくよう命じられるのだが・・・。
実は金子正次が最初に企画を持ち込んだのが「チ・ン・ピ・ラ」(当時は「ちんぴら」)だったそうです。企画は通ったそうです。自信があった。そういうことでしょう。しかし、「主役は君には合わない。他の役者でなら」ということだったため、自分が主演することしか頭になかった金子正次はこの話を蹴ってしまったといういわくつきの作品です。
監督は「竜二」に続いて川島透。川島透は、基本的に明るい人のようです。その後の監督作品も「CHECKERS IN TAN TAN たぬき」を持ち出すまでもなく、なんか明るい。「チ・ン・ピ・ラ」も陽気な雰囲気があり、ヤクザを題材としているのに重々しくないです。
監督は「竜二」に続いて川島透。川島透は、基本的に明るい人のようです。その後の監督作品も「CHECKERS IN TAN TAN たぬき」を持ち出すまでもなく、なんか明るい。「チ・ン・ピ・ラ」も陽気な雰囲気があり、ヤクザを題材としているのに重々しくないです。
チンピラ (1984) - Original PV
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「竜二」を川島透が最初から撮っていたら随分と違った雰囲気になっていたのかもしれませんね。逆に言えば100%川島作品でなかったから「竜二」が出来たのではないでしょうか。
ちょうちん
金子正次が病床で死の直前まで脚本を書いたと言われる遺作「ちょうちん」。ガンに侵されたヤクザと言う自身をモデルにしたかのような内容がこれまた心を打ちます。
監督は梶間俊一。死と背中合わせという主人公の緊張感が痛々しい程に表現することに成功しています。主人公を演じた陣内孝則は、現在のコミカルなキャラからは想像できない程、クールな演技をしていて最高です。
監督は梶間俊一。死と背中合わせという主人公の緊張感が痛々しい程に表現することに成功しています。主人公を演じた陣内孝則は、現在のコミカルなキャラからは想像できない程、クールな演技をしていて最高です。
生年月日:1949年12月19日
没年月日:1983年11月6日(33歳没)
出生地:愛媛県中島町
活動期間:1974年 -1983年
受賞
第7回日本アカデミー賞:新人俳優賞 1984年「竜二」
第26回ブルーリボン賞:新人賞 1983年「竜二」