3オクターブの美声を持った“うわさの男”、ハリー・ニルソン。
2016年9月6日 更新

3オクターブの美声を持った“うわさの男”、ハリー・ニルソン。

余りにも美しい声を持っていたハリー・ニルソン。晩年は酒とドラッグにより声が枯れてしまいましたが、60年代後半から70年代にかけてのハリー・ニルソンの哀愁を帯びた声は今聴いても心に沁みます。今の時代にこそ是非とも聴いてほしいハリー・ニルソンをご紹介します。

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Harry Edward Nilsson III

Harry Nilsson

Harry Nilsson

ハリー・ニルソンは1941年6月15日アメリカ生まれのミュージシャンです。
1960年代後半から1970年代前半にニルソン名義で「ウィザウト・ユー」、「うわさの男」など数多くのヒット曲を放っています。

甘く美しい歌声は一度聴いてしまうと忘れられなくなるほどです。何度でも聴いていたいそんなハリー・ニルソンの名曲、名唱をご紹介します。

Pandemonium Shadow Show

1967年発売のアルバム「パンディモニアム・シャドウ・ショウ」に関するあまりにも有名なエピソードとして、このアルバムを聴いて感動したジョン・レノンが国際電話をニルソンにかけ、「You are great!」と称賛したというものがあります。
パンディモニアム・シャドウ・ショウ

パンディモニアム・シャドウ・ショウ

1967年リリース

【収録曲】
1. テン・リトル・インディアン
2. 1941
3. カドリー・トイ
4. 調子はずれの讃美歌
5. ユー・キャント・ドゥ・ザット
6. スリープ・レイト・マイ・レディ・フレンド
7. シーズ・リーヴィング・ホーム
8. ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー
9. ウィザウト・ハー
10. そばかす
11. ひさしぶりの口づけ
12. 河は深く、山は高く
銀行員をやりながら音楽業界入りを狙っていたニルソンが、ソングライターとしてフィル・スペクターの目に止まり、ロネッツやMFQに曲が取り上げられたことがきっかけでデビューに至った・・・ということで曲そのものは折り紙付きの人のデビュー作なのですが、以後にこのデビュー作以前の録音も復刻されていますので、正確にはメジャー・デビュー盤と言ったところでしょうか。初期のニルソンは穏やかでゆったりとした感じが心地よいソフト・ロックやバーバンク風なサウンドを聞かせ、このアルバムでは小規模なサージェントペパーズとも言える内容を既に作り上げています。(当然、完成度は高いです。) そのサージェントペパーズに入っていた7.は結構いいですよ。これからニルソンのショーが始まりますよ!!的なイントロダクションが入って、マーチング・ドラム風の1.ホルンの導入がモロにソフト・ロックな2.・・・とショーが続いていく感じが楽しい。3.はモンキーズも取り上げた上品なポップスでアレンジもモンキーズ風。5.はビートルズの名曲で、その曲の中に他のたくさんのビートルズ名曲のフレーズを絡めていて楽しい仕上がり。11.はメロデイ・ラインの美しい初期の名曲でチューブ・ベル?の導入が楽しい。12.はフィル・スペクター絡みのアイク&ティナ・タナーの曲で自らのデビューのきっかけになったスペクターへの敬意を感じるカヴァーとなっています。

Aerial Ballet

これまた名盤といえる1968年発売のアルバム「空中バレー」です。
このアルバムには映画「真夜中のカーボーイ」の主題歌として使われ大ヒットした「うわさの男」が入っています。

この映画の主題歌はボブ・ディランなど数人のミュージシャンに依頼されていましたが、監督の意向により「うわさの男」に決定しています。実は、当初ニルソンは「孤独のニューヨーク」を提出しており、「うわさの男」は仮歌だったそうですよ。
空中バレー

空中バレー

1968年リリース

【収録曲】
1. ダディズ・ソング
2. 古い机
3. ドント・リーヴ・ミー
4. リッチランド氏の好きな歌
5. リトル・カウボーイ
6. トゥゲザー
7. うわさの男
8. グッドバイ・トゥ・ミー
9. リトル・カウボーイ
10. ミスター・ティンカー
11. ワン
12. 柳の嘆き
13. バス
ニルソン初のヒット曲(1969年.全米6位.全英23位)で後に映画『真夜中のカウボーイ』でも使われた『うわさの男(Everybody's Talkin'』(作者はFred Neil),モンキーズもレコーディングした『Daddy's Song』(『Head』収録),スリー・ドッグ・ナイトがヒットさせた『One』(ゲームにあらず(^^;)等が収録されているニルソン初期の名盤です。

 『うわさの男(Everybody's Talkin')』以外の12曲はすべてニルソンのオリジナルで,いずれもオールド・タイムな雰囲気漂うポップの名曲揃いです。バックのサウンドもバンド演奏によるロック的なものよりも,弦楽器や管楽器をフューチャーしたコンテンポラリーなものが多いですね。そのせいもあって,このアルバムは,所謂ソフト・ロックのアルバムとして語られることが多いようです。
 ヴォーカルはすべてニルソンによるオーヴァー・ダヴィングなのですが,これが実になんともポップでドリーミィーな味わいのある良い声なんですよね。噂によると4オクターヴ以上の音域があるということですが,確かに声の幅は非常に広く,表現力も豊かです。

Harry Nilsson - Everybody's Talkin' (1969)

うわさの男
因みに映画「真夜中のカーボーイ」の主題歌としてボブ・ディランが提出したのはこの曲でした。主題歌ということを意識したのでしょうかボブ・ディランにしては珍しくポップです。大ヒットし、今ではスタンダードとして様々なミュージシャンにカバーされています。

Bob Dylan - Lay Lady Lay

Harry

アルバム「ハリー・ニルソンの肖像」。1969年の発売で名盤、名盤と言っていたらこの時期のハリー・ニルソンのアルバムは全て名盤となってしまいそうですが、このアルバムも本当に良い出来です。

当初ハリー・ニルソン自身が映画「真夜中のカーボーイ」の主題歌用にと考えていた「孤独のニューヨーク」はこのアルバムに収められています。
ハリー・ニルソンの肖像

ハリー・ニルソンの肖像

1969年リリース

【収録曲】
1. 小犬の歌
2. 忘れられた鉄道
3. 窓をあけよう
4. マザー・ネイチャーズ・サン
5. フェアファックス・ラグ
6. 都会の生活
7. モーニン・グローリー・ストーリー
8. メイビー
9. ブロードウェイの行進
10. 孤独のニューヨーク
11. レインメーカー
12. ミスター・ボージャングル
13. サイモン・スミスと踊る熊
このニルソンのアルバムは、そっと心の中にしまっておきたい宝物です。アメリカポピュラー音楽の歴史を探訪をするかのようなノスタルジアな曲で、それは、彼自身の心の奥底への探訪でもある、粋でユーモアのある詩。3オクターブの声域を持ち、一人で多重録音を駆使したコーラス・ハーモニーの繊細さは何度も信じれない思いをします。でもニルソンは、そんな表面的な技巧より、内的な表現力の豊さにあり、メロディ、叙情も素晴らしく比喩に富んだユーモアと誠実なヒューマニズム、優しさにあふれています。

NILSSON - "I Guess The Lord Must Be In New York City" (1969)

孤独のニューヨーク
さぁ「孤独のニューヨーク」ですが、ボブ・ディランと比べてどちらが良かったでしょうか?比べるものでもありまでんが、監督は「うわさの男」にしろ「孤独のニューヨーク」にしろ明るく哀愁がある曲が良かったのでしょうね。
それにしても、どれも良い曲です。
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