《グラビア業界の仕事2》性表現が緩くなったヘアヌード解禁時に生まれたエロ企画
2020年3月22日 更新

《グラビア業界の仕事2》性表現が緩くなったヘアヌード解禁時に生まれたエロ企画

今も昔も人気のコンテンツ「グラビア」についてのお話です。今回はグラビア撮影のヒエラルキーやヘアヌードが解禁された頃の話、AKBがグラビア業界もたらした変化などについて触れます。

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グラビア撮影のヒエラルキー

グラビア撮影にもさまざまな撮影があります。雑誌の売上げに直結するような表紙・巻頭グラビア撮影では、名の知れた人気タレントを主にキャスティングします。書店やコンビニに正面切って置いてもらえるような表紙作りを心がけるのです。また書店だと平積みで置いてもらえるようなら大喜びです。読者に一番手にとってもらえるのが平積みという置き方なんですよね。コンビニの場合は目に付きやすい最前列に置いてもらえるようにしてもらう。出版社時代は自分の雑誌をわざわざ最前列に並べ替えるなんてことをしていました(笑)

グラビアにかける予算もピンキリでした。こちらから三顧の礼でお迎えしてキャスティングしたタレントだと、タレント側の要求をすべて(に近い)飲むような撮影となります。タレント側が指定するカメラマン、ヘアメイク、スタイリストなど、編集サイドの決定権があまりなかったりすることも多々ありました。

これが新人グラビアアイドルの場合になると主導権は変わります。雑誌に入れ込んでもらう立場となる芸能事務所は基本低姿勢となります。その場合、編集部主導の企画内容が作りやすくなったりします。複数の新人たちを集めて企画グラビアページを作ったり、コスプレ企画だったり、少しセクシー気味な撮影も可能になったりするんです。新人時代のほうがセクシーな写真が多かったりするアイドルがいるのに気づかれている人いません? 案外こんな理由だったりするんですよね。それからしばらくして人気が出てくるようになると一気に露出度は下がってきます。最後はコスチュームだけになったりとか。新人時代のほうが露出度は高かったりするんですよね。
裸の巨人 宇宙企画とデラべっぴんを創った男 山崎紀雄

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Netflixのドラマ「全裸監督」で石橋凌が演じた役が山崎社長だと言われている
複数のモデルが出てくる企画グラビアって事務所的には嫌なものです。やはり単独でグラビアを撮りたいっていうのがモデルや事務所の本音でしょう。しかしデビューしたてのモデルにコストをそれなりにかける撮影などはそうそう出来るものでもないのです。編集部サイドとしては、無名時代のモデルを撮影してあげてるんだよと無言の圧力(というわけでもないですが)というか多少の恩を売り、もしブレイクした場合には優先的に交渉権を得るためであったり、同じ事務所の売れているモデルとのバーターで撮影交渉をするなど、新人グラビア撮影もさまざまな事情で動いてたりもします。編集部的には売れているモデルだけ撮影できるものならそれでいいっていうのが本音ですよね。でもそういう訳にも行かないのが現実です。お互いでアイドルを作っていこうって意識も重要なのです。

このような新人モデルの撮影の場合はノーギャラのパターンも多いのですが、プロカメラマンの撮影、ヘアメイク、スタイリングをきちんと行うので、モデル事務所には撮った写真を宣材(プロフィール資料)として使わせてあげたりすることも多々ありました。これは事務所に恩を売るってことにも繋がります。また事務所としてもコストをかけずに資料が作れるので喜ぶってものでした。

