バップを離れた後は多方面でご活躍される高島さんですが、日本コロムビアのウルトラマンシリーズMUSIC COLLECTIONも手掛けてきました。
ウルトラマンシリーズCD紹介サイト | 日本コロムビア
すでに発売中の『ウルトラマンA』、『ウルトラマンタロウ』といった各CD3枚組は、放送45年のタイミングで企画、制作させて頂きました。AやタロウのCDはそれまでは、1つのトラックに複数のBGMを収録する形で編集されたものしかなくて、好きな曲、聴きたい曲を探すのに不便でした。なので、最近の3枚組は出す意味があると思ってました。
『帰ってきたウルトラマン』は、短い曲も全部聴きたい曲をサーチしやすい1曲を1トラックの形で編集、収録した『帰ってきたウルトラマン ミュージックファイル』を99年に出したものですから、その点でニーズがあるのかが疑問で、放送45年の時にはコロムビアさんでの再CD化は考えなかったんです。
その後、TwitterでこういうCDはニーズがあるかな?とかつぶやいてみたら、比較的多めの反応を頂いたのと、50年までは待てないかなと思いました。順番で考えれば、今年はウルトラマンレオが45年でもありますが、『帰ってきたウルトラマン』を先に提案、制作させていただきました。今回の3枚組で約20年ぶりに『帰ってきたウルトラマン』のCDを作らせて頂く縁があって、内容を大幅に更新出来て良かったかなと思います。
収録楽曲数もさることながら54ページも及ぶブックレットに驚きました!
ブックレットには作品の音を楽しむことが出来るよう、可能な限りの情報を詰め込んでいます。またジャケットやブックレットに用いた写真は夕景のモノが多いんです。それは帰ってきたウルトラマンが夕陽の中で闘うのが印象的だったから。
その回数は実際はそう多くは無いのですが、例えば、ウルトラセブンと初代ウルトラマンが帰ってきたウルトラマンを助けに来る2話連続の回といった印象深いエピソードに夕方に戦うシーンがあったんです。その回の写真は封入ブックレットの表紙と裏表紙にしました。
曲目にある「M-〇〇」とは制作当時に付けられていた音楽の曲名代わりの記号でM(ミュージック)ナンバーというもので、それをCDもトラックリスト(曲目表)にそのまま載せています。
例えば1曲目の「M-63」は、番組冒頭でキラキラと光が舞う中から番組のロゴが現われるメインタイトルの短い音楽です。その後に実際の放送ではCMを挟んで主題歌が流れるのですが、番組を見ていたのと同様な感覚で聴けるようにCDの最初に添えています。
BGMを並べた部分はMナンバーの順番ですので、1曲目に入れたM63は、同じ音楽が2回入ることになりますが、番号順収録にしたBGMの並びの中にも敢えて収録しています。
制作開始当初に追加録音した曲についてもMナンバー順に並べてあります。
なかには録音されなかったものとしての欠番もありますし、どの場面で使われたのか、そういったものを可視化するための役割をブックレットが担っています。
『帰ってきたウルトラマン』には、この番組の音楽を手がけた冬木透さんが作曲した『ウルトラセブン』のオリジナルBGMも使われていたんですよ! DISC-2は特定の回のために追加で録られた曲に加えて、セブンや他の番組のBGMから使用頻度の高い曲をセレクトしています。
また最初の部分は「仮想オープニング」と題して、「戦え!ウルトラマン」を収録しています。この歌は、主題歌制作の時に、すぎやまこういちさんが2種類作曲して録音までしてから、スタッフが1つを選ぶという時に、採用されなかったほうなんです。
もしもこのパターンが採用されていたら?なんて考えることも楽しいと思います。
あのワンダバが誕生する瞬間を感じることが出来る収録音も入っています。コーラスの人が練習している声も聞こえます!
オープンリールテープで録音していた時代ですから、録音開始や停止のボタンを押す際の音もカットしないでそのまま入れました。そういったアナログテープ時代ならではの音も楽しんでいただきたいです。
なぜかザ・ドリフターズやザ・ゴールデン・カップスの曲が収録されていますが、これは作中で若者のキャンプファイアや、郷隊員が休憩中のラジオから流れてくる歌として劇中に使われた楽曲を収録しています。
PYGの「花・太陽・雨」は、第34話「許されざるいのち」という回の重要なシーンで使われています。途中からまるで昭和歌謡のコンピレーションCDを聴いているような感じになると思いますよ(笑)。
この情報量はまさにファン必携のCDではないかと感じます!手にされたファンの方におススメの聴く順番はありますか?
聴きたい曲から聴いても、最初から通して聴いても良いように作っています。
また現代ならではですが、パソコンに音楽を取り込んで、第何話で使われた曲順みたいに並べ替えて聴いてみるといった遊び方も出来ますね。
高島さんにとっての「帰ってきたウルトラマン」
帰ってきたウルトラマンが夕景に映えるウルトラマンだというのは今まで気が付きませんでした!
また各ディスクの収録曲にも並々ならぬこだわりを感じます。
今回の『帰ってきたウルトラマン』だけでなく、『ウルトラマンA』や『ウルトラマンタロウ』の3枚組CDでもそれぞれにこだわりながら作ったのですが、『帰ってきたウルトラマン』が新番組だった頃は、小学校に入学した年で、ウルトラマンを初めて、再放送ではなくリアルタイムで見た作品だったから、特に思い入れは強いですね。当時は子供心に、初代ウルトラマンのハヤタ隊員が出ていない新しいウルトラマンなのに、「帰ってきた」とは、変なタイトルだなあと思っていました(笑)。
音楽面では、特に第1話の最初に出てきたBGMがワンダバコーラスのMATのテーマ曲だったので、TVを見ていて本当にインパクトがありましたね。これはワンダバにインパクトを受けた世代に向けたCD BOXなんです。
子供の頃に好きで観ていた人、後から再放送、レンタルビデオやDVDなどで観て音楽が気になった人には、是非聴いて頂きたいですね。
楽曲のみならず映像、ブックレットを揃えて楽しみたい仕上がりとなっている「帰ってきたウルトラマン MUSIC COLLECTION」。
ワンダバ世代の皆様、ぜひ聴いてみてはいかがでしょうか?
高島さん、本日はどうも有難うございました!