ななみ満月がゆく!オトナの毒々映画レビュー「時計仕掛けのオレンジ」
2018年8月6日 更新

ななみ満月がゆく!オトナの毒々映画レビュー「時計仕掛けのオレンジ」

ななみ満月がゆく!オトナの毒々映画レビュー。今回は「時計仕掛けのオレンジ(1971年)」byスタンリー・キューブリックです!

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先週、突如謎の高熱と蕁麻疹に苦しめられた。頭からつま先まで余すところなく、ヤツらは現れたのだ。

人生初の蕁麻疹に驚き、病院へ駆け込むも原因は不明。何に関してもそうだが、理由や原因が分からないというのは非常に怖いことである。とりあえず運良く回復へ向かってはいるものの、今週はアレルギー検査に内視鏡に病院を駆け回る予定。

読者の皆様も十分に気を付けて頂きたい。はぁ(溜息)

「時計仕掛けのオレンジ(1971年)」byスタンリー・キューブリック

さて、今回は熱狂的な人気を誇るカルト映画、『時計仕掛けのオレンジ』を紹介したい。

きっと題名だけでも知っている人は多いはずだ。しかし、「暴力」「セックス」のオンパレード、更には「トラウマ」「胸糞」などと言われているため鑑賞に勇気が持てないという声もあるはず。

確かに万人に勧められる作品ではないが、私は観ていてしんどい……などとは一切思わなかった。ただ、感想に関してはかなりバラつきが見られるため、そこはご了承頂きたいのだが。

映画「A Clockwork Orange」(時計じかけのオレンジ) Trailer

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主人公・アレックスは暴力・セックス・麻薬といった、仲間とやりたい放題の日々を送っていた。しかし遂に悪行の果てに、仲間に裏切られ警察に捕まってしまう。

その後は模範生として檻の中で過ごすも、刑務所の収容人数は既に限界を越えているため中の人間をいち早く更生させる療法があることを知る。そして彼はそれに抜擢されるが、なんとその療法とは、薬を体に注入し、目を閉じることも禁止されたまま延々と暴力と性に溢れた映像を見せ続けられることだった……。
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あらすじを読んだだけで恐ろしく思うかもしれないが、実際の描写はそこまで過激ではない(と私は思う)。延々と垂れ流される過激映像も目を覆いたくなるレベルではない。

ただ、図のように目も体も固定されて無理矢理映像を見せられている状態に恐ろしいものを感じるのだ。

当然目を閉じることも、気分が悪くなっても途中で映像を止めることもできない。この時の悲痛なアレックスの叫びがとにかく心に刺さっていく。この映像は今までの彼のしてきた悪行のようなものだが、この療法をきっかけに彼は暴力・性に対して吐き気や罪悪感を覚える。

更にこの映像にはアレックスの大好きだったベートーベンの第九が使用されており、こちらにも拒否反応を示す如く、聴くと吐き気を催すようになってしまう。以前はこの曲を聴きながらオ〇ニーをしていたほどだったのに……。とんでもない療法である。

本番は刑務所を出てから!

「でも、暴力に対して罪悪感を覚えたなら、更生できたしオッケーじゃない?」

とこの時点で思う人もいるだろうか。

この作品はそんな生ぬるいところで終了はしない。彼がそのような状態になり、刑務所を出てからが本題なのである。

ネタバレになるため敢えて結末等は書かないが、今までのアレックスは他人を傷付け、セックスや麻薬に溺れ、好き放題して生きてきたのだ。挙句、刑務所に入る前は仲間に裏切られている。

そんな人間が更生したからといって、おいそれと幸福を手に入れられるのか?その部分を推測しながら鑑賞してみて欲しい。更にここで「これって更生に入るの?」と目を付けた読者の方は非常に鋭い。これを『更生』という言葉で本当に表現していいのか……それは観てからのお楽しみ。

ひたすら『考えさせられる』映画

文章にすると非常にハードで、ますます鑑賞する気が引けたと思われただろうか。

確かに年齢規制もかかっている作品であるが、とりあえず一度観てみることをお勧めする。血がドバドバでるわけでもなく、怖い幽霊が出てくるわけでもない。ただひたすら『考えさせられる』映画なのである。

私個人の感想で申し訳ないが、そこまでのエグさは感じない。(じわじわと痛めつけられるエグさは、この作品よりSAWの方が私はしんどい……ジャンル違いだけど。面白いけど)また、ラストも意外性を秘めている。ただ出所してきて、ラスト、というわけではない。

そして注目すべき点と言えば、やはりファッションやメイク、そして『ナッドサット言葉』である。70年代の古い映画ではあるが、オシャレ感が半端ない。
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黒のハットに白いツナギ、そして右目だけにつけた長い『付けまつげ』など個性的ではあるが、あまり違和感を感じずスッと視界に入ってくるこのオシャレさ。

ちなみに手に持っているのは、『麻薬入りミルク』であり、冒頭からアレックスとその仲間は『ミルク・バー』にてたむろしている。ちなみにその『ミルク・バー』にあるオブジェも非常にアーティスティックで、全く古臭さを感じさせない。

そして『ナッドサット言葉』であるが、これは作中で使われる言語であり、俗にいう若者言葉である。トルチョック=殴る、インアウト=セックスなど響きから想像しやすい言葉もあるが、聞いているだけではよく分からないものも多数あるため要注意。

ネットで調べるとまとめてあるサイトもあるため、それを参考に鑑賞するのも手だろう。何度も繰り返し用いられる言葉もあるため、観ているうちに頭に入ってくる。二度手間だとか言われそうだけど、この世界観さえ魅力である。

長々と語ってしまったが、いかがだっただろうか。食わず嫌いするには勿体ない作品であると強く思う。これを読んで少しでも興味が出たら、ぜひ観て頂きたい。しかしやはり観る人を選ぶおろか、罪悪感を示す場合もあるためあくまで『自己責任』でお願いしたいものである。観終わった頃、きっと違う世界が開けている……カモ。

名作中の名作なので、お盆期間の空いた時間にでも触れてほしい。メジャーな作品なのでレンタル屋にもあるし、何ならプライムビデオ等でも視聴可能だ。

そんな蕁麻疹まみれのななみ満月ツイッター、こちらです↓
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