グラビアページのランク付けをすると

グラビア雑誌には巻頭、巻中、巻末グラビアとでランクがあります。もちろん表紙が一番上位ランクですが、巻頭グラビアも次にくる上位ランクです。表紙、巻頭グラビアは最上級ランク。次に巻2グラビアと巻末グラビアがほぼ同列程度かな。そして巻3グラビアとなります。巻3グラビアは単体企画グラビアが多い傾向があるかと思います。巻中グラビアも企画グラビアや複数のモデルを紹介するページ。少しランクが低い位置だと思っていいでしょう。
巻頭グラビアと巻末グラビアがなぜランクが高いかと言うと、雑誌を持ってパラパラとめくる時に、いちばん目に留まりやすいのがこのページだからです。目に留まるということは印象に残るということです。次に後半グラビアになるにつれてセクシー度が上がる傾向もありました。やはり前半グラビアは明るいイメージの構成のほうが一般受けというか手に取りやすいってことなんですよね。めくっていて突然セクシーなページだと飛ばしちゃったりしませんでしたか?(笑)

ある時期、性表現が緩くなった時がありました。ヘアヌードが解禁された頃あたりでしょうか。ところで袋とじ企画ってご存知ですか? これは立ち読みでは見れなくて、雑誌を買ってハサミでページを開いてからでないと見られないグラビア企画です。もうどんな企画が多くなるかは想像がつきますよね(笑) コンビニ向けだと絶対やれないエロ企画がそのページでやれちゃうわけです。袋とじだから中身見えないんだから問題ないって(笑)
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BIG BOOK 篠山紀信×樋口可南子写真集『water fruit』【限定30部】

ヘアヌード解禁後初の写真集
袋とじだったと思うのですが、忘れられない企画があってこれは他社の雑誌だったのですが(たしかスコラ)、女性器を石膏で型をとってで見せちゃうって企画がありました。リアルです(笑) もうこれって普通に考えたらアウトじゃないですか。でもしばらく続いてたと思うんですよ。また大人気企画だったと思います。そのせいかどうかはわからないのですが、その後スコラって警察に摘発されちゃうんですよね。たぶんこの企画のせいじゃなかったかなと(笑)

英知出版の話で言うと、当時はヘアヌードが解禁されたあたりで各雑誌はヘアヌードだらけになっていました。たしかべっぴんだったと思いますが、企画ページでヘアの形あれこれみたいな企画で、女性のヘアを接写して整髪剤かなにかを使ってもて遊ぶという企画を作りました。想像すると全然エロくないですよね(笑) そしてべっぴんも警察に摘発されちゃって大変だった記憶があります。たぶんそのヘア企画の容疑(?)だったのかな。海外だとアンダーヘアをメイクしてたりしてるんですけどねえ(笑)

グラビアの現在

もうこれはAKBの出現によって劇的にグラビア業界は変わったと思うんです。今までのグラビア業界って、素人モデルから始まり、まずはグラビアからやらせようとしました。そこで人気が出てくると少しずつタレント活動を行えるようになり、テレビなどに起用されていくというのが一般的な売り出し方でした。

80年代まで普通にいたアイドル歌手というジャンルはほぼ消滅していたので、新たなアイドルを生み出す手段はまずグラビアからだったと思います。素人に近いモデルに仕事を作りやすいグラビアに芸能事務所は積極的に営業していたんです。雑誌のグラビアだけでも回せば月に百万単位の売り上げが作れますし、そこそこ名前が知られるようになれば写真集、DVD、その他営業も出来るようになります。グラビアタレントでも稼ごうと思えば稼げたんです。

90年代まではグラビアアイドル一本でタレント活動をするアイドルたちがいました。グラビアから地上波のバラエティまで到達すれば成功というイメージでしょうか。さらにそこから歌や演技までいけたらもう大成功ってことになるのでしょう。そこから先はかなりの努力とスキルが必要になるので、バラエティタレントあたりまで行けたら大成功と言えたのかもしれません。
AKB48Group新聞 2020年1月号 Amazo...

