『セーラー服と機関銃』は、じつは薬師丸ひろ子の初主演映画ではないのです。相米慎二初監督作品の『翔んだカップル』が初主演なんです!
2017年1月20日 更新

『セーラー服と機関銃』は、じつは薬師丸ひろ子の初主演映画ではないのです。相米慎二初監督作品の『翔んだカップル』が初主演なんです!

「あまちゃん」放送終盤での歌声に、オールドファンは涙し、彼女を知らない視聴者は鳥肌が立ったにちがいない。薬師丸ひろ子は、そのデビューからこれまで、いつも私たちにさまざまな驚きを提供してくれる。女優としても歌手としても、とにかく特別な存在だ。そんな薬師丸ひろ子の足跡と、じつは!?の初主演映画を紹介!

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80年代、日本映画界を席巻した薬師丸ひろ子の初主演作『翔んだカップル』

80年代、角川春樹がメディアミックスで数々のヒット映画を生み出し、
そのブームの先頭に立っていたのが、秘蔵っ子、薬師丸ひろ子だ。
もう、この神秘さ、清廉さはほかのアイドル歌手や女優、
タレントなどの追随をまったく許さなかったといえる。
あまりにも個性的であまりにも特別なオーラをまとっていたために、
アンチもかなりいたはずだ。
それでも、彼女はつぶれることなく、いま女優として確固たる地位を築いている。
それはファンとしてはとても喜ばしいことだ。
そして、この『翔んだカップル』はそんな薬師丸ひろ子の初主演映画なのだ(『セーラー服と機関銃』ではないのだ!!)。
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薬師丸ひろ子の “目” は特別だ。
デビュー作の『野生の証明』では、
主演の高倉健の “目力” をも凌駕する
驚きの一瞬がある。
その強烈な “目” の印象はこの映画でも
確認することができる。

当初、薬師丸ひろ子は『翔んだカップル』への主演を固辞していた!?

『翔んだカップル』は、鶴見辰吾と薬師丸ひろ子の初主演映画として、1980年東宝系で全国劇場公開された青春映画。相米慎二の初監督作品でもある。1980年度のキネマ旬報ベストテンでは日本映画ベストテン第11位、読者選出第9位となっている。興行的にも目標とする数字はクリアし、映画としての評価も良かったとか。とにかく、薬師丸ひろ子を主演させただけでも、価値のある映画である。なお、1982年4月にディレクターズ・カット版に当たる『翔んだカップル オリジナル版』が公開された。

エピソード ~薬師丸ひろ子出演までの道のり~

田代勇介役の鶴見辰吾は早めに決まったが、山葉圭と杉村役の選考は難航し都内の多くの女子校に張り込みをして、杉村役の石原真理子を見つける。張り込みや多くの面接も行なったが山葉圭役を見つけられないでいた土壇場で、相米監督と伊地智啓プロデューサーは、オーナーや東映のルートを使い、既に『野性の証明』やCMで有名だった角川映画の薬師丸と密かに会うことに成功する。
下駄履き禁止の渋谷東急ホテルへ相米監督は下駄履き・ヒゲもじゃといった風体で薬師丸との面接に現れた。薬師丸は目立たない、スツールから降りても身長が変わらない〔小柄な中学生〕だったと伊地智は記憶している。薬師丸は打ち合わせで呼ばれたと思っていたが、未だ相米監督と伊地智は山葉圭役を選考している最中だった。30分間の面接中、相米は一言も喋らず、薬師丸は映画の裏方になって弁当運びをしたいと話し、薬師丸からどんな役をしたいとかの芝居の話は出なかった。出演することで撮影現場を知り、人脈も作れて、将来映画の裏方の仕事をするのにも役立つと伊地智は薬師丸を説得した。
薬師丸が帰ると残った相米監督と伊地智の二人は山葉圭役に薬師丸をキャスティングすることで意見が一致した。当初、薬師丸は出演を固辞していたが、高倉健からのアドバイスもあり、最終的には出演を了承した。角川書店原作の角川映画で初主演すると思われていた薬師丸が、キティ・フィルムで初主演することになった。

