「この映画が観たい」に押井守が出演!かけがえのない映画体験を語る!!
様々な分野で活躍する著名人のかけがえのない“映画体験”と、それにまつわる人生のエピソードを取り上げる、CS映画専門チャンネル「ムービープラス」で放送中のオリジナル番組「この映画が観たい」の2月放送分にて、「機動警察パトレイバー」や「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」などで知られる映画監督・演出家の押井守が出演することが明らかとなりました。
5つの映画をセレクトし、その熱い思いを語る!
番組では、押井がセレクトした映画「宇宙水爆戦(1954年)」 「白馬城の花嫁(1961年)」 「2001年宇宙の旅(1968年)」 「映画に愛をこめて アメリカの夜(1973年)」 「ブレードランナー(1982年)」の5作品への思いを熱く語っています。「パトレイバー」や「攻殻機動隊」に夢中になったファンは必見の内容になること間違いなし!
押井守へのインタビューを一部ご紹介します!
高校の途中までは、絶対にSF作家になると思っていて「押井守SF傑作短編集1」なんてタイトルをつけて自分で勝手に本を作ったりしていました。SF作家になりたくてなりたくて仕方なかった高校生の頃に観たのが「2001年宇宙の旅」。当時は70ミリ映画で、スクリーンがものすごく横長で。かなり前のほうの席で観たからスクリーンが大湾曲していて、宇宙船が“しなって”いました(笑)。そんな状況での鑑賞だったけど、めちゃくちゃ感動した。脳天に一発食らったっていう、痺れて立てないくらいだった。今思うと、何をそんなに感動したのか分からないんですけど。でも、そのあと30年くらい経ってから観たら、この映画の正体が分かりました。
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「人間はなぜ人間になったか」という思想的背景をそのまんま映画にしたような作品です。ストーリーや役者がすごいとか、そういう映画じゃなく思想そのもの。それが分かるまでには随分と時間がかかりましたね。あと、今のCGならもっとすごいものが作れるだろうと思ったら大間違いでさ。でっかい模型を作って撮影した意味があるんです。CGは空気は映らないし、あっという間に古くなる。だけど人間が手で作ったものって最後まで迫力や説得力がある。いまだにこれを超える宇宙空間の迫力や存在感のある映画って、たぶんないと思います。
「映画に愛をこめて アメリカの夜」には、見事に騙されました!たしか大学2年生の頃に観たんだと思うんだけど、観た直後に「映画監督になるしかない!映画監督にならなきゃ生きていけない!」と思ったんです。劇中に「君や私のような人間はね、映画の中でしか幸福になれないんです」っていう有名なセリフがあるんです。だから、現実との折り合いなんて諦めろっていう話なんだけど、そこに痺れた。自分もそう思い込んじゃったんだよね。まぁ、後になってそれは勘違いだったと判明するんだけど(笑)。
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どうせこれ挙げるんだろ?って思ったんじゃないかと思うんだけど、やっぱり「ブレードランナー」は外せません!映画ベスト10を決めてくれと依頼された時ってその時の気分で基準を変えるんだけど、どの基準に照らしても必ず入ってきちゃうのがこの作品。僕は「感動をもらった」とかそういうの大っ嫌いなんだけど、この映画には確かに勇気づけられた。「映画にしかできないことってなんだろう」とずっと思ってきた自分に、映画でしかできないことは「世界観」だという認識に確信を持たせてくれたから。これを観たときに、「やっぱり自分は正しかった」と思えたんだよね。
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だけど、僕は思考が極端だったんで「世界観だけでいいんだ!」と思い込んじゃった(笑)。これが大きな勘違いで。ストーリーもキャラクターも必要だったんです。そういうことで、何度も何度も痛い目にあって、その結果として自分なりの考え方ができてきた。全部、戦いから学んだ「戦訓」ですね。だから、僕の話は聞く価値があると思うんだけど、「うるせえな」ってなもんで誰も聞いてくれない(笑)。色んなことを考える契機になったよ。いまだに考えているけどね。
「ブレードランナー」って、どういうストーリーだったか覚えている人はそんなにいないんだけど、「なんかすごいもん観ちゃった」っていうのはあるんだよね。架空の未来の街を、これほど生々しく表現した映画はほかにない。近未来でSFの世界を描こうと思ったら、もうこの映画の門をくぐらないわけにはいかないんですよ。当時、「ブレードランナー」っぽい映画がたくさん作られました。私の「攻殻機動隊」とかもそうです。ただパクるだけじゃ申し訳ないから色々と要素を付け加えたりはしたけど、この映画がなければ「攻殻機動隊」も生まれなかったことは間違いないでしょうね。