子供の頃に話題となったモノ・1960年代の懐かしいCM
2022年3月9日 更新

子供の頃に話題となったモノ・1960年代の懐かしいCM

高度経済成長真っ只中の60年代、子供の心に強烈な印象を与えたCM。話題になった懐かしいモノを振り返ってみた。

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懐かしのアイス「森永マジックアイス」

1966年頃に森永から発売された「森永マジックアイス」は、家の冷蔵庫(冷凍庫)で缶ごと凍らせてつくるアイスクリームだった。凍らせた缶を缶切りであけると、中からアイスが上に伸びて出てくる。通称モコモコアイスと呼ばれていた。
当時、家の1ドア冷蔵庫の製氷室で作り、おそるおそる開けてみるとビックリ!缶の中にはマジックアイスのTVCMとは異なる氷の塊があった。アイスはもちろん1ミリも出てこなかった。缶の中の氷をスプーンで食べてみると濃い甘みとピリピリ感が口の中に広がった。その時、子供ながらも炭酸ガスの作用でモコモコと出てくるはずだったのではないかと思った。アイスが出てこなかった原因は、冷蔵庫。マジックアイスが発売された当時、冷蔵庫の普及率は50%を超えていたが、冷凍室を独立させた2ドアタイプの冷凍冷蔵庫がある家は少なかった。もし、冷凍庫で凍らせていれば、モコモコアイスは食べられたのだろうか。
ヨーロッパで流行していたプッシュアップ型のアイス。
「森永マジックアイス」はヨーロッパで流行していたプッシュアップ型のアイスをヒントに作られたという。プッシュアップアイスは、日本のカップアイスの容器を棒状にしたもので、アイスはモコモコと出てこない。手の体温で溶けてきたアイスをプッシュ(手で押し出す)して食べる。プッシュアップアイスの利点は棒付きアイスに比べて溶けたアイスがたれこないために手が汚れないことだ。

話をマジックアイスに戻すと当時は近所の店で買って食べるの一般的だったアイスが家で作れることに衝撃を受けた。CM は子供の心を掴んだが、マジックアイスは1年余りで消えてしまった。50年以上たった今でも印象に残っている幻のCMだ。今は冷凍冷蔵庫はどこの家にもある。この令和の時代にリバイバル 発売して欲しい。

実はボディーソープだった「クレージーフォーム」(Crazy Foam)

1966年7月にバンダイが発売して大ヒットした玩具「クレージーフォーム」(Crazy Foam)。泡で形を作って遊ぶ子供向けの泡スプレーのオモチャだ。「アメリカ生まれの不思議な泡せっけん」というキャッチコピーとTVCMがブレイクして、3カ月で240万本が売れたという。
シェービングフォーム的な缶のボトルには、男児用にウルトラマン、スーパーマン、バットマン、ジョーカー、女児用に人形、トッポジージョ(ネズミ)などのデザインがレトロ可愛い。別売りのクレイジースペーガンに専用クレージーフォームを装着する銃として遊べるタイプもあった。テレビコマーシャルでは、子供がクレージーフォームをサンタクロースの顎髭のように顔につけたり、アワで船のかたちを作って浴槽に浮かべたりしていた。

Smurf crazy foam classic tv commercial

1960年代のアメリカのテレビコマーシャル
クレージーフォームで船を作ろうとしたが形にならない、それでも雲のような形の物体をお風呂に浮かべたら溶けていった。きっと風呂の湯の温度が熱すぎたのだろう。

日本の風呂は、バスタブに湯を張り、その中で体を洗い一人ずつお湯を交換する欧米とは違う。追い焚きしながら家族が順番に入るから、浴槽に石鹸を入れてはいけないのだ。また、昭和の経済成長期である1966年頃は、家風呂が普及しはじめていたが、風呂は、近所の銭湯に行っていた家も多かった。銭湯の洗い場や浴槽でクレージーフォーム遊ぶことは無理だろう。

爆発的に売れたクレージーフォームのブームはひと夏で終わった。

クレージーフォームは元々、シャンプー、リンス、ボディソープとして使える3 IN 1 (スリーインワン)の泡シャンプーなのだが、ボディーソープ自体を見たことはなかった。
当時のバンダイの広告のコピーは「遊びながら綺麗になる…ふしぎなアワ!夏を代表する商品…クレイジーフォーム」。夏に登場する空気で膨らますビニールプールで使用すればよかったと思う。

クレージーフォームは、今でもあるようだ。

象が踏んでも壊れない!サンスター「アーム筆入」

1965年(昭和40年)に発売されサンスターの「アーム筆入」は、2年後の1967年よりTVコマーシャルを開始した。CMでは、実際の象が登場して「筆入れ」を踏みつけるが壊れないことで頑丈さを強調「象が踏んでも壊れない」筆箱は印象的だった。

「アーム筆入」のテレビコマーシャルは話題を呼びヒットした。販売本数は増え、5~6年後には500万本を販売したという。
サンスター「アーム筆入」1967年、当時の価格は400円。

サンスター「アーム筆入」1967年、当時の価格は400円。

1967年 サンスター アーム 筆入 昭和レトロ 当時物
小学校の時に隣の席の男子が持ってきた「アーム筆入」。登校早々、彼は筆箱を踏んでみせるパフォーマンスを披露、朝礼前に注目の的となった。1時間目の授業は彼の机の上においてある「象が踏んでも壊れない」筆箱のことで頭がいっぱいだった。そんな視線を感じたのか次の休み時間に筆箱を踏ませてくれた。その次の休み時間には何人も順番で踏んでみた。昼休みになると他のクラスの子が踏まれている「象が踏んでも壊れない」筆箱を見学しにくるほどの人気ぶりだった。

サンスターアーム筆入 TVCM集

象が筆入を踏む映像で子どもたちに衝撃を与えたCMは1967年から放映開始。出演している象は、移動動物園から貸し出された。「アーム」の名前の由来はプロレスラーの腕(アーム)、強さを象徴している。CM映像では象が足を上げた瞬間に筆入れを置いて踏ませる出演者の技に感心する。

では「なぜ象が踏んでも壊れない」根拠とは何か、それは素材にある。当時の文房具では使われていなかった高性能なプラスチック「ポリカーボネード」を採用していることだ。強度のデータを「たわみ寸法」と「加圧重量」のグラフで実証、最大荷量1.5tまでは割れないというデータを出している。サンスター文具は、1998年から「アーム筆入」より少し大きくなった「NEWアーム筆入」を発売した。2022年現在、50年以上のロングセラー商品となり現在も販売されている。
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