1967年9月26日から1969年9月25日まで、読売テレビ(ytv)の製作により日本テレビ系列で放送された。制作はC.A.L、モノクロ(第100回のみカラー放送)。放送時間は第1〜78回が毎週火曜日22時〜22時30分、第79〜最終回が毎週木曜日19時〜19時30分。
毎日新聞社(2015年以降は毎日新聞出版)発行の『サンデー毎日』で1966年から1971年まで連載された漫画『いじわるばあさん』のテレビドラマ化作品はこれまでに4本製作されているが、特に人気を博したのは1967年に放送を開始した読売テレビ(以下「ytv」)製作・日本テレビ系列放送の第1作と、その実質的なリメイク版で1981年から1982年にフジテレビ(以下「フジ」)で放送された第3作であった。
原作者の長谷川町子は『サザエさん』のテレビアニメ版と同様に本作の映像化を快く思っていなかったとされ、漫画の作中でもytv版のロケを見た主人公の石が青島演じる波多野タツに対して「あたしのほうがよっぽどキリョウがいいよ」と憤慨して途中で帰ってしまうと言うエピソードがある。
主題歌『意地悪ばあさんのうた』は青島本人が歌唱していたが、歌詞にはろう者に対する差別用語とされる言葉が含まれている。
タイトルクレジット部はアニメ―ションで、ばあさんが「これから何が始まるかって? 決まってんじゃない! 『意地悪ばあさん』!」と言うと、画面上部にマシンガンの音と共にタイトルが出されるが、違うタイトルなのでばあさんが消し「意」「地」「悪」「ば」「あ」「さ」「ん」と一文字ずつ出て、最後にばあさんが「ヒヒヒヒヒ!」と笑うという構成となっている。
長谷川町子さんの作品で、サザエさんの次に人気がある作品と言えば、『いじわるばあさん』だろう。主人公のいじわるばあさん「伊知割 石(いじわる イシ)」がほぼ毎回他人にいじわるを行う、ブラックな四コママンガだ。
いじわるばあさんはアニメ化もされたが、元東京都知事の故・青島幸雄さん主演でドラマ化された事を想像する人も多いと思う。現在は市原悦子さん主演になっており、振り込め詐欺などの現代の問題を取り上げ、いじわるばあさんの知恵で痛快に解決するという面白い仕上がりになっているのだ。
意地悪ばあさんこと、波多野たつ、当年69歳。夫に先立たれ、長男の平四郎を女手ひとつで育て上げ、大学まで出したと自信満々。だが、平四郎はなんとも頼りなく、嫁の良子の尻にひかれっぱなし。そこでばあさんは、反骨精神旺盛な孫のよしおと手を組んで、意地悪の開始。
いじわるばあさんの真の面白さは、原作の四コママンガにあるブラックな部分にあると言っても良いだろう。ドラマのいじわるばあさんからは信じられないような、逮捕されてもおかしくないとんでもない行為をしている事をご存じだろうか。
<マンガのいじわるばあさんが行った極悪行為>
・車で事故を起こした運転手に酒を飲ませ、飲酒運転に仕立て上げる。
・18歳以下の少年を連れてアダルト映画館へ行く。
・歌舞伎を見に行った老夫婦の家が放火されたと偽の通報をし、無理やり帰宅させようと試みる。
・昼寝をしているよその家の犬にショベルでコショウをかける。
・旦那と喧嘩した奥さんを和解させるフリをして、離婚させる。
・息子が葬式に行く前にワライダケを食べさせ、式中に笑わせる。
・挨拶をしなかったおばあさんの家にうな重20人前をイタズラ注文。
・夕刊が休みで助けても新聞に載らない事を理由に、溺れている人を見殺しにする。
・金を貰って犬のかぶり物を作り、風呂場の覗きを斡旋する。
・マツタケの採れる林で死体のふりをし、他を追い出す。そしてマツタケ独占。
・ホームレスの男性を土管に閉じ込め、出入り口をセメントで封鎖する。
・宅急便を届けに来た人をなぜか殴り飛ばす。
1966年(昭和40年)スタートにして、高齢化社会や老人介護の問題についても取り上げており、長谷川さんの先を見る天才的な目を見る事が出来る作品になっているのではないでしょうか。