土屋名美という宿命の女を多くの女優が体を張って演じた「天使のはらわた」シリーズ
2022年10月3日 更新

土屋名美という宿命の女を多くの女優が体を張って演じた「天使のはらわた」シリーズ

長きにわたり支持され続けてきた「天使のはらわた」シリーズ。過酷な運命に翻弄される土屋名美の存在感は圧倒的です。水原ゆう紀、泉じゅん、速水典子、小野みゆき、大竹しのぶ、余貴美子など多くの女優が土屋名美を演じています。

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死霊の罠

日本初の本格的スプラッター映画と言われている「死霊の罠」。脚本は石井隆。監督は「天使のはらわた・赤い淫画」で認められた池田敏春。とはいえ、この作品は天使のはらわたシリーズなんでしょうか?確かに小野みゆき演じる取材クルーのレポーターの名前は土屋名美で、翻弄されまくってます。が、毛色が違うというのか、まぁ、「天使のはらわた」としては、間違いなく問題作ですね。
死霊の罠

死霊の罠

監督:池田敏春
脚本:石井隆
製作:升水惟雄
出演者:小野みゆき、桂木文、小林ひとみ、中川えり子、島田紳助、本間優二
音楽:吉良知彦
撮影:たむらまさき
製作会社:ディレクターズ・カンパニー
配給:ジョイパックフィルム
公開:1988年5月14日[1]
上映時間:100分
ある人物から送られてきた“惨殺ビデオ“の謎を追う女性TVレポーターと、その仲間たちに襲いかかる悪夢のような惨劇を描いた、血しぶきあふれる和製スプラッタ・ムービー。
この映画で気になるのは主役の小野みゆきよりも小林ひとみでしょう。本筋とは全く関係なく恐縮ですが、いつ脱いでくれるんだ?!とドキドキしっぱなしです。更には桂木文。「翔んだカップル」のイメージが強い彼女ですが、期待を裏切らない可愛さです!
が、小野みゆきは無視できません。本筋とは全く関係なく甚だ恐縮ですが、パンチラがなんともエロい!流石に主役をやるだけの事はあると妙に納得してしまいます。

Shiryô no wana / Evil Dead Trap (1988) (Legendado)

この映画、日本映画のご多分に漏れず低予算だったそうですが、冒頭の惨殺シーンなど良くできており、チープさは感じません。しかし、スプラッターであろうが、なかろうが面白い映画ですよ。
それにしても、なぜ石井隆は主人公の名前を土屋名美にしたのでしょう?そこがちょっと気になる作品ではあります。

ヌードの夜

第33回ギリシャ・テッサロニキ国際映画祭:最優秀監督賞、第10回イタリア・トリノ国際映画祭:特別審査員賞(準グランプリ)、第47回毎日映画コンクール:日本映画優秀賞/田中絹代賞/録音賞、第35回ブルーリボン賞:助演男優賞、第14回ヨコハマ映画祭:助演男優賞/撮影賞、第18回おおさか映画祭:撮影賞/主演女優賞、第7回高崎映画祭:主演男優賞、第66回キネマ旬報ベスト・テン:脚本賞/主演女優賞。多くの映画祭で各賞を受賞した1992年公開の「死んでもいい」。名作ですね。土屋名美を演じたのは大竹しのぶです。
「死んでもいい」は石井隆が「天使のはらわた・赤い眩暈」に続いて監督を務めたヘビーなラブ・ストーリーで、簡単に言ってしまうと「郵便配達は二度ベルを鳴らす」を思わせる不倫ものです。

好みではありますが、このシリーズは90年代に公開された作品が最高ではないかと思えます。「死んでもいい」素晴らしい。そして翌年公開された「ヌードの夜 」、これがまた傑作ときています。
ヌードの夜

ヌードの夜

監督:石井隆
脚本:石井隆
製作:稲見宗孝、岡田裕、成田尚哉、新津岳人
出演者:竹中直人、余貴美子
音楽:安川午朗
撮影:佐々木原保志
編集:川島章正
配給:ヘラルド・エース
公開:1993年12月18日
上映時間:110分
結婚相手ができた名美は、ホストクラブの支配人・行方と手を切ろうとする。彼女は、“何でも代行屋“の看板を掲げる紅次郎(実は村木)に、福岡から上京したと偽って、東京案内を頼む。その後、行方を殺害して彼女は姿を消し、紅次郎に死体の始末をさせようとするが……。商社マンからドロップアウトし、何でも屋をやりながら“受け身“の人生を送ってきた村木が、自分の中の男に目覚めていく過程が圧巻。
村木哲郎を竹中直人が、土屋名美を余貴美子が演じた「ヌードの夜」は、サンダンス・フィルム・フェスティバル・イン・トーキョー'94 グランプリ、第9回高崎映画祭最優秀作品賞に輝きました。

A Night in Nude (1993) ORIGINAL TRAILER [HD 1080p]

で、更に翌年が「夜がまた来る」ですね。これがまたまた素晴らしいのです。夜がまた来るどころか、夜が明けない感じといいますか、悪夢から目覚めると、そこは悪夢だったという感じの映画といえましょうか。運命に導かれる男と女。石井ワールド全開の作品です。

GONIN

正確には分かりませんが、石井隆監督作品として商業的にもっとも成功したのはこの作品なのかもしれません。何と言っても出演者がスゴイ。それだけで客が呼べそうです。オールキャストで全員カッコイイんですからたまりませんよ。でもって内容は圧倒的なバイオレンス・アクション映画となっています。
GONIN

GONIN

監督:石井隆
脚本:石井隆
製作総指揮:奥山和由
出演者:佐藤浩市、本木雅弘、根津甚八、竹中直人、椎名桔平、ビートたけし、木村一八、鶴見辰吾、永島敏行
音楽:安川午朗
撮影:佐々木原保志
編集:川島章正
配給:松竹
公開:1995年9月23日
上映時間:109分
バブル経済が崩壊し、多額の借金やリストラで社会からはじき出された5人の男たち。人生の瀬戸際に立たされた彼らは、生き残りを賭けて、暴力団の事務所を襲い、金庫に眠っている大金を強奪する。奪った金を山分けして、5人は新しい人生を踏み出すはずだったが、今度は怒りに燃える暴力団の凄惨な報復が始まった。5人は必死で対抗するが……。男たちの血で血を洗う壮絶な闘いが展開される、究極のバイオレンス・アクション・ムービー。
石井隆作品の特徴のひとつに雨のシーンがあります。「GONIN」でも雨の中の殺人シーンが出てきますが、この雨のシーンはどの作品でも何故かせつなく、そして美しいんですよね。

根津甚八が演じる氷頭要の妻役で永島暎子が出ているのですが、出演時間は短いのにすごく印象に残ります。やっぱりいい女優なんだなぁと思いますね。

GONIN

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