【星野伸之】130km/hのストレートを150km/h以上にも見せた『遅球王』
2016年11月25日 更新

【星野伸之】130km/hのストレートを150km/h以上にも見せた『遅球王』

150km/hの速球を軽々とスタンドに放り込む強打者達のバットが、彼の細腕から放たれた130km/h代の直球によって次々と空を切っていく。その「遅球」を駆使し、11年連続2桁勝利を達成。オリックスの連覇にも貢献した星野伸之投手の球歴を振り返る。

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星野投手の球歴

星野投手は旭川工業高校から1983年、阪急ブレーブスに入団する。183cmの長身サウスポーがドラフト5位という低評価だったのは、その「線の細さ」と「直球の遅さ」であった事と無縁ではない。この細身で球も速くない星野投手がその後、11年連続二桁勝利を記録するなど、パ・リーグを代表する投手として活躍することなど、入団当時は誰も(恐らく本人も)想像しえなかったことでしょう。
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高卒の2年目で早くも星野投手は一軍初登板を果たし、リリーフでプロ初勝利を挙げます。
1987年には、パ・リーグ5球団完封を含むリーグ1位の6完封を記録して11勝を記録。
この年から1997年まで11年連続2桁勝利を挙げ、パリーグを代表する投手となっていくのです。

星野投手の特徴

星野投手の主な球種は、最速でも130km/h位の速球に90km/h台のスローカーブ。
110km/h前後のフォークボールの3種類。プロ野球の先発投手としては、非常に少ない球種で勝負する投手でした。当時のパリーグには伊良部秀輝投手など150km/h台のストレートを投げるパワーピッチャー全盛の時代。そんな時に40km/h以上のスローカーブとの緩急差によって、バッターには星野投手の130km/hの速球が数字以上に速く見えたと言われています。
ロッテ時代の伊良部投手

ロッテ時代の伊良部投手

球史に残る「この1球」

球史に残る「珍プレー」が起こったのは、1990年9月20日の対日本ハム戦(東京ドーム)での事。
星野投手が投げたカーブがすっぽ抜けた。すると、捕手の中嶋聡が右手で直接捕球。しかも星野投手よりも明らかに速い返球をしたのだった。この事態を目撃した観客達からは失笑が起こりました。
すっぽ抜けだったとはいえ、星野投手のスローカーブがいかに「遅球」であったのかを示すエピソードです。

星野投手の投げたスローカーブを・・・

オリックスのリーグ優勝に貢献(95年)

さて個人としては、パリーグを代表する投手として確固たる地位を築いていった星野投手。
チーム成績はどうだったかというと…当時は西武ライオンズが黄金時代。
その為、星野投手は優勝を経験する事もありませんでした。
(星野投手が入団一年目の年にチームはリーグ優勝していたものの、星野投手はこの年1軍での登板経験無し)
「ブルーサンダー打線」と呼ばれる強力打線を擁したオリックスは開幕前に「優勝候補」に挙げられる事もありました。ですが、いざペナントレースが始まると西武に置いていかれる…というシーズンが何年も続いていました。そして1995年、あの運命のシーズンが始まるのです。
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95年1月17日に発生した「阪神淡路大震災」により、オリックスの本拠地がある神戸の町は甚大な被害を受けました、多くのオリックスファンも被災しました。そんな人々を励まそうと「がんばろう神戸」という言葉をユニフォームに縫いこんだオリックスの選手達は躍動。リーグ優勝を果たすのです。
この年、星野投手は11勝を挙げ(8敗)大きく優勝に貢献するのです。
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95年、オリックスと日本シリーズで対決したのは、野村監督の掲げるID野球がチームに浸透したヤクルト。当時からヒットを量産していたイチロー選手をヤクルト投手陣&古田捕手が完全に押さえ込んだ事も影響し、1勝4敗でオリックスは敗れるのです。

95年の日本シリーズでの星野投手のピッチング

説明

オリックス日本一に貢献(96年)

日本一を逃して迎えた96年シーズン、オリックスは日本ハムとの熾烈な優勝争いを展開します。
その中で、星野投手は13勝5敗(勝率.722)という成績を挙げ、最高勝率のタイトルを獲得。
オリックスはパリーグ連覇を果たすのです。
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