あらすじ

田代勇介は弁護士になることを夢見て、九州から東京の名門校、北条学園高校に入った。勇介は海外に行っている叔父の留守宅に住むことになったが、一人で住むには家が広すぎるため、男に限るという条件で不動産屋に間借人を頼んだ。ところがなんと、不動産屋の手違いでやってきたのは学校一の美少女と評判のクラスメート、山葉圭だった。次の仕送りが来るまでということで、彼女は勇介と住むことになった。勇介の入部したボクシング部のキャプテン織田やクラスの秀才中山も圭を狙っており、勇介は二人の同居生活がいつバレるかとヒヤヒヤの毎日。一年生の遠足の日、学校一の才女、杉村秋美が他のガリ勉生徒と一味違う勇介に興味持ち、近づいてきた。日頃、圭に挑戦的な勇介も、理知的で大人の雰囲気を漂わす杉村には素直な気持で接してしまう。約束の一ヵ月が過ぎたが、織田キャプテンの居候騒動などで、二人の共同生活は、訳が分らなくなってくる。二人とも充分、意識しているのにお互いに好きという言葉が出ない。そして、勇介は杉村と、圭は中山とデートを重ねる。意地の張りあいのまま夏休みを迎え、「季節がかわれば……」と勇介は九州へ帰った。新学期、圭は帰省中に知り合った大学生の星田に夢中になり、杉村はアメリカ留学を決意していた。一方、圭との素直な生活を夢見て東京に戻った勇介は、新人戦を控え、織田にシゴかれる毎日を送っていた。やけくそになった勇介は二人の同居生活を中山に話してしまう。圭を慕う中山は、逆上、そのことを教頭に密告してしまった。新人戦を翌日に控えたある日、勇介、圭、杉村、中山の四人が集まった。杉村は明日アメリカに発つ予定だ。過ぎ去った事を四人は、暗黙のうちに許し合うように見つめあった。勇介のまわりは何かが急激に変ろうとしていた。

キャスト&スタッフ

田代勇介:鶴見辰吾 山葉圭:薬師丸ひろ子 中山わたる:尾美としのり
杉村秋美:石原真理子 絵里:前村麻由美 和田先生:円広志
織田隼人:西田浩 サル:吉見秀幸 キツネ:酒井康明 タヌキ:斉藤建夫
榊:岡竜也 静子:長谷川純代 マリ:石川ルミ 教頭:三谷昇
スナックジョーカーのマスター:柳生博 文化祭のバンド:H2O
星田:真田広之 志津:原田美枝子

監督 : 相米慎二 製作 : 多賀英典 プロデューサー : 伊地智啓、金田晴夫
脚本 : 丸山昇一 撮影 : 水野尾信正 美術 : 徳田博 編集 : 井上治
音楽 : 小林泉美 助監督 : 渡辺寿
主題歌 「BOYS」ルイス 挿入歌 「ローレライ」H2O
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“ 最後の映画女優” そして稀有な個性派シンガー、薬師丸ひろ子

薬師丸ひろ子は『野生の照明』でデビューする。演技経験がなかったとは思えない存在感は、その後の活躍を予感させるのに十分であった。オーディションで彼女を強く推したのは角川春樹だという。日本映画の新たな時代を切り開いた怪物角川春樹の人を見る目はやはり確かだったということだろう。
その後、薬師丸ひろ子は主演映画『セーラー服と機関銃』で社会現象とでもいうべき、薬師丸ひろ子ブームを巻き起こす。まさに時代の寵児だったといえる。仕事と学業を両立するその姿は、彼女の真面目で清廉なパーソナリティを証明するものだったし、その中でもしっかりとキャリアを積んでいったことは大きく評価するべきだろう。
その後、結婚、離婚を経験し、女優という仕事に対する迷いなどを乗り越えて、『ALWAYS 三丁目の夕日』で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を獲得。十分な経験と実績を積み重ね、現在があるのだ。デビュー後の映画中心の活動スタイルから、「最後の映画女優」などと呼ばれることもあった。
また、歌手としての評価も非常に高い。高い歌唱力と個性的で美しい声質は、デビュー当時から今日まで変わることはない。というよりも、さらに磨きがかかっている。ただ、表現力が豊かになった現在と、透明感を前面に押し出したような抑揚のない80年代の歌い方、どちらにも熱烈な支持者がいる。

『野生の証明』(1978年)

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なんにしても、デビューが高倉健との共演だったというだけで、彼女には大きな運があったといえる。そして、驚きの存在感は彼女の大きな資質を物語っていた。
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薬師丸さんのこの “目” 。
これに怪物角川春樹でさえ、
惹かれたのです!

薬師丸ひろ子が語る高倉健との出会い

昨年急逝した高倉健との出会いについて、薬師丸は「高倉さんと初めてお会いしたのは『野性の証明』の製作発表のときです。私がごあいさつしたら、『高倉健です。よろしく』と握手してくださいました。演技経験もない普通の13歳だった私を子供扱いすることもなく、『これからがんばれよ』という意味を込めてくださったんだと思います」と話す。さらに「高倉さんは、右も左もわからない私を演技の面以外でも24時間支えてくださって。地方での撮影のときはいつもご飯を食べに連れて行ってくれました」と話し、会場を驚かせた。
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