AKB48Group新聞 2020年1月号 Amazonオリジナル生写真セット

AKBの戦略で面白いと思ったのが、まずあのサクセスストーリーを作り上げて、ブレイクしてからしばらく経ってバラ売りで水着グラビアを出し始めるという、今までの方式とは逆のスタイルを作ったことだと思います。人気が出てから水着グラビア。これはインパクトあります。とにかく大人数のタレントがいますからねAKBは。もうAKBだけですべての雑誌を席巻するほどのグラビアが世に出ることになりました。これは人気をさらに作り出す上でも効果的だったでしょう。コンビニの雑誌棚の表紙がほとんどAKBのタレントさんだったりしていましたよね。

また特筆すべきはグラビア業界の常套スタイルであった人気が出てくると露出度やセクシー度を控えるという方法をとらず、いきなりセンスのいいスタイリングと絶頂期アイドルとは思えないセクシーグラビアを躊躇なく披露したことではないかと思います。新人はグラビアという段階を踏まず、アイドルとして確立させてから水着グラビアを披露するのですから。もうファンとしては大興奮ものだと思うんですよね。

AKBなど複数の集団で構成されたアイドルグループは、卒業や下部グループからの新規加入など新陳代謝させることによって、ファンが飽きないアイドルたちのドラマを常に作り続けることができるメリット。凄いというか恐ろしい戦略だなあと思いました。これだとぽっと出の新人アイドルやグラドルは埋もれてしまう状況になりかねませんよね。

SNSから登場し始めたアイドルたち

最近のグラビア雑誌をパラパラめくってみると、大きな勢力図とは違ったグラドルたちも出てきているように感じます。インスタグラムなどでセルフプロデュースした女の子が突然大人気になったりする現象も生まれてきているようです。ツイッター、フェイスブックなどでも。いわゆる地下アイドル系とでもいうのでしょうか。既存のアイドルイメージでなく容姿だけでもない自分らしさを全面に出してくるモデルさんたちが生まれてきている気がします。またそれはファンの心を掴んでいるようにも思えます。

芸能事務所を通さず(まあ、事務所が動いてたりするのも多々あるのですが)個人が思い思いの表現で自己アピールしようとする動きは、SNSの登場でとどまることを知りません。逆に芸能事務所がSNSでそんな女の子を見つけ出してきてスカウトするなんて現象も生まれてきているようです。
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週刊ビッグコミックスピリッツ 2020年11号【デジタル版限定グラビア増量「柏木由紀」】(2020年2月10日発売)

SNSを使ったプロデュースでアイドルとして成功する例も出てきたり、地下アイドルも一定のニーズを得てきて、アイドルの売り出し方が既存の方法論だけでは語れなくなってきていますよね。グラビア含むアイドルとはいったい何だろうって考えると、是非や功罪は多々あったりもしますが、男性ニーズがあり、またこのジャンルからでも自己表現したい女の子たちがいるという現実があります。それがある限りグラビアアイドル含む総称としてのアイドルはこれからもなくなることはないんだろうと思います。

いままでの王道だった売り方というか成功体験とはまた違ったアイドルたちの出現により、一概にテレビに出ることだけが成功という感じでもなくなってきているようにも思えるアイドル業界ですが、表現する女の子たちに何かしらの共感を得て応援するというのは男女問わずいつの時代にも起こる現象です。好きなアイドルを見つけてライブに行ったり、グラビアを楽しんだりした時代はきっと年令を重ねていくといい思い出になるはず。きっと仲間たちとの会話も弾むはずです。あなたも自分の好きなアイドルを見つけて、気に入ったアイドルの笑顔に癒やされながら、その時代をたっぷり楽しんでほしいものです。

トダカユースケ《プロフィール》

大学卒業後、英知出版勤務。「べっぴん」「ビデオボーイ」「すっぴん」「Dr.ピカソ」編集部などで勤務。その他にも三和出版、マクセル出版など編集畑を渡り歩く。アイドル写真集を30タイトル以上制作。

出版社勤務を辞めた後、IT関連企業に入り、アイドルDVDのメーカーを立ち上げ50タイトル以上の作品を制作。独立後、携帯コンテンツ、電子書籍、ローカルテレビ、企業広告などの制作を行っている。
トダカユースケ氏

トダカユースケ氏

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