【鉄道好きにはたまらないが鉄道会社にはウケない】今は少なくなった連接車の魅力【ロマンスカーとE331系】
2017年4月28日 更新

【鉄道好きにはたまらないが鉄道会社にはウケない】今は少なくなった連接車の魅力【ロマンスカーとE331系】

「連接車」とは、電車の車両と車両の間に台車がある電車(編成)のことです。首都圏では、小田急ロマンスカーが採用しています。しかしこの方式、手間がかかるので、だんだん少なくなってきました。連接車の魅力を、追ってみました。

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すっかり首都圏の顔になった、JR東日本のE233系。
登場が2006年と、10年ちょっとしかたっていないし、JR東日本にしかない車両なのに、現在、3000両以上も活躍しています。
これは、日本全国、北は仙台から南は九州まで活躍している103系電車に次ぐ車両数です。
外国の方が日本を旅行して、日本の電車の絵を書いたら、みんなE233系を書くのでは(笑)。
JR東日本は、稼ぎ頭の山手線に個性的な車両を投入しようと、「ACトレイン」という、連接車を研究、試作車完成までこぎつけましたが、途中で方針が変わり、E235系という、コストダウンを徹底させた車両の投入へと方針を変えました。
E235系は、「車内のつり広告のペーパーレス化」などで話題をよんだ他、運転開始当日にいきなり動かなくなり、わずか1日で大規模修理が必要になるなど、ニュースにもなった車両ですね。その前面の形状から、「電子レンジ」などと言われている車両です。
E235系(山手線の新型車両)

E235系(山手線の新型車両)

出典 裏辺研究所 さま
鉄道ファンには非常に評判のよろしくない車両です。
先頭は電子レンジみたいだし、側面は銀色で個性まったくなし(笑)。
ドアのところだけ山手線の色を塗っていますが、これは、これから山手線の駅にホームドアが設置されるため、これまでの「横帯」スタイルではホームドアの柵に隠れて色が見えず、銀一色に見えていったい何線だかわからなくなっちゃうので、ドアの上に色を塗ったという理由です。
ひたすら経済性を追求したこのE235系、やっぱり鉄道ファンには、「これが日本を代表する鉄道・山手線の車両か・・・」と絶句せざるを得ません(笑)。

ACトレインは1編成だけ京葉線に投入するも、すぐに廃車に

それでも、一応ACトレインの研究の成果をカタチにした車両を1編成だけ作りました。
E331系という車両です。
ディズニーランドの最寄り駅、舞浜駅を通る「京葉線」に配属されました。

しかし、故障続き。
そして、故障を直すのに連接車は大変な手間がかかりました。

あまりにも手間がかかったので、このE331系は、結局7年所属しただけで、お払い箱になってしまいました。

しかし、このE331系のような個性的車両こそ、鉄道ファンにはグッとくる車両なんですよね(笑)。

京葉線E331系快速 〜千葉みなと駅を出発〜

よーく聞くと、走行音が「タタン、タタン、タタン、・・・」と来て一瞬だけ「タタン、タタンタタン」と2回打つ場所があります。
1両だけ連接車でない車両があるためです。
こんなマニアックな車両、他にないです。
独特の走行音でファンを魅了し、乗り心地も良い連接車。
しかし、故障がおきると、非常にやっかいな面を持ちます。

繰り返しますが、電車は、止まってしまうと非常に多くの人に影響を及ぼします。
なので、できるだけ故障しない、故障してもすぐ直せる車両が重宝されるのは、至極当たり前のことで、鉄道会社の経済性としては、なんの問題もありません。

しかし、多くの人が使うということは、一種の「文化」でもあります。
つまり、「文化」を犠牲にして、「経済」を重視した、ということです。

実際に電車の故障などという理由で電車が止まってしまったら、その場にいる人は確かに怒り心頭になりますが、昔、「せまい日本、そんなに急いでどこへ行く」などという言葉がありました。

止まらない程度に個性的な電車は、これからも作ってほしいな、とは個人的には思います。

JR九州は、個性的な車両をたくさん作り、お抱えのデザイナーまで持つ、鉄道に非常に力を入れている会社ですが、あれだけ鉄道ネタでニュースになっても、鉄道事業は赤字なのです。
2016年に株式を上場までできたのは、鉄道事業で成功したのではなく、不動産業で利益を出せたからだと言われています。
しかし、個性的な車両に乗るために九州に行く人が増えれば、それだけ地域が活性化します。
JR九州は、自社だけの利益よりも、地域全体の発展を考えて、あえて赤字でも個性的な車両を作り出しているのでしょう。

小田急は、旅行が格安旅行会社の台頭などで多様化したため、小田急のメイン観光地である箱根に行く人が減ったことに危機感を持ち、個性的な50000系を作りました。

「経済性」と「文化」のバランスが問われる時代になるのかもしれません。

小田急・NSE車の記憶 その2

こういう個性的な車両が、これからも製造されることを祈ります。
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