「ボクはもうすでに 12の春に
きらわれ者街道をつっぱしろうと決心してるんだよ」
――天湖 森夜
「学校なんかやめちゃって
デカダン酔いしれ暮らさないか
白い壁に「堕天使」って書いて!?」
――愛咲 ルイ
「やむをえない情事…事情がありまして」
――星野 夢美
「相手がその思いをうけとめてくれなかったその時は…
その時は 私が両手と股間を広げて待ってます」
――黒川 春明
いったい何をどうしたらこんな台詞が思いつくのか。
というか相当きわどい台詞もあるんですが、こういうのを「ときめきトゥナイト」とか「天使なんかじゃない」とか「赤ずきんチャチャ」が掲載されていた当時の「りぼん」に載せて大丈夫だったのか。
とにかく、この一癖も二癖もある台詞回しこそ今作の魅力のひとつと言っていいでしょう。
しかしこのセンスがギャグにだけ生かされているかというと、決してそんなことはなく。
終盤、物語が佳境を迎えた時にも、この作品の台詞は強く読者の心に訴えかけてきます。
「このまま居心地のいい場所にいると
私の魂ブクブクに太っちゃって
魅力のない人間になりそうなの」
――星野 夢美
単に変態マンガ家の一言で括ることはできない、岡田あ~みんの奥深さを感じます。
普段のギャグに笑えば笑うほど、ふとした瞬間の抒情性に心を動かされるかも。
今から読むなら「新装版」
残念ながら岡田あ~みん先生は、「ルナティック雑技団」の連載終了後は散発的に本作の番外編を掲載したのみで、1997年頃から事実上の引退状態となってしまっています。
現在は完全に表舞台から姿を消し、編集部を通しても連絡を取るのが困難とのことでしたが、2015年に突如として新装版「ルナティック雑技団」全3巻の発売が発表され、各地で雌伏の時を過ごしていたあー民たちを驚かせました。
新装版「ルナティック雑技団」は旧りぼんコミックスに未収録だった番外編「ファッショナブルきせかえノート」「届け愛のエアメール」と「お嬢さまのパーティー教室」 の三本に加え、カラー4コマ「スーパーヒーロー・ルイくんが行く」、連載当時に掲載された作者のエッセイ漫画「あ~みん劇場」、さらにりぼんオリジナル1991年初夏の号に掲載された幻のシリアス短編「花のいたづら」が収録された、まさに完全版。
旧りぼんコミックスが今や入手困難というのもあり、今から読み始める人はもちろん、かつての読者にもオススメできる内容になっています。
かつてのりぼんっ子も、そうでない子も。
濃密なあ~みんワールドにどっぷり浸かり、ズタ袋に夢をいっぱいつめこんでみませんか?