今村昌平が約10年間温めた映画『ええじゃないか』江戸末期の騒動を描いた!
2017年3月1日 更新

今村昌平が約10年間温めた映画『ええじゃないか』江戸末期の騒動を描いた!

1981年に松竹から公開された今村昌平の映画『ええじゃないか』。映画『復讐するは我にあり』のヒットにより、松竹との共同製作が可能になった。しかし、莫大な製作費をかけたが、興行的には失敗している。

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今村昌平が約10年間温めた映画『ええじゃないか』

1981年に松竹から公開された映画『ええじゃないか』。
監督を務めた今村昌平が約10年間温めた作品だった。

映画『復讐するは我にあり』のヒットにより、借金を返済して松竹も利益を上げたことで、本作で松竹と共同製作が可能となった。しかし、3億円ものオープンセットを作る等、莫大な製作費をかけたが、ヒットには至らなかった。
これは今村自身も失敗と認めるほどだった。
映画『ええじゃないか』 [DVD]

映画『ええじゃないか』 [DVD]

本作のタイトルにもなっている”ええじゃないか”は、江戸時代末期の慶応3年(1867年)8月から12月にかけて、近畿、四国、東海地方などで発生した騒動を指している。

「天から御札(神符)が降ってくる、これは慶事の前触れだ。」という噂が拡散し、民衆が仮装するなどして囃子言葉の「ええじゃないか」等を連呼しながら集団で町々を巡って熱狂的に踊ったというもの。
”ええじゃないか騒動”に興じる人々

”ええじゃないか騒動”に興じる人々

本作では、見せ物小屋がメインの舞台として機能し、そこに集まる子悪党などを通して、そこが当時の吹き溜りであった様子を丁寧かつリズミカルに描いている。

また、放尿シーンがあり、これが映像倫理審査会の規定に触れるとして、物議をかもしたという話。

夫婦を演じた泉谷しげると桃井かおり

アメリカへの漂流民・源次を泉谷しげるが演じ、その妻・イネを桃井かおりが演じた。

泉谷の起用前には、萩原健一が源次役を担当する予定で、台本にも源次部分に萩原の名前が記載されていた。降板した理由、経緯は不明。

桃井はデビュー当初、萩原健一と共演することが多く、「映画『青春の蹉跌』で萩原さんと会って、尊敬してた、なんか一緒にくっついていたいっていう気持ちがあって。」とコメントも残している。
左がイネを演じた桃井かおり、右が源次を演じた泉谷しげる

左がイネを演じた桃井かおり、右が源次を演じた泉谷しげる

※画像はVHSビデオのパッケージ
本作の公開の一年前、萩原は同じく時代劇の黒澤明監督『影...

本作の公開の一年前、萩原は同じく時代劇の黒澤明監督『影武者』に出演していた。

※萩原は真ん中

あらすじ

慶応二年、日本は激動期の真只中にあった。源次はそんな江戸へ六年ぶりにアメリカから帰って来た。上州の貧農の出の源次は横浜港沖で生糸の運搬作業中に難破し、アメリカ船に救けられ、そのまま彼の地に渡ったのだ。

その間、妻のイネは、病身の父に売られ、現在、東両国の“それふけ小屋”(ストリップ劇場)で小紫太夫と名乗って出演している。源次はなんとかイネを発見、六年ぶりの再会に二人は抱きあった。見せ物小屋の立ち並ぶ東両国は、芸人、スリ、乞食、ポン引きなどアブレ者の吹き溜り。
“それふけ小屋”(ストリップ劇場)で働いていたイネ(右下)

“それふけ小屋”(ストリップ劇場)で働いていたイネ(右下)

※画像はVHSビデオのパッケージ
源次は三次、ゴン、孫七、卯之吉、旗本くずれの古川など、したたかな連中に混ってそこに居ついてしまう。そして、金蔵がここら一帯を取り仕切っている。

自由の国アメリカが頭から離れない源次は、イネを誘いアメリカ渡航を計るが、結局、彼女はこの猥雑な土地を見捨てられず、彼もイネの肉体にひかれて残ってしまう。
「狂乱の時 哀しみと怒りを背負って 男と女が橋をわたる」

「狂乱の時 哀しみと怒りを背負って 男と女が橋をわたる」

※画像は映画パンフレット
この頃、幕府と薩摩、長州連合の対立は抜きさしならないところにきており、金蔵は薩摩の伊集院などの手先となって、一揆の煽動など、天下を騒がす仕事に飛びまわっていた。

「ええじゃないかええじゃないか」と〈世直し〉の幟やムシロ旗を立てた群衆は次々と豪商の倉を襲っていった。この群衆の中に、金蔵配下の源次、ゴンたちがアジテーターとしてまぎれこんでいた。
”ええじゃないか”を連呼し、街を練り歩く群衆

”ええじゃないか”を連呼し、街を練り歩く群衆

更に、この騒ぎの中に、親兄弟を虐殺された琉球人のイトマンが仇の薩摩藩士の姿を求めて鋭い目を光らせていた。

そして、「ええじゃないか」の勢いは止まるところを知らず、群集は、歩兵隊の制止も聞かず、大橋を渡ろうとした。「死んだって ええじゃないか」源次が仆れた。

数日後、復讐をとげたイトマンの舟が琉球へとすべり出した。舟を見送るイネ。
その翌年、元号は明治となるのだった。
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