庵野秀明の新たなる挑戦『ラブ&ポップ』
『新世紀エヴァンゲリオン』がどれだけの衝撃と称賛をもって多くの人に受け入れられたかを、いまさら語るまでもないだろう。当然のことながら、多くの人が庵野秀明の次の長編アニメを待ち望んでいたと思う。しかし、彼は「実写映画」という選択をする。『新世紀エヴァンゲリオン』の手法をふんだんに盛り込み、それをオリジナリティだと納得できれば十分に楽しめる映画となった。とにかく、庵野秀明が「新人」監督と名乗って、新たなる挑戦に踏み出した作品が、『ラブ&ポップ』なのである。
via 2014.tiff-jp.net
家庭用デジタルビデオカメラで撮影された『ラブ&ポップ』
庵野にとって初めての本格的な実写映画であり、スタッフロールの最後には「監督 庵野秀明(新人)」との表記がある。「最後までいく援助交際」をすると決めた女子高生の1日を回想を交えながら描く物語である。
家庭用デジタルビデオカメラを一つのシーンで同時に5台使う形で撮影され、上映時間110分に対して撮影時間は160時間に上った。アビッド・テクノロジーの最新機器によるノンリニア編集が全編に施され、フルデジタルで制作された初の邦画である。
特殊なアングルからのカットや、『新世紀エヴァンゲリオン』にも見られるようなテロップの使用など、庵野秀明らしさも少なからず含まれる映像となっているが、ストーリー的にはほぼ原作に忠実に作られている。
あらすじ
一九九七年七月一九日、東京・渋谷。高校二年吉井裕美と、友人・野田知佐・横井奈緒・高森千恵子たち。ハチ公前にいたオヤジから、携帯電話を借りた奈緒。ショーウィンドウにあるインペリアルトパーズ(128,000円)を指にはめ、眺めた瞬間、心がドキドキした裕美。
午後十二時過ぎ。女子高生が噛みくだいたマスカットを十二万で買っていこうとする男・カゲガワとのカラオケBOXでの援助交際を四人で成し遂げ、十二万を渡された裕美だったが、なんて言ったらいいのかわからないキモチになる。「やりたいことや欲しいと思ったものは、そう思った瞬間手に入れようと努力しないと、必ず自分から消えてなくなる」
午後3時17分・午後9時閉店まであと5時間43分・所持金額44,560円・購入に必要な金額アト83,440円。決意した裕美は、奈緒の借りた携帯電話を使い、伝言ダイヤルへとコールするのであった……。
キャスト&スタッフ
吉井裕美・・・三輪明日美/野田知佐・・・希良梨
横井奈緒・・・工藤浩乃/高橋千恵子・・・仲間由紀恵
三輪ひとみ、平田満、吹越満、モロ師岡、手塚とおる
渡辺いっけい 、浅野忠信、岡田奈々、森本レオ
監督/庵野秀明(新人) 原作/村上龍 脚本/薩川昭夫
撮影/柴主高秀 録音/橋本泰夫 助監督/杉野剛 音楽監督/光宗信吉
主題歌/三輪明日美「あの素晴しい愛をもう一度」
製作・配給/ラブ&ポップ製作機構(1998年)
横井奈緒・・・工藤浩乃/高橋千恵子・・・仲間由紀恵
三輪ひとみ、平田満、吹越満、モロ師岡、手塚とおる
渡辺いっけい 、浅野忠信、岡田奈々、森本レオ
監督/庵野秀明(新人) 原作/村上龍 脚本/薩川昭夫
撮影/柴主高秀 録音/橋本泰夫 助監督/杉野剛 音楽監督/光宗信吉
主題歌/三輪明日美「あの素晴しい愛をもう一度」
製作・配給/ラブ&ポップ製作機構(1998年)
via b.hatena.ne.jp
庵野秀明はどこに向かうのか!?
日本アニメ界に燦然と輝く名作『新世紀エヴァンゲリオン』を手掛けた庵野秀明。日本アニメ界において、『機動戦士ガンダム』以降、これほどまでに大きなインパクトのある作品はなかった。そして今年、庵野はゴジラシリーズの最新作『シン・ゴジラ』を世に送り出した。従来のゴジラシリーズとは一線を画すこの作品に対して賛否両論はあるものの、またも問題作を世界に提示してみせたのだ。『ラブ&ポップ』はまさにその胎動だったといえる。今後、庵野秀明はどこに向かうのか!? とにかく、なによりも「次」が楽しみな映画監督だといえよう。
< 庵野秀明の仕事 >
上京し、劇場アニメ『風の谷のナウシカ』、『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』やOVA『メガゾーン23』等の商業作品に参加し、メカや爆発シーン等のエフェクトアニメーションを手がける。『風の谷のナウシカ』では、採用時に持参した大量の原画が宮崎駿に高く評価され、難しいとされるクライマックスの巨神兵登場のシーン担当に抜擢された。この時、人物も描くよう監督から指示されるも、出来が悪かったため監督本人に頼んだというエピソードがある[5]。この頃から原画・動画一筋でやっていくのは無理だと考え、監督・演出の仕事をメインに切り替える。ちなみに、パンフレットに記載されている「巨神兵の呪いを受けて腹を壊したA氏」は庵野の事である。なお、師匠として、宮崎及び『超時空要塞マクロス』の板野一郎の名前を挙げており、特に宮崎からは監督としての仕事の進め方等を学んだという。また、『機動戦士ガンダム』の富野由悠季らも含め、アニメーション界を代表する作家の仕事に参加できたことをとてもラッキーだったと語っている。
『風の谷のナウシカ』
この不朽の名作にも庵野監督の手が入ってる。。。
via www.youtube.com