ラスカル人気の陰でアライグマが侵略的外来種に指定され駆除されていた。
2015年9月15日 更新

ラスカル人気の陰でアライグマが侵略的外来種に指定され駆除されていた。

テレビアニメ『あらいぐまラスカル』で大人気となり、ペットとして飼われることも多くなったアライグマ。だが、無責任な飼育や放逐で環境に悪影響を与え、侵略的外来種に指定され駆除されていた。

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1977年にテレビ放映された『あらいぐまラスカル』

ラスカル - YouTube

フジテレビ系の世界名作劇場枠で放送された作品で、放映期間は、1977年1月2日から12月25日で全52話。
米国の作家スターリング・ノースが自らの少年時代を回想した小説、『はるかなるわがラスカル』を原作とした、日本のテレビアニメ。11歳の少年、スターリング・ノースとあらいぐまの「ラスカル」の友情物語。

飼育が難しくなり、森に返す結末だった。

仲が良く聞き分けもあり、イタズラも程度が知れていたラスカルも、大きくなってくると次第にその行動がエスカレート。
近所の畑を荒らしたりするようになり、近所のサーマンさんにひどく憎まれ、射殺すると脅かされる。
スターリングは大きな檻を作ってラスカルをその中で飼うことにするが、その後もサーマンさんはラスカルを目の敵にする。

スターリングの身にも辛い出来事が訪れる。
病弱だった母親を物語途中で亡くし、またラスカルとの暮らしが1年になった時に父親の事業が失敗したため、進学の事もあってミルウォーキーの姉の家に行くことになる。スターリングは寂しさをこらえてラスカルを森に返す決心をし、手作りのカヌーを使って、人里へ二度と戻って来られないよう・また猟師に狙われなくて済むよう、森の奥深くにラスカルを連れて入っていった。
結構、無責任な結末だったんですね…。

アライグマの飼育について

北米の山林地域を原産とするアライグマという動物は、その丸々としてユーモラスな容姿や餌を洗うという興味深い習性からは、想像もつかない程に気性の荒い動物だとされている(原作においても、主人公の友人がアライグマを捕獲・飼育する事は困難で苦労が多い事を指摘している)。

特に成獣となる頃には、同作品中でも触れられている通り、人間との共存は極めて困難であり、実際に飼育している愛好家筋によれば、噛まれたり引っ掻かれたりといったケガは日常茶飯事(しかも猫よりはるかに力が強い)だという。

また、この物語の時代には、すでにアライグマが狂犬病を媒介する恐れがある事は知れ渡っており、ラスカルが狂犬病媒介の恐れが無いか確認をするべきだと、ラスカルを学校に連れてきたスターリングにホエーレン先生が注意するシーンもある。
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現実に起こってしまったアライグマの経済被害と生態系への影響

北米原産であるアライグマはもともと日本には生息していなかったが、1970年代当時は、テレビアニメ「あらいぐまラスカル」の人気などから、ペットとしてアメリカから多い年では年間1500頭もの個体が輸入されるようになり盛んに飼育されていた。

しかし、アライグマは手先が器用で脱走しやすい動物だったこともあり、多くの飼育個体が逃げ出したことが考えられる。

また、アニメの最終回と同様に、「動物は自然の中で暮らすのが一番良い」という名目で、意図的に自分勝手な飼い主によって自然へ帰された個体も少なくなかったと思われる。

とくに当時は一般人はもちろんのこと、学者も外来種問題に対して危機意識をあまり抱いていなかった。

こうして飼い切れなくなった成獣が身勝手な人間によって遺棄されたり、飼い主から逃亡して野生化した個体は各地へ自然分散し、2001年には36都道府県で確認され、2008年には47都道府県でみられるようになった。

日本には天敵や競争種がおらず、繁殖力が高いため、容易に定着できたものと考えられている。
アライグマによるスイカ被害

アライグマによるスイカ被害

スイカでは前脚が入る程度の穴を開けて中身だけがくりぬかれたり、トウモロコシでは綺麗に皮が剥かされるなどアライグマの食害の痕は特徴的なものが多い。
アライグマによって農作物(トウモロコシ、メロン、イチゴ、スイカなど)や錦鯉が食べられたり、乳牛の乳首が噛み切られたりする被害が発生している。

2009年度の農業被害は全国で約2億8千万円となり、数年で倍増している。市街地周辺に生息するアライグマは、家庭菜園にも被害を与える。

さらに、家屋や寺社の屋根裏への侵入、ねぐらとして利用することによる汚損が報告されており、歴史的建造物が被害を受ける例もある。

アメリカでもアライグマによる農作物への被害は、シカに次いで深刻な問題になっている。

また、カエル・カメ・サンショウウオ・ネズミなどの小動物類を幅広く捕食する雑食性の上に繁殖力が強いため、在来生態系に影響を与えている可能性も指摘されている。

千葉県では2008年アライグマが原因と見られる食害で、減少が危惧されているニホンイシガメを含む、100匹以上に及ぶ在来カメ類の死体が発見された事例がある。

ついに日本の侵略的外来種ワースト100に選定されてしまう。

日本哺乳類学会では、アライグマ・ノヤギ・ジャワマングースの3種の外来種の駆除を求める緊急の大会決議を1998年に採択した。
加えて日本生態学会は日本の侵略的外来種ワースト100のひとつに本種を選定した。
そして、2005年に 外来生物法が施行されると同時に、特定外来生物に一次指定され、防除に向けた活動が本格化した。

国内の現状ではアライグマは外来種であり、よって根絶が最終的な目標となるため、駆除が解決手法として選択されることが多い。
一方で、日本ではアライグマは1994年度に狩猟獣に指定されたものの、夜行性であるなどの条件から狩猟されることが少ない。
そのため、外来生物法に基づいた箱わなによる有害駆除の捕獲が主となっている。
近年は、錯誤捕獲を防ぐためにエッグトラップという新しい罠も開発されている。
エッグトラップ

エッグトラップ

北海道など一部の地域では、エッグトラップが使用されている。
エッグトラップは卵型のわな(15×10cm の楕円球)に前足を突っ込むことで作動し、前足を固定して捕獲するものである。その構造から前足が器
用なアライグマ以外の中型哺乳類は捕獲されにくく、錯誤捕獲が少ないことが利点である。ただし、一般に捕獲効率ははこわなよりも低く、設置の際や捕獲個体をわなから外す際に専用の工具が必要な事が難点である。
捕獲された個体は、動物福祉に配慮して薬殺や二酸化炭素吸入によって殺処分しなければならないことになっている。
外来生物法による防除や有害駆除を含めたアライグマの捕獲数は2008年には14000頭を超えた(捕獲数が特に多いのは北海道と兵庫県で合わせて6000頭)。

アライグマの駆除をめぐる論争

日本国内の各地で駆除が実行されるなか、駆除を進める地方自治体や研究機関と、一部の動物愛護団体との間で、アライグマの扱い方をめぐって意見の衝突が起きることがある。

場合によっては、駆除に取り組む自治体に対して愛護団体から抗議の電話が殺到することもある。
こうした駆除への反対意見は、被害を直接経験していない都市部の人間が主張する傾向があるといわれており、アライグマに関する認識のずれが背景に存在する。

動物愛護の立場から求められる人道的な解決策のひとつとして、別の地域へ放獣する、もしくは保護施設で預かるという案がある[37]。一方で、この手法はただ単に問題を別の場所に移動させただけであり、不適切であるとの指摘もある。
また、他地域へ病気を伝播させてしまう危険性もあり、実際にアメリカでは狂犬病を拡大させてしまっている。
同様に、これらの問題点に加えて遺伝子汚染の観点から、日本の外来種であるアライグマを原産地のアメリカに移送して帰すという方策も基本的に不可能である。

放獣以外の方法として、避妊によって繁殖を抑制する手段も主張されることがあるが、その有効性やコスト、リスクについて評価した研究は少ない。

結局は、人の無責任が起こした問題。

中途半端な意思で飼育し、放逐するなど人の無責任さが招いた問題である。
ペットとして取引された動物を捨てることは、動物管理法で禁止されているが実際に処罰されるケースは極めてまれである。
こうした法整備や運用の改善によって環境へ悪影響を及ぼさない状態をまずは作るべきではないか